札幌市第4回定例市議会は11月28日から12月12日までの日程で開催されました。12月5日、日本共産党を代表して、小形かおり市議が代表質問に立ち、市長の政治姿勢をはじめ、ワーキングプアー問題、子育て、学童保育、助産制度、景気対策などについてただしました。
市議会開催中に、国会では秘密保護法や生活保護法「改正」などの重要法案がかかっていました。
小形市議は、「生活保護基準以下の世帯のうち、実際に保護を受けている割合は、フランスで9割、ドイツで6割なのに日本では2割にすぎない。今回の『改正』では、書類の提出義務付けや親族による扶養を強制しようとしている。国連の社会権規約委員会は『生活保護につきまとう恥辱を解消すること、申請を簡素化すること』を日本に勧告している。今回の改正はそれに逆行するもの」として、市長の考えをただしました。
市長は、改正案は「保護申請をいっそう困難にさせるものとは考えない。今後とも国の示す実施要綱に則り適切に実施していく」と、「適正化」の名の下に、申請を困難にさせる安倍政権の方針にしたがっていくことを表明しました。
秘密保護法について小形市議は、「法案に反対する世論は急速に広がっている。本法案は国民の権利を侵害しかねないという市長の見解を各政党、道選出の国会議員、マスコミ等に訴えるべき」と求めました。これに対し市長は、「表現の自由は知る権利が前提。この法律により、国民の自由、利益といったものを左右する情報がブラックボックスの中に入ってしまうことは憲法21条(結社・言論・表現の自由)に抵触するおそれがある。慎重審議を強く望む」とし、今後も機会をとらえ、考えを述べていきたいとしました。
官製ワーキングプアーをなくすための公契約条例は前回の市議会で自民・公明などの反対で否決されましたが、条例が否決されてもこの問題は避けて通れないと、小形市議は市長の対応をただしました。
小形市議は「清掃労働者の賃金は最低賃金にぴったり張り付いており、現在の最賃時給734円では、1カ月の賃金は12万3千3百円余り。一方、生活保護基準は、夏期13万1千5百円、冬期15万5千6百円余りとなっており、最賃では生活保護基準以下である」と指摘、「①市からの工事・業務を受注した企業に対し、賃金を引き上げて適正な額を支払うよう、市長から要請する。②入札の際、賃金を評価点に加えた総合評価方式を増やし、賃上げへの誘導をはかる。③賃金調査を行う」ことを求めました。さらに、「経済団体との相互理解を深め、公契約条例案の提出時期を見定めるべき」としました。
これに対し、市長は「特に清掃業務において低賃金労働者が多いということは認識している。条例がない中でも、発注者である市として可能な方策について取り組んでいきたい。関係する企業に対し、労働者の賃金改善について要請を行うこととしたい。
総合評価方式は労働環境確保をはかる有効な方策の一つであると考えており、検討を含め可能なものから実施していきたい。賃金実態をはじめとする労働環境調査は、対象範囲を広げることや回答の義務化なども含め検討しており、実効性が上がるようつとめていきたい」としました。
公契約条例の再提出については、「適正な労働環境の確保をはかるための方策について、業界とも協議をしながら取り組むことを考えており、まずはそれらの状況をみきわめていきたい」とするに留まりました。
小形市議は指定管理者制度の問題について、「4年ごとの公募で、低価格競争が繰り返され、次回に落札できないこともあるので、非正規雇用が増大している。落札者が代わっても現場で働いている人は同じ人が作業している場合が多い。しかし、使用者が代わるため何年働いても勤続年数は1年で、昇給もなく有給休暇もつかない」とその問題点を指摘。
「指定管理者制度が官製ワーキングプアーの温床となっている。民間委託、アウトソーシングといって業務の委託・外注を進めてきたこと、構造改革路線、小さな政府論からの決別が必要でないか」と市長の見解を問いました。
これに対し市長は「今回の一斉更新では、管理運営の継続性を高める取り組みを行ったことで、現在の指定管理者が引き続き選定されたところもある。また選定においては、雇用継続の提案を求め、それを評価したほか、雇用関係の配点を高めるとともに、指定管理者に雇用される労働者の賃金や労働関係法令順守の調査も実施してきた」と、一定の努力をしてきたとしました。
しかしながら、民間委託、アウトソーシングについては、「今後とも、民間事業者が有する技術や創意工夫を幅広く活用していくことが必要」として、継続していく姿勢を崩しませんでした。
秘密保護法は自民・公明の強行採決により可決となりましたが、秘密保護法反対の声はいっそう大きくなりました。法案成立後の共同通信社の世論調査では、秘密保護法を廃止または修正すべきとする意見が83%、この法律に不安を感ずるとする回答が70%にも達しました。
豊平区委員会と地域の党、後援会は、秘密保護は施行前に撤廃させなければと、12日夕方、福住駅前で宣伝署名を行いました。
マイクからは、「国会の審議が進めば進むほど、この法案が言論を弾圧する悪法であることが明らかになってきました。これ以上反対の声が大きくなれば、法案の成立は難しいと、安倍首相は強行採決。秘密保護法はアメリカと軍事機密を共有し、日本をアメリカとともに戦争のできる国にするためのものです。
戦前、日本は国民の目と耳、口をふさぎ、戦争への道を歩んで行きました。『秘密、秘密』でアメリカとの密約が隠され、気が付いてみたら日本が戦争する国になっていたということのないよう、秘密保護法を撤廃させましょう。」と訴えました。
また、秘密保護法撤廃のビラを配布するとともに、「秘密保護法の撤廃を求める請願署名」を訴えました。法案が成立した直後にもかかわらず、「こんな法律は廃止しなければ」と、積極的に署名に応じてくれる人もあり、撤廃に向け運動を続けなければと実感させられる行動となりました。
13年12月22日付「豊平区新聞」より