3日午後、東日本大震災:超巨大地震・津波被害、福島原発災害を考えるシンポジウムが北海道クリスチャンセンターで開催されました。このシンポジウムは日本科学者会議北海道支部が中心となり、原発問題全道連絡会、自由法曹団道支部、北海道民医連などが実行委員会をつくって開催したものです。
会場の椅子も足りなくなる160人を超える参加者がそれぞれの専門家の話に耳を傾けました。
地震学、火山学の専門家である岡田北大名誉教授は、東日本大震災について「日本でこのような巨大地震が起こりうること、巨大津波が襲来しうることは科学的に明らかにされていた。しかし科学者は警告を怠り、行政は対策を怠ってきた」と科学の成果を生かせなかったことを悔やむとともに大きな問題点として指摘しました。地震発生後の対応についても、「岩手県沖の海底津波計は大津波の襲来を示していたにもかかわらずそれが生かされなかった。マグニチュード9.0という地震の規模についても、すべての地震観測データを生かしていたならばすぐにわかった、しかしそういう体制になっていなかった。これらの観測データが生かされていたならば多くの人々の命が救えた」と指摘しました。
岡田氏は、火山災害について、「ここ30年の間で、世界で20万人の人々が火山災害から逃れることができるようになった。これは観測体制の整備とともに、科学者・行政・メディア・住民の信頼関係が確立されるようになったからである」と語り、有珠山噴火の例を引いて、「ハザードマップなどはまずいから住民に知らせるな、火山を忘れよう」という態度から、「自然災害を学びそれと向き合い科学者と連携して安全第一で取り組む方向に変わった」とし、自然災害に対する科学の成果を行政・住民とともに生かしていくことの大切さを語りました。
岐阜環境医学研究所の松井英介医師は、「『低線量』放射線内部被爆と健康被害」と題し、体内に取り込まれた放射性物質による被爆の問題と汚染地域の問題について語りました。「内部被爆では長期間に渡ってα線やβ線が放出される。α線は飛ぶ距離が短く紙1枚も通らないが周辺の細胞にはとても強い影響を与える。内部被爆を『低線量』だからと言って片づけられない」とその危険性を指摘しました。松井氏は内部被爆による被害として、チェルノブイリ事故によりベラルーシでは先天性障害や甲状腺ガン、乳ガンなどが増えていることを示すとともに、住民の死亡率も事故が起こった1986年以降高くなっていることを示しました。
福島原発事故による汚染地域については、今、除染が問題となっているが、汚染物質は自然界で循環しており取り除くことが難しいとして、集団疎開も必要との見解を示しました。さらに松井氏は、日本政府の食品に対する規制値がウクライナの値と比べきわめて高い所に設定されていること、日本政府の放射線リスクは国際放射線防護委員会、ヨーロッパ放射線リスク委員会が定めたものより低く設定されており、日本の規制値のありかたも問題としました。
原子力工学を専攻しながら、自然エネルギーに転向した経歴を持つ自然エネルギー研究センター所長の大友詔雄氏は、自然エネルギー活用の現状と今後について話しました。
冒頭、氏はチェルノブイリ原発も今だ核燃料が入ったままで危険な状態、福島原発も同様に危険な状態にあると指摘しました。また、世界の原発の数は先進国では頭打ちとなり、電力が余ってきている。今後、原発の新設があるとすれば発展途上国になると指摘しました。
脱原発の動きについては、スエーデンが原発と太陽光ではコスト的には同等であるが、原発は負の面を持っているとして脱原発に踏み切った例など、ヨーロッパでの動きを紹介しました。
大友氏は、風力発電として騒音など問題のある現状の風車に代わって、町工場でも作れ、不安定な風力にも対応したツインローター型風力発電の有利性について語ると共に、地域の振興につながるエネルギーの自給について以下のように語りました。
日本は輸入大国で、毎年6億5千万トンの物資が国内に溜まっていく勘定になる。このうち廃棄物として毎年1億トンが捨てられていることになり、埋め立てると東京山手線内側に1.5m積み上がることになる。これを地域資源として利用するべきとしました。
地域資源の利用例として家畜の糞尿等によるバイオガス発電、木材チップによる熱供給でエネルギーを自給しているドイツのバイオエネルギー村を例に、ドイツでは再生可能エネルギーで25万人の雇用が生まれたと語りました。また、北海道の温泉ホテルでの実証試験で、年間重油として6千3百万円かかっていたものが、地域の木材資源をエネルギー利用することにより燃料代が5千3百万円に軽減されるとともに、木材の調達、燃料製造など地元で1億7千万円の経済効果が出たと語りました。さらに足寄のペレット工場では130人の雇用が生まれたと語り、エネルギーの自給が地域の活性化につながることを強調しました。
学童保育の補助を5年生まで拡大するよう求める陳情が11月30日、札幌市議会で採択されました。陳情は札幌市学童保育連絡協議会が提出したもので全会一致の採択となりました。
日本共産党の伊藤りち子議員は前日の文教委員会で、「今回の拡大は5年生のみですが、6年生までの補助の拡大も実施するべきです」と求めました。
子ども未来局の金田瑞枝子ども育成部長は「民間学童保育は、長い間、生活の居場所を確保してきた大きな意義のある活動。今年、4年生までの拡大をし、その子どもたちが継続して学童保育所に通えるように、まずは5年生の拡大をする」と、進級ごとに対象を広げることを明らかにしました。
第4回定例道議会が11月25日から12月9日までの会期で開催されました。日本共産党の真下紀子道議は、道議会本会議の一般質問で泊原発をめぐる高橋はるみ知事の責任を追及しました。
真下議員は「プルサーマル計画に同意した責任者は知事」と指摘したうえで、「①これまでの原発推進の立場に反省の気持ちがあるのか」、②「道の『やらせ』関与について事実関係の全容解明に取り組み、道民への説明責任を果たすべき」と迫りました。
高橋知事は「プルサーマル発電の必要性は理解できる」とこれまでの態度を繰り返し、道の「やらせ」関与については「『不適切な発言』を重く受け止め改善策を講ずる」と述べました。
また、真下議員は、北電役員からの献金について、高橋知事に対応をただしました。
献金について高橋知事は「プルサーマル計画をめぐる北電の不適切な行為が明らかになった経緯から、北電役員からの寄付を辞退したい」と述べました。 真下議員はさらに、「これまで北電役員から受け取った335万円の献金は返還すべきだ」と迫りましたが、高橋知事は「いただいた寄付は適切に処理した」と返還の考えがない事を明らかにしました。
高橋知事が「北電役員からの献金辞退」を議会で表明したのは初めてです。
11年12月11日付「豊平区新聞」より