8月から生活保護費の切り下げが強行されました。これは物価下落を理由に、生活費部分(生活扶助)を3年間で平均6.5%、最大で10%引き下げるものです。食料品や光熱費が上がっている中で、引き下げはゆるせないと、保護費の支給日となった1日、札幌では各地で、引き下げに抗議するとともに、不服審査請求を呼びかける行動が取り組まれました。
豊平区では、豊平区生活と健康を守る会が、早朝の8時半から区役所前で宣伝を行い、保護費削減の不当性を訴えるとともに、審査請求への参加を呼びかけました。
同日夜には、「生活保護引き下げに抗議する学習決起集会」が、市内で開かれました。
北星学園大学の木下准教授が講演し、「生活保護基準は生存権の水準であり、国が国民の生活を保護する水準です」と述べ、引き下げ反対の声を上げることを呼びかけました。
道生活と健康を守る会連合会の三浦会長は、全国で呼びかけられている保護費削減に不服を申し立てる1万人審査請求について、「北海道では千人を目標に取り組み、すでに480人が参加表明している。1日の街頭宣伝でも8名から審査請求参加の申し込みがあった」と報告。集会は、審査請求の運動を進める「生活保護制度を良くする会」を正式に発足させることを確認して終わりました。
新日本婦人の豊平支部は、「平和のつどい」の取り組みに会わせ、札幌市の後援を受け、区民センターロビーで平和ロビー展を開催しました。
毎年、原爆の悲惨さを伝える写真や絵画のパネル、平和を願う絵手紙などを展示してきましたが、今年は、これに加え、被災後2年半近くたっても復旧の進まない東日本大震災の被災地の写真を展示しました。
区民センターを訪れた方々が、写真やパネルに見入っていました。
神保弁護士は、次に、憲法がめざす理想と現実の矛盾についてふれるとともに、今後の展望について以下のように語りました。
憲法のめざす理想と現実
憲法は私たちが政治を変えることができることを保障しています。しかし、現実には選挙で投票をしても、小選挙区制の下ではきわめて多くの死票が出て、民意を反映していません。表現の自由も、公務員は制限され、民間でも、会社や上司に対して文句も言えず残業手当なしのただ働きや、非正規雇用が蔓延しています。
学問の自由も従軍慰安婦問題などを歴史教科書から消し去ろうとする動きが強まっています。教育を受ける権利も、金が無ければ大学にも行けず、高学歴は金で買う世の中になっています。
医療や生活保護についても、保護を受けられず餓死する事件や、保険証を取り上げられ病院に行けなくて病気を悪化させている現実がいくつもあります。良好な環境のもとで生活する権利(環境権)も原発事故でおびやかされています。
戦争の放棄、戦力の不保持をうたった憲法9条のもとで、自衛官は海外に行かなくてすんでいました。しかし、自民党政府は自衛隊の海外派兵を強行、イラク派兵ではアメリカ軍の車にひかれて自衛隊員が負傷するという犠牲が出ました。
こうした現状に対し、様々な運動で、現実を変え憲法を身近なものにしようとする前進も見られます。
選挙制度では、「一票の格差裁判」で相次いで違憲判決が出され、選挙制度の見直しが迫られています。表現の自由の問題では、公務員の政治活動一律禁止に穴を開けることができました。また、ローカルユニオンの活動で、ただ働きや偽装請負などの実態が告発され労働条件が改善されるという動きも起こっています。
教育の問題では、30年以上の闘いにより、高校授業料の無料化が実現しました。生活保護、医療の問題では、一時ストップされた母子加算の復活が勝ち取られました。
原発をなくし安全・安心な未来をと願う声は、昨年5月5日に全国すべての原発をストップさせました。その後、政府は大飯原発を稼働させましたが、原発なくせの声は大きく広がりました。自衛隊の海外派兵についても、イラク派兵について名古屋高裁で違憲判決が下されるなど前進があります。
法律で憲法を変える危険性も
参議院でも多数を取った安倍政権は、消費税増税、原発再稼働、TPPなど国民の反発が予想される問題を抱えていますが、この時期を逃すとできないとして、強行突破をはかってくるものと思われます。一方、憲法改定については、公明党などの抱き込みをはかり、法律で憲法を変える動きに出ることも考えられます。具体的には、国家安全保障法で集団的自衛権があると書き、秘密保護法で軍事情報を国民に知らせず、軍法会議まで設立できるようにする、などです。国会での多数を盾に、違憲の法律を作ってくる危険性があります。
従来の枠を越え運動を広げよう
こうした危険性に対し、私たちは運動を大きく広げていく必要があります。たとえ、議会で多数を占めていても、国民多数の反対があれば、国会では強行できません。
今回の参議院選挙では、保守の2大政党という構想が完全に破綻しました。国民は、自民か民主かということでなく、政策を中心に判断を迫られました。ネット選挙の解禁も政策を多くの国民に訴えるチャンスとなりました。TPP反対、原発なくせ、憲法守れの運動では従来の枠を越えて運動が広がっています。こうした運動と結びつけて訴えを広げて行くことが大切です。
「明日の自由を守る若手弁護士の会」では学習会の宣伝を行っています。普段はこうした集会に参加できない子育て中のパパやママのところに出向いて学習会を行っています。平和憲法に関心があっても、地域に9条の会があることを知らない人も多くいます。みなさん自身で、こうした学習会を広めてくださるようお願いします。
(完)
北アメリカ原産の帰化植物で、明治年間に日本に入ったとされています。待宵草の名のとおり、花は夜に開き、日が高くなる頃にはしぼんでしまいます。
日中に見るとしょぼくれていますが、早朝に見ればピンとした黄色のきれいな花が見られます。似たものにオオマツヨイグサがありますが、これに比べ花が小さいのでメマツヨイグサと名付けられました。
いずれも荒地などでよく見られ、冬の間は地面にはいつくばっていますが、夏になると茎を伸ばし次から次へと花を咲かせます。
13年08月11日付「豊平区新聞」より