議会報告
第3回定例市議会(2024年)
<代表討論>
<池田市議質疑>
<代表質問>
第2回定例市議会(2024年)
<代表討論>
<代表質問>
第1回定例市議会(2024年)
<代表討論>
<池田市議、予算特別委員会>
<代表質問>
<敬老パス関連>
<札幌ドーム周辺、開発構想>
第4回定例市議会(2023年)
<代表討論>
<代表質問>
第3回定例市議会(2023年)
<オリ・パラ関連>
<代表討論>
<代表質問>
第2回定例市議会(2023年)
<代表討論>
<代表質問>
第1回定例市議会(2023年)
<代表討論>
<代表質問>
<2022年>
第4回定例市議会(2022年)
<代表討論>
<代表質問>
第3回定例市議会(2022年)
<代表討論>
<決算特別委員会>
<10月6日本会議>
<代表質問>
第2回定例市議会(2022年)
<代表討論>
<代表質問>
第1回定例市議会(2022年)
<代表討論>
<予算組み替え動議提出>
<補正予算等代表討論>
<代表質問>
<2021年>
第4回定例市議会(2021年)
<代表討論>
<代表質問>
第3回定例市議会(2021年)
<代表討論>
<補正予算等代表討論>
<代表質問>
第2回定例市議会(2021年)
<代表質問>
第1回定例市議会(2021年)
<予算特別委員会>
<代表質問>
<新型コロナ関連>
<2020年>
第4回定例市議会(2020年)
<新型コロナ関連>
<子育て関連>
第3回定例市議会(2020年)
臨時市議会(2020年7月)
第2回定例市議会(2020年)
臨時市議会(2020年4月)
第1回定例市議会(2020年)
第4回定例市議会(2019年)
第3回定例市議会(2019年)
第2回定例市議会(2019年6月)
臨時市議会(2019年5月)
第1回定例市議会(2019年)
第4回定例市議会(2018年)
第3回定例市議会(2018年)
第2回定例市議会(2018年)
第1回定例市議会(2018年)
第4回定例市議会(2017年)
第3回定例市議会(2017年)
第2回定例市議会(2017年)
第1回定例市議会(2017年)
第4回定例市議会報告(2016年)
第3回定例市議会報告(2016年)
第2回定例市議会(2016年)
第3回定例市議会(2024年)
第3回定例市議議会(決算議会)は9月18日から11月1日までの日程で開催されました。
最終日の11月1日には日本共産党を代表して吉岡市議(清田区選出)が討論に立ち、 令和5年度各会計歳入歳出決算の認定および、令和5年度下水道事業会計剰余金処分及び決算の認定について反対、残余の病院事業会計決算の認定等7件の議案については賛成しました。
昨年度(令和5年度)の一般会計決算剰余金は61億2百万円でした。このうち31億円については財政調整基金に積み立て、残余の30億円を次年度に繰り越しました。
吉岡市議は、「財政調整基金は2023年度の活用を93億と見込んでいたが、25億円の支消に留まったため、財政調整基金の残額は320億円となった」と指摘。
「財政調整基金は本市が維持するとしている100億円の3倍となっており、幅広い市民の生活支援と社会保障や子育て支援に資する施策に積極的に使うべきであった」と主張しました。
各会計歳入歳出決算の認定に反対する理由として、吉岡市議は、第1に新幹線関係費や都心部の大型開発経費が含まれていることをあげ、
新幹線延伸については、有害残土処理に住民の合意がないもとで進めるべきでないこと、また、都心アクセス道路についても、市民の合意や緊急性もないことから同意できないと主張しました。
反対の第2の理由として、市が招致活動を断念した冬季オリンピック・パラリンピック招致費が含まれていることをあげ、市民の賛否を確認しないまま招致に突き進んだことを批判しました。
第3の理由としては、個人情報集積による漏洩のリスクが高まるマイナンバーカードの普及推進経費が含まれていること、さらに第4の理由として、学校規模適正化、いわゆる学校統廃合を検討する経費がふくまれていることなどをあげました。
下水道事業会計剰余金処分及び決算の認定については、都心アクセス道路整備に伴う下水道管移設工事費用が含まれていることをあげました。
都心アクセス道路整備を開始する前に下水道管移設工事を終了させる必要があるため、本来優先させるべき他の管路の改築が遅れると指摘しました。
吉岡市議は、敬老パスの変更についても指摘。 「市は『敬老パス事業が、若い世代の負担となる』との市民の声をあげているが、市に寄せられたアンケートや、コールセンター、メールで寄せられた意見を独自に分析すると、 『若い世代への負担となる』また、『高齢者が優遇されている』という意見は0.7%であった。 世代間の負担の格差を取り上げるのであれば、自ら実施した意見集約の結果を市は分析し、結果を公開すべき」と指摘しました。
吉岡市議は、「市長は敬老パスの見直しに係わり、11月30日に市長と語る企画を実施し、オープンハウスを2日間、開催すると発表した。
昨年「素案」の段階で市が実施した市内10行政区での意見交換会やイベント開催と比較しても、わずかなものであり、これで新たな変更案を市民に周知できるとは思えない」と指摘。
パブリックコメントを実施する前に、市民説明会や意見交換会の場を各区で実施することや、アンケートにより市民の意思を確認するよう求めました。
バス運転士の不足が全国的な問題となっているなか、10月17日の決算特別委員会で池田ゆみ市議はバス事業者への支援について質問。
今年7月に党市議団がバス協会と懇談した際に、市の赤字補填だけでは運転士の処遇改善や教育への経費捻出は厳しく、12月の乗車料値上げで一時的に経営が持ち直しても、利用者減につながるとの懸念がのべられたと紹介。
今後のバス事業者への財政支援の見通しについて問いました。
和田康広公共交通担当部長は、「補助制度の見直しが運転手確保や車輌更新に有効に作用している。今後もバス事業者との協議の場などにおいて確認して参りたい」と答えました。
池田市議は「公共交通に対して国が財政負担をして事業者を支える必要があり、国がやらないのであれば、市がやらなければ市民生活の足は守れない。定期的な見直しと検証を行い、交通事業者と協議し、効果的支援をしていくべき」と求めました。
また、代替交通である手稲区のデマンド交通の実証実験の検証について質問、「Web予約、電話予約のどちらも選択できることが大切。また、利用したい人が利用できるように運賃の値上げは慎重に検討すべき」と求めました。
9月26日には、日本共産党を代表して小形かおり市議(中央区選出)が質問に立ち、
札幌ドーム、月寒体育館の建て替え問題、敬老パス、財政調整基金、まちづくりと樹木、街路樹の伐採、などについてただしました。
小形市議は、札幌ドームについて、「活用促進のため新コンサートモードの導入やプロサッカー等の試合開催を見込んだが、2027年度までの5年トータルでの黒字化は困難の見通しとなっている」と指摘。
さらに、「ファイターズが移転した北広島のボールパークでは年間を通じてイベントが展開されており、こことも競合し、旧月寒グリーンドーム跡に大谷地にあるアクセスサッポロを移転させる計画は『新展示場』として札幌ドームとも競合する」と指摘。
こうしたことから、小形市議は「札幌ドームは、収益を大きく改善させる見通しがなく、札幌ドーム周辺にスポーツ施設を集約させる『スポーツ交流拠点基本構想』はもう一度見直し、計画は改めるべき」と求めました。
小形市議は「札幌ドームは、車で来場すれば渋滞が懸念され、地下鉄・福住駅からの歩行環境も改善される方向は示されていない。こうした場所に、地下鉄月寒中央駅から徒歩2分の月寒体育館を移転させれば、
現在の年間12万人から14万人の施設利用を大きく後退させることになりかねない」として、「更新が急がれる月寒体育館は、現在の場所で建て替えるべき」と求めました。
秋元市長は、「プレミストドーム(札幌ドーム)の周辺地域については、スポーツ・文化芸術や集客交流産業を振興する拠点形成ということを目指しており、プレミストドームを核としてアリーナや賑わい施設等の集積が必要であると考え、検討を進めている。
月寒体育館の更新に当たっても、こうした拠点形成に合わせ、効率的、効果的な運用配置ができるプレミストドームの周辺地域に立地することが妥当と考え、候補地としている。今後様々な民間からの提案等を参考にしながら検討を進めていく」と、札幌ドーム周辺に月寒体育館を配置することにこだわりました。
敬老パスについて小形市議は、「当面存続する方向としながら、対象年齢75歳への引き上げ、負担割合50%への移行、上限額4万への切り下げ等を段階的に行い、2029年度に移行終了する内容。
『通院や買い物で日常使うことが多い人ほど困る』などの声が我が党に寄せられている。しかも5年後には何らかの変更が検討されることが前提となっており、事実上の廃止に向かう提案でしかない」と指摘。
さらに、「敬老パスは健康アプリと切り離した」としながらも、「この提案の前提は、総事業費約52億円の枠内で、敬老パスと健康アプリの事業を行おうとするもので、今回の提案は、当初提案と本質的に変わらないと考えられる」と指摘。
「健康寿命延伸の課題は、高齢者に限らずすべての市民が対象となる事柄であることから、『高齢福祉』の枠ではなく、ウエルネス推進部を中心にした保健福祉局、もしくは全庁的な課題とし、敬老パス事業とは分けて提案すべきでは」と問いました。
秋元市長は、「健康アプリについては、高齢化に伴う医療介護等の予算増加への対応はもとより、人生100年時代における長い高齢期の充実という観点において、こうした課題の解決に資する高齢者施策として実施するものであります」と答え、あくまでも「高齢福祉」の枠内の施策として取り組む姿勢を示しました。
代表質問では他会派も敬老パス、健康アプリについて言及。その要旨は以下の通りです。
自民:健康寿命延伸と敬老パスを分けたことは評価し、丁寧に説明していくようにと求めました。
民主:大幅な見直しとなるので、より丁寧な説明が必要。「5年後の見直しの効果検証が健康アプリへの全面移行であってはならない」としながらも、「全ての世代に理解を得る努力を」と新制度を消極的に後押し。
公明:「市民一人ひとりの希望に沿って、自分に合った制度が選択できるよう具体的なイメージやシミュレーションを市民に提示していくことが肝要」と新制度の推進を提案。
維新:新制度により2030年度で敬老パスの事業費が39億3600万円に抑制されることを評価。一方、健康アプリの対象者が広いことからこちらの事業費がふくらみ、2030年度で敬老パスと健康アプリをあわせた事業費が52億円という見込みは甘いのではと指摘。
これらの経費を抑制する立場に立ちました。
大規模災害や不測の事態などに対応するための財政調整基金。市の財政調整基金は、昨年度末で320億円となっています。
小形市議は、「2021年から2023年における使用予定額(支消予定額)は合わせて289億円に対し、実際の使用額(決算支消額)は114億。差し引きすると、3年間で175億円が使われなかった。
市としては財政調整基金として、最低100億円を維持するとしているが、基金残高300億円超えの年が、4年連続となっている」と指摘。
その一方で、「市内の有効求人倍率は、『常用雇用』の場合で2020年度から1倍を下回ったまま。勤労者世帯の実収入平均は、前年比10万円弱上がったものの、社会保険料など非消費支出の負担増が、収入の増を上回っている。そのため可処分所得は減り、暮らしの大変さは改善されていない」と指摘。
「財政調整基金は、重要な市民の財産であり、物価や燃料の高騰など、市民生活がかつてなく厳しかった時でもあり、適切に取り崩して活用すべきだったのでは」と問いました。
秋元市長は、「財政調整基金とは、財政面での急激な環境変化や年度間の財源不均衡の調整に対応するための財源であり、今後も機動的な対応が求められる物価高騰や人件費の増高などの事業費の増大、大雪や災害などへの備えとして、一定程度の残高は必要である」と答えました。
冬季オリ・パラ招致費について、小形市議は、「選挙前の骨格予算で6900万円としていた招致費を、選挙後さらに4100万円追加補正し1億1千万円の予算としたのは、市民の賛否の意思を確認しないまま更なる招致に突き進もうとした姿を表したもの」と批判。
その後、市民による、住民投票条例の制定を求める直接請求署名運動が繰り広げられるなか、市は12月に招致活動を停止しましたが、決算として4556万円余が「市民理解促進活動」等に使われました。
小形市議は「市長選挙の結果をみれば、市民理解促進や招致推進の諸活動に使うべきではなかった」と指摘しました。
秋元市長は、「冬季オリ・パラ招致費については、開催の意義や将来のまちづくりに与える効果などについて市民に深く考えていただく機会になったものと認識している」と答え、使用を正当化しました。
近年、札幌においても30度を超える真夏日が何日も続き、35度を超える猛暑日も観測されるようになりました。都市部では、ビルなどが密集していることにより気温が高くなるヒートアイランド現象が深刻になってきました。
小形市議は、「樹木には、CO2を削減する効果の他、樹木の枝が広がって、葉が茂っている状態、つまり『樹冠』が豊かな状態が、日陰を作り冷却効果を生み出す」と指摘。
高い樹木の枝葉が一定面積に占める割合である『樹冠被覆率(じゅかんひふくりつ)』を、都市の緑化状態を測る方法として取り入れることは、ヒートアイランド現象が進む本市でも重要ではないか」と問いました。
天野副市長は、「樹冠被覆率のような項目に関する指標も、都市の緑化状態を測る様々な数値の一つとして今後活用していきたい」と答えました。
(写真は大通公園の樹木と樹冠)
さらに、小形市議は「本市のみどりの基本計画では、都心部について、再開発の時にはみどりを多くするしくみがある。しかし、都心部の再開発等で緑化スペースに新たに植えられた樹木は、マツやヒバなどの針葉樹や、ライラックなどの中低木が多く、
樹冠で日陰を作ることが難しく、ヒートアイランド現象から逃れられる空間は少なく感ずる」と指摘。
「再開発等で生みだされた公共空間に緑地を設置する際に、『樹冠で地面を覆う』という考えを取り入れ、樹木の選定や、その後の保全・管理に本市が積極的な関与を行う必要があると思うが」と問いました。
天野副市長は、「みどりを感じられるような空間を創出するためには、高い樹木を含めた多様なみどりを活用していくことが望ましいと考えている。
そのため民間事業者に対し、日差しを和らげてくれるような樹木の種類やボリュームを示しながら、真夏でも居心地の良い魅力的なみどりの空間の創出を誘導していきたい」と答えました。
街路樹の維持について、小形市議は、旭山公園米里線において「歩道バリアフリー工事」に伴い、約30本のイチョウの街路樹が伐採されたが、
これについて、「なぜ街路樹を伐採するのか」と、周辺住民からの苦情が20件あまりあったことを指摘。
さらに、「実際に車椅子を利用している障がい者団体の方にお聞きしたところ、『車椅子が通れないからといって、私たちは”木を切ってくれ”と市に要望したことはありません』とおっしゃっていた」と指摘。
小形市議は、「街路樹は倒木などの危険性がある場合を除き、原則、維持・保全をするべきだと考える。また、街路樹を伐採したあとも、周辺を樹冠でおおわれる歩道にする工夫を、検討する必要があると思うが」と問いました。
天野副市長は、「市民にとって貴重な財産である街路樹は維持保全をすることを原則としているが、交通の支障となる場合など、やむを得ず伐採することもある。
街路樹を伐採した後、新たに街路樹を植えることが可能な場合には地域の声を伺いながら潤いや安らぎを感じられるような樹種などを検討していきたい」と答えました。
(豊平区でも、南月寒小前の街路樹伐採に疑問が出されました2019年。写真)
以下、追加予定
第2回定例市議会(2024年)
第2回定例市議議会は5月17日から6月4日までの日程で開催されました。
最終日の4日には日本共産党を代表して佐藤綾市議(白石区選出)が討論に立ち、
12月に予定されている健康保険証の廃止に関わる補正予算2件と、母子生活支援施設の廃止に関わる件に反対し、残余の案件に賛成しました。
(討論の全文はこちらに)
国は今年の12月に健康保険証を廃止し、マイナ保険証に移行する方針ですが、
補正予算はこれに向け、マイナ保険証のあるなしに関わらず、国保および後期高齢者医療制度の被保険者に、
あわせて1億1200万円をかけ、マイナンバーの下4桁の情報を特定記録郵便で送付するためのものです。
佐藤市議は「マイナ保険証は、誤登録や、負担割合の誤表示などトラブルが多発し、利用率は低迷しており、本市でも、
国保加入者のマイナ保険証の登録割合は56%で、そのうち利用率は9%、後期高齢者でも登録割合が48%、利用率が5%」と指摘。
「マイナ保険証が国民・市民の信頼を得られていないことの表れであり、12月の保険証廃止はやめるべき」と主張。
さらに、「昨年第3回定例会では、『現行の健康保険証の存続を求める意見書』をあげており、全国の地方議会からも同様にあがっている」と指摘。
本補正予算は、保険証の廃止をしなければ必要のない予算であるとして、これに反対しました。
白石の母子生活支援施設「しらぎく荘(写真)」について、他の4施設で入所の需要を満たすことが可能であるとし、老朽化の状況を踏まえて廃止する条例案が出されました。
母子生活支援施設は、18歳未満の児童を扶養している母子世帯、または、これに準ずる世帯の困難な問題により、児童の福祉に欠ける場合、
入所後の費用負担援助に加え、母子支援員、少年指導員、保育士、嘱託医等が、自立に向けて母子の生活支援を提供する施設です。
しらぎく荘については、2022年収支の悪化を理由に休止とされましたが、その原因は施設の老朽化とともに、トイレと浴室が共同という入所希望者のニーズに合わない構造上の問題がありました。
佐藤市議は、「各区の相談窓口には、半年で100件を超える相談が寄せられ、年間10〜20世帯の入居がある」と指摘。
「しらぎく荘は、地下鉄やスーパーなどが近く、施設の改築で入所者の増員が十分見込める」として、「廃止ではなく、希望する世帯が入れないことがないよう整備し、継続すべき」と主張。
廃止に反対しました。
5月28日には、日本共産党を代表して吉岡ひろ子市議(清田区選出)が質問に立ち、
敬老パス問題、自衛隊への名簿提供、新幹線の札幌延伸、在宅高齢者福祉、市営住宅問題、困難を抱える子どもの支援などについて問いました。
吉岡市議は、「敬老健康パス」について、各区での意見交換会、コールセンター等に寄せられた意見などは反対が多く、
敬老パスの枠組みを生かした制度改善を求める陳情、さら現行制度の存続を求める署名26,000筆が寄せられるなど、反対の声があがっている」と指摘。
これに対し市長は、「新制度の詳細がわからないことへの不安」によるとし、「丁寧に進めていきたい」としているが、
この姿勢は、「市民に是非を問うことなく冬季オリ・パラ招致を強引に進めてきた市民不在の姿勢を彷彿とさせる」ときびしく批判。
「敬老パス制度の今後について、市民の意見を重視し、反映させる気持ちはあるのか」と問いました。
秋元市長は、「得られた市民意見を反映させるために現在、事業費の将来見通しを含めた制度の課題を整理し、併せて経過措置などについて検討している。
人生100年時代を見据え、しっかりとご意見を伺いながら、持続可能な仕組みの構築に向けて取り組んでいく」と制度変更を進める姿勢を示しました。
「意見を伺う」と言うのであれば、これだけ多く出されている「敬老健康パス」反対の声にどう対応するのか、市長としての考えがまず示されるべきでしょう。
市民の意見を聞かず、一方的に「丁寧に説明をする」を繰り返し、時間切れで押し切るやり方を許すことはできません。
札幌市は本年も、9月中旬に18歳と22歳になる若者の情報を自衛隊に提供するとしています。
これについて市は「除外申請」ができることで、本人の自由を保障しているかのように見せかけています。
吉岡市議は、「『除外申請』が必要なのは、そもそも本人や保護者の同意を得ないまま個人情報を提供しているからであり、本人の意に反して名簿提供されている可能性は否定できない。
除外申請をおこなった場合でも、申請をおこなった市民の特定が可能となり、憲法の内心の自由やプライバシー権、自己情報コントロール権といった人権の侵害につながる」と指摘。
「名簿提供は直ちにやめるべき」と市長の考えを問いました。
秋元市長は、「人権侵害につながる」という指摘には答えず、「関係法令や名簿提供に関する国の見解、自衛隊の持つ公益的な役割を踏まえ対応している。
今後も、自衛隊から同様の依頼があった場合には、名簿提供に対する市民の理解促進に努めるとともに、除外申請の手続きについても、十分な申請期間を設けるなど適切に対応していく」と、
国の言うままに名簿提供を続けていく考えを示しました。
「市民の理解促進に努める」と言うのであれば、「人権侵害につながる」という指摘にまず答えるべきです。
鉄道・運輸機構は、「新幹線札幌延伸の2030年度末開業は極めて困難であり、新たな開業時期を示すことは困難である」と、国土交通省に報告しました。
吉岡市議は、「市は開業後10年間の経済波及効果を単年度当たり平均にして、640億円と説明してきたが、2030年度末の開業ができないことで、経済波及効果が大きく損なわれると考えるが」と問いました。
秋元市長は、「新たな開業目標の見通しが示されていないことから、札幌市における経済波及効果への影響は不明である。国や鉄道運輸機構に対し、1日も早い完成開業を求めていく」との回答にとどまりました。
吉岡市議は、「資材の高騰や労務単価の引き上げで、札幌延伸の総事業費は2兆3159億円となり、当初より約6450億円の増額となる計画変更が認可されている」と指摘。
「札幌市の負担分は、駅その他の地域の便益に密接に関連する鉄道施設にかかる工事のうち350億円と説明されてきたが、総事業費増額で負担額はいくらになると考えているか」と問いました。
秋元市長は、「札幌市が負担する工事費は示されていないので、現段階で負担額を示すことはできない。2014年から2023年までに市が負担した建設負担金は約133億円」と答えました。
吉岡市議は、「アクションプラン2030は、2030年度に札幌延伸が実現されることを前提に、地域経済、企業誘致、観光、公共交通などの各事業計画が示されているが、
2030年延伸が困難となった今、戦略ビジョンやアクションプランにどのような影響があるか、見直しも必要では」と問いました。
秋元市長は、「開業目標の見通しなどが示されていない状況であり、現時点でまちづくり戦略ビジョンおよびアクションプランへの影響を見込むことは困難」とだけしか答えませんでした。
吉岡市議はトンネルの多い延伸工事で7件の死亡事故が起きていることや有害残土の十分な対策が示されないまま工事が進められていることを指摘。
「工事にあたっては、ことさらに工期短縮を求めるのではなく、環境配慮や安全をこれまで以上に優先した工事となるよう、国や鉄道・運輸機構に要請する」よう求めました。
吉岡市議は「今年度、小学校におけるスクールカウンセラーの配置が年間69時間から140時間に拡大され、小中学校へのスクールソウシャルワーカーが19名から23名(会計年度職員15名と有償ボランティア8名)となったが、
児童生徒や保護者からの相談やカウンセリングなど、きめ細やかに対応するには常勤のスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーが必要ではないか」と問いました。
山根教育長は、「今後も引き続き、国に対し財政措置を求めるとともに、スクールカウンセラーおよびスクールソーシャルワーカーが、各学校において専門性を一層発揮できるよう、子供の教育相談体制の充実に努めていく」としたものの、常勤化については答えませんでした。
吉岡市議は、不登校の子どもの選択肢のひとつにフリースクールがあるが、フリースクールを実施する施設への補助はあるものの、利用している子どもの世帯への補助がないことを指摘。
「授業やカリキュラムがある通学型のフリースクールでは、利用料が月額3万円台から5万円台となっており、利用料への補助を求める陳情も市議会へ出されている。フリースクールへ通う児童生徒へ、通学費や利用料等の補助が必要と思うが」と問いました。
町田副市長は、「本市はフリースクール等民間施設に対する補助を行っており、そのことが保護者負担の軽減に繋がっているものと考えている」と答えるにとどまりました。
第1回定例市議会(2024年)
第1回定例市議議会は2月14日から3月26日までの日程で開催されました。
最終日の26日には日本共産党を代表して佐藤綾市議(白石区選出)が討論に立ち、
一般会計予算、国民健康保険会計予算、後期高齢者医療会計予算、職員定数の削減など7件に反対し、残余の18件に賛成しました。
(討論の全文はこちらに)
冒頭、佐藤市議は、新年度予算の柱について、@「子ども・子育て支援」については、「子ども医療費助成対象を中学生まで拡大するなど、長年の市民要望に一定応えた予算となった」と評価。
しかし、A「GX・脱炭素、経済活性化(再生可能エネルギーへの転換を図りこれを経済成長の機会にする)」については、「企業誘致や設備投資等への優遇税制、札幌駅周辺の再開発事業への多額の補助を行う一方で、本市企業の99%を担う、中小・小規模企業の経営を守る施策は、不十分」と批判。
「市は、民間再開発の促進として補助金等の増額を繰り返してきたが、事業評価と市税投入の検証が必要」と指摘しました。
B「市民生活を支えるための取組」としては、「生活道路の整備や、除排雪のさらなる強化、超高齢社会を迎え、介護や医療などの市民福祉のいっそうの充実が求められる」と指摘。
さらに、「学校給食費は、食材費高騰分を公費負担し据え置きとしているが、保護者負担の実質的な軽減へ踏み出すべき」と主張しました。
一般会計予算に反対する理由として、佐藤市議は、第1に市民の十分な合意が図られていない事業が含まれていると指摘しました。
「北海道新幹線推進費として50億8千万円余り、新幹線札幌駅東改札口整備関連費2億4千万円余りが計上されているが、札幌延伸は、ずさんな需要予測のもとに着工が始まり、経済波及効果の根拠も希薄なまま。 何よりも、トンネル工事から出る有害残土の手稲区山口への持ち込みを強行し、根強い市民の反対運動が続いている」と指摘。「市民との軋轢を広げており、計画自体を見直すべき」と主張しました。
さらに、都心アクセス道路建設事業の直轄事業負担金10億円が、計上されていること、「下水道事業会計予算」に、都心アクセス道路事業に伴う、管路移設工事費用92億円が含まれていることを指摘。 「都心アクセス道路は、必要性に乏しく市民合意がないまま多額の税金を投入するものであり反対。そのための下水道管路整備も、本来急ぐ必要がない移設経費であることから、反対」と主張しました。
佐藤市議は、学校統廃合に係る予算2700万円余りが、学校施設新改築費に含まれていると指摘。現在、6地区で学校統廃合にかかわる学校規模適正化検討委員会が設置されているが、地域住民をおきざりに、合意なくすすめることは容認できないとして反対しました。
一般会計予算に反対する第2の理由として、佐藤市議は、敬老パス制度変更のためのシステム構築・アプリ開発費6億7千万円余りが含まれていることを指摘。
佐藤市議は、「市が10区で開催した『意見交換会』には、約1500人が参加し、コールセンターには1300件、ネットでは1000件の意見が寄せられ、その多くは『敬老パスの見直しと健康寿命の延伸は分けて検討するべき。上限額2万円では足りない』など、拙速な制度変更に批判的なものがほとんどであった」と指摘。
「議会では『経過措置』を検討する旨の答弁があったが、そうした提案を行う前に、まず、健康寿命の延伸と、敬老パス制度の議論を分けるべき。そして、現行の敬老パスではタクシーやJRに使えない課題をどのようにして改善するかや、7万円の上限額、負担割合などについて、市民と十分に情報を共有し、期限を区切ることなく意見交換を重ね、一歩一歩合意形成を図るべき」と主張。
そうした議論がなく、アプリやポイントなどを導入すれば、市民の怒りが拡大していくことは必至であるとして、「結論ありきの姿勢を改め、経過措置やアプリ開発の方向をいったん白紙に戻し、現行の敬老パス制度を土台に議論すること」を求めました。
第3の理由として佐藤市議は、マイナンバー制度対応のシステム改修やカードセンター運営費などの関連事業費として、8億2千万円余りが含まれていることを指摘。
佐藤市議は「マイナンバーカードと紐づけられた各種サービスの利用情報が集積されると、個人の特定が可能となり、情報漏洩の危険に市民は常にさらされることになる。また、国が国民の消費動向や健康・医療・預金などの情報を得ることは、国民監視につながる」として反対しました。
国民健康保険会計予算、後期高齢者医療会計予算については、高すぎる保険料が改善されないとして、反対しました。
国保料については「最高限度額の引き上げなどで中間層の負担を軽減するとしながらも、平均保険料で7451円も上がることになり、多子世帯など家族が多いほど負担が重くなる仕組みである。本市独自で、18歳以下については、均等割を半額減免とするなど改善が必要」と求めました。
また、保育園及び学校の給食調理業務の民間委託により10人、学校用務員5人などを削減する職員定数条例の改定に反対しました。
高齢化が進んで、投票所までの移動が困難な方が増えています。3月1日の予算特別委員会で池田市議は、投票所までの移動が困難な方が選挙権を行使できるようにする対策の拡充を求めました。
池田市議は「投票所まで行けない障がい者や要介護5の方については、郵便による不在者投票制度があるが、そのための証明書を発行されている方は全市で505人と極めて少ない。郵便による不在者投票制度の利用者を広げていくことが必要と考えるが」と問いました。
石田選挙管理委員会事務局長は、「郵便等による不在者投票の対象者について、要介護4および要介護3まで拡大するよう、政令指定都市20市で構成する選挙管理委員会連合会を通じて国に要望している。引き続き、連合会を通じて国に要望していく」と答えました。
池田市議は「全市で要介護5の方は、7807人で、障がい者も含めてまだまだこの制度が知られていない、あるいは投票への諦めの思いが定着しているのではないか」と指摘。制度の丁寧な周知を求めるとともに、投票行動を諦めないで政治に参加していく意義を広げていくことが必要と強調しました。
病院や高齢者施設など施設内で投票ができる不在者投票指定施設は、全市で541施設となっています。
池田市議は「市の選挙管理委員会は毎年5月と11月に、要件を満たす施設に施設内投票の申請案内文書を送って、指定施設の増加に取り組んでいるということであるが、その増減はどうなっているか」と問いました。
石田事務局長は、「昨年4月の統一地方選挙時点では532施設であったのに対し、9施設の増。9施設の内訳は、新規指定による増が11施設、定員や病床数が指定基準以下に減少したことによる指定解除に伴う減が2施設。
今後も指定を受けていない施設に対しては、地道に働きかけを続けていく」と答えました。
池田市議は、「地道な働きかけ」の効果が現れていると評価するとともに、「申請案内文書を送って、施設からの問い合わせを待つだけでなく、選挙管理委員会から訪問をするなどの取り組みがあれば、さらに不在者投票指定施設を増やせるのでは」と、選挙管理委員会の積極的取り組みを求めました。
2016年の国政選挙から、投票所への移動支援や移動期日前投票所に必要な経費の財政措置がされており、政令市においても定められた額の範囲で措置されることになっています。
池田市議はこうした点を指摘し、札幌市においても移動期日前投票所の開設や、投票所への移動支援について検討していく必要があるとして、市の取り組みについて問いました。
石田事務局長は、「移動期日前投票所については、多くが市町村合併や過疎化の進行で投票所を統廃合した代償措置として導入されているとして、「現時点で移動期日前投票所の導入は考えていない。移動支援も同様に統廃合した場合の支援としてやっているので、この検討もしていない」と答えました。
池田市議は、投票所の設置は2qから3q圏内ということになっているが、高齢になって2〜3qが大変な方が増えてきている。タクシーを利用するにしても年金生活者、生活保護世帯には大きな負担になるとして、
「高齢になっても投票する意思を支え、政治参加を保障する取り組みが、さらに重要になっていく。本市の状況を分析し、どんな支援が必要か、市民の目線に立った取り組みが必要」と指摘し、予算を確保して、移動困難者の投票を保障する対策に取り組むことを強く求めました。
2月21日には、日本共産党を代表して田中啓介市議(西区選出)が質問に立ち、
敬老パス、高齢者の住宅問題、気候変動対策、札幌ドーム周辺の開発構想、災害対策、子育て・教育支援などについて問いました。
田中市議は、敬老パスの交付者に対する利用者割合は、85才から89才で58%、90才以上で33%と、高齢になるほど低下している」と指摘。
「市議会には『敬老パスを、タクシーやJRでも使えるようにしてほしい』という陳情が繰り返しあがり、現在も継続審議となっている。
高齢になればなるほど、『バス停まで行かれない』などの歩行困難を抱えるので、タクシーとJRでも使えるようにしてほしいという、市民の切実な声をどのように認識しているか」と問いました。
町田副市長は、「平均寿命が大幅に伸び、それと同時に、加齢による身体状況の低下などから、多様な手段で使いたいといった声があると認識している。
デジタル技術の普及により様々な決済手段の導入が進んでおり、新たな敬老健康パスにおいては、タクシーやJRで利用できる仕組みとするよう検討していきたい」と答えました。
再質問で田中市議は、「現在の敬老パスを、タクシーやJRで利用できるように拡充をし、高齢者の健康・福祉推進を目的とする敬老健康パスは別のものとして考えるべき」と求めました。
しかし、秋元市長は、「今の敬老パスの仕組みを広げていくことは、現実にはなかなか難しい。既に使われている様々なポイント制度、こういったものを利用した中で、利用者が使えるようにしていく」と、ポイント制度にこだわりました。
田中市議は、都心部など交通の便が良い地域に住んでいる場合に比べ、郊外の交通の便が悪い地域に住んでいる場合は、チャージ額を多く必要とし、
地域により交通費助成に不平等が生じていることをどのように認識しているかと問いました。
町田副市長は、「交通利便性が低い地域において利用者のチャージが多いわけではなく、むしろ中央区などの交通の利便性が高い地域でチャージ額が多い傾向にある。
利用状況の差は、居住地域のみならず、生活実態や加齢に伴う身体状況の違いによるものも大きいと考えられる」とし、
今後検討していく敬老健康パスによって、社会参加なども含む日常的な活動量を見える化し、健康寿命を延ばしながら高齢者の個々の事情に応じて幅広く日常生活を支えられる環境を整えていくよう、検討していきたい」と、
あくまで健康づくりと敬老パスを結びつける考えに固執しました。
敬老健康パスの素案について田中市議は、「制度として平等であるべき」という市の考えも聞いているが、「多くの人に参加してもらい、平等な制度にするためには、
制度の変更ではなく、無償のフリーパスとして使える敬老パスこそが、より良い制度になると思うが」と問いました。
また、「なにより、市民に喜ばれている制度であり、市民の合意なしに変更を強行してはいけない」と求めました。
町田副市長は、「敬老パスは加齢とともに利用が減少していくが、より多くの高齢者にとって利用しやすくなるよう、公共交通機関以外の用途としても活用できる敬老健康パス制度の素案を考えていきたい。
より多くの方に喜ばれる仕組みとなるよう、段階的な導入も含めて検討し、しっかりと市民の声を伺い、持続可能な制度を構築していく」と答えました。
再質問で田中市議は、「段階的な導入とは具体的にどういうことなのか」と問いました。
秋元市長は、「現在既に敬老パスを利用している方の経過措置というようなことも検討していきたい。いろいろなシミュレーションをしながら進めていきたいと思っている」と答えました。
「シミュレーションしながら」ということなので、いろんな案を考え検討していくということのようですが、
いずれにせよ、現行の敬老パス制度の切り下げを許さず、今後の動向を注意深くみきわめていく必要があります。
高齢者の住宅問題について田中市議は、「本市は、高齢者住宅として『サービス付き高齢者向け住宅』を推進しているが、利用者は、家賃・食費・サービス費・介護保険の自己負担分などを合わせ、月17万円程度の負担ができる人に限られている。
低廉な経費で入居できる軽費老人ホームは、8施設で定員450人、ケアハウスは17施設、定員1,050人と、高齢者人口に対し、公的施設が少ない。入居を希望しても、待機者が多くて入居できない」と指摘。
「低廉な家賃で入居できる市営住宅の増設を行うとともに、サービス付き高齢者向け住宅の自己負担の補助や民間賃貸住宅の家賃補助制度などを検討すべきでは」と問いました。
天野副市長は、市営住宅の増設については「今後の人口減少や民間賃貸住宅の空き家の状況等を踏まえ、管理戸数を抑制していくことを基本としている」と拒否。
「不動産関係団体等と連携し民間賃貸住宅も活用しながら、住宅市場全体でセーフティネットを構築していく」と答えました。
民間賃貸住宅の家賃支援制度については、「その必要性を慎重に検討すべきもの」と前向きの回答がありました。
札幌ドームは、総事業費550億円のうち400億円を市債発行して、2001年につくられました。
新型コロナの影響前は年間39億円程度の売り上げがあり、そのうち、日本ハムファイターズの利用料収入が3割を占めていました。しかし、日ハムの本拠地移転で年間約12億円の収入をコンサートなどのイベント導入で穴埋めする必要性が生じることとなりました。
また、建物の保全には、今後毎年10億円程度を必要とします。
札幌市は札幌ドーム周辺を高次機能交流拠点、スポーツ交流拠点と位置付け、スポーツ施設等を配置し、にぎわいや札幌ドームとの相乗効果を発揮させるとしていますが、
相乗効果は日ハムとともにエスコンフィールドに奪われてしまいました。
年間2億5000万円で売り出した札幌ドームの命名権も買い手がつかず、企業にも人気がありません。
田中市議は、「日ハムの移転に加え、冬季オリ・パラの招致もなくなり、少子高齢化や人口減少の時代を迎え、札幌ドーム周辺をスポーツ交流拠とすることを見直すべきでは」と問いました。
秋元市長は、「オリ・パラの開催などに関わらず、スポーツ交流拠点の整備が必要だと考えている。引き続き社会環境の変化や市民ニーズなどを踏まえながら検討を進めていく」と答えました。
次いで田中市議は、「札幌ドームまでは福住駅から10分、建物内の目的地までさらに10分と歩行距離が長く、高齢者や障がい者には辛い。マイカーやバスを利用するにしても周辺道路の渋滞が予想され、ドームの収益性を向上させるほどの相乗効果は期待できないのでは」と問いました。
さらに、「隣接する国立研究開発法人・農研機構の土地取得は見込めず、ドームの駐車場に新たな建物を建設すれば、駐車スペースが減少し周辺駐車場に向かう渋滞が深刻になる。加えて南側には羊ヶ丘展望台があり、一帯は都市景観を保全すべき『風致地区』となっているが、施設建設によって、周辺の豊かな緑を損なうことになるのでは」と問いました。
秋元市長は、「ドームとの相乗効果を生み出す機能の導入や、効果的な施設配置が重要と考えている。基本計画の策定に向けては、導入する機能や、建設する場所等についても検討をしている」と、あくまでスポーツ交流拠点として開発することにこだわりました。
しかし、相乗効果や緑の保全などについては、「期待できる具体的な相乗効果や、周辺の交通対策、既存の緑の保全、活用方法などについても整理をしていきたい」と、あいまいな回答となりました。
田中市議はさらに、札幌ドーム敷地内に建て替えが計画されている月寒体育館について、現在地での建て替えを求めました。
田中市議は、「月寒体育館のある現在地は、市の都市計画マスタープランで地域交流拠点と位置付けられており、にぎわいや交流が生まれる地域とされ、月寒屋外競技場やカーリングスタジアムも配置されている。市民意識調査では公共体育館に求めるものとして、『地下鉄など交通アクセスの利便性』があげられている」と指摘。
「交通利便性の良い現在地で建て替えたほうが、高齢者や子育て世帯の移動や費用の負担を軽減させ、多くの市民が参加し、スポーツをより振興できるのではないか」と、問いました。
秋元市長は、「札幌ドーム周辺は、多様なイベントが開催されることはもとより、拠点の機能を高める施設の立地を進めることとしている。月寒体育館の更新に当たっても、こうしたまちづくりと連携していくことで、より整備効果が発揮できるものと考えている」と、札幌ドーム周辺への移転にこだわりました。
札幌市は、冬季オリ・パラ招致に向けて基金を積み立ててきました。しかし、招致活動を停止することになったことから、オリ・パラ基金を廃止し、一般財源から積み立てた50億円を「まちづくり推進基金」に移す条例改正案が提出されました。
田中市議は、「オリ・パラ招致反対という市民の理由の第一は、『オリンピックよりも市民生活を支える施策を優先してほしい』というものであった」と指摘。
「市民の思いを受け止めるなら、オリパラ基金は一般財源にもどし、燃油価格の高止まりや物価高騰の支援など苦しい市民の暮らしに使うべき」と求めました。
秋元市長は、「スポーツ施設の改修など、都市施設の整備や都市活性化のための諸事業の推進に活用するため、残金をまちづくり推進基金に編入することとした」と答えました。
子どもが増えると負担が増える国保料の均等割について、その軽減を求めました。
現在未就学児の均等割については国の施策で半額となっていますが、田中市議はこれに加え、市独自で18歳までの国保料の均等割を半額に減免することを求めました。
これが実現すれば、未就学児の均等割はなくなり、18歳までは半額となります。
町田副市長は、北海道では国の方針に基づき、同じ所得、同じ世帯構成であればどこの市町村に住んでいても、保険料が同額となる統一保険料を導入することとしており、
札幌市として子どもの均等割の軽減を独自に行うことは難しい」と応じませんでした。
田中市議は、「現在、政令指定都市では、窓口負担の完全無料が3市、年齢を限定し無料としている都市は10市、所得制限を設けているのは、4月時点で札幌市を含め3市のみ」指摘。
「本市としても高校生まで医療費無償を広げることを決め、市民からは大変喜ばれている。育ちざかりの子を持つ世帯にとって、580円という窓口での出費は受診をためらう要因となっている。
皮膚科、耳鼻科など同時期に複数の外来にかかることもあり、そのたびに負担が生ずる。初診料の自己負担と所得制限をなくし、完全に無償化とすることが、すべての子育て世帯への支援となる」と求めました。
町田副市長は、「今後の更なる拡大については、事業の持続可能性や他の医療費助成制度とのバランスなどを勘案しながら検討していく」と答えました。
田中市議は、「義務教育でありながら小中学校では、補助教材や、校外学習、制服やかばんなど、小学校6年間で約51万円、中学校3年間では42万円もの保護者負担があり、その上に、給食費が年間5万円から6万円以上もかかることから、負担軽減と食育の観点として、独自で給食費の公費負担をする自治体が増えている。
小中学校とも給食費無償化を実施している自治体は全国で約500と広がっている。道内でも、小中学校とも給食費無償化が50自治体に増え、小学校だけの実施、あるいは半額助成や第2子以降を減額・無償とする自治体を含めると44%となっている」と指摘。
「本市も、給食費の無償化、せめて半額軽減など実質的な保護者負担の軽減に踏み出すべき」と求めました。
厳しい意見続出、現行「敬老パス」の存続を
札幌市は高齢者の外出を支援し、生活の充実を図ることを目的とした「敬老パス」制度を、健康づくりのためとする「敬老健康パス」制度に変えようとしています。
市はこの素案に対する意見交換会を各区で開催し、1月27日までで全区の意見交換会が終わりました。どこの区でも、反対する意見が続出しています。
1月19日には豊平区民センターで意見交換会が開催され、ここでも厳しい意見が続出しました。
会場で市の担当者を囲み意見を述べる参加者
会場は午後2時開会となったものの、意見交換は午後4時から5時までと短時間。2時から意見交換会と思ってたくさんの方が来場し、
豊平では2時からと4時からの2回意見交換会を開くことになりました。しかし、真冬の午後4時からの時間設定、しかも1時間限定とは、
本当に市民の声を聞く気があるのかと批判が出されました。
他区では、ショッピングモールの一画が会場となり、発言者の声も十分聞き取れない状況であったり、当初市の担当者が、「個別に意見を聞く」としたものを、
「他の人の意見も聞かせて欲しい」と対話形式の意見交換会に変更させたりした所もありました。
意見交換では次々手があがりました
7万円をチャージしているという方は、「おかげさまで健康で、毎日1万歩あるいている。2万円に引き下げられたら家に閉じこもることになる」と訴えました。
5万円を利用しているという方は、「コロナ禍でも2〜3万円利用しありがたかった。家にこもらないで出歩き、健康につながった。是非継続して欲しい」と語りました。
2〜3万円利用してきたという方は、「親族の家を訪問したり通院に利用したりと、少ない年金のもとで暮らしを支えてもらい元気に過ごせた。
JRやタクシーで使えるようにするのは良い。しかし免許の返上も考えており、通院以外にバス、地下鉄の利用が増えるのに、負担が増えるのは困る」と今まで通りの制度を求めました。
敬老パスの対象になっていない「若い」世代の方からも発言がありました。
「歩かないとポイントをあげないとは、本当にひどい制度、みんな年を取るのだから、いずれこの制度のお世話になる。有識者会議(健康寿命延伸検討委員会)の考えと聞くが、市民を加えた中で検討しないからこういうことになる」と批判。
「今の制度は残し、利用していない人には、その人に合った使い方ができるようにすればよい」と求めました。
一部の高額利用者が敬老パスの予算の多くを使っているという点については、「それは家族に会いに行ったり、ボランティア活動をしたり、習い事をしたりと、敬老パスの目的が果たされているということ。これをどれだけ評価しているのか。
やたら利用の格差が問題だとあおっているように思われる」と批判されました。
「市は反対意見が多いことから、素案を見直す」との報道もありますが、今は市に意見をどんどんあげていくことが大切です。意見受付の期限は2月末です。
市民団体(札幌社保協)では、早急に取り組みたいと署名の準備をしています。
日本共産党市議団は昨年の第4回定例市議会で、「現行の敬老パスの趣旨を受け継ぐ。市の案にこだわるのでなく、市民の意見を取り入れていく」との言質を取っています。
また、敬老パスのタクシー、JRなどへの拡大も求めてきました。対案を出しながら議会で頑張っていきます。
第4回定例市議会(2023年)
第4回定例市議議会は11月29日から12月12日までの日程で開催されました。
最終日には、日本共産党を代表して田中啓介市議が代表討論に立ち、40議案中、義務教育校への再編や健康保険証の廃止に伴うシステム改修など5件に反対するとともに、他の案件に賛成しました。
(討論の全文はこちらに)
札幌市は2011年に真駒内の、真駒内、南、緑、曙の4小学校を統合し、真駒内公園小と真駒内桜山小に再編しました。
今回、真駒内桜山小と真駒内中を合わせ、義務教育校(小中一貫校)とする条例案が出されました。
田中市議は、「義務教育校の提案は、真駒内の住民にとって度重なる学校再編であり、不安や疑問が多く出されるのは当然。『700名を超える学校を設置することには反対。きめ細かな対応は小規模校でこそ実現できる。説明が不十分』などの声が寄せられている」と指摘。
「これらの声に対し、市は、『国の基準であり義務教育学校として十分に機能する』と答えるのみで、説明や議論がつくされたとは言えず、合意は不十分」として、反対しました。
「札幌市地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の一部改正」は、時計台周辺地区について、加算容積率を設けたことで、より高層の建築物が建てられる計画となります。
田中市議は、「わが党は、本市が誇る豊かで広大な自然や、時計台などの文化財を生かすため、まちづくりには、景観への特段の配慮が必要と求めてきました。
今ある建物以上の高層建築物を許容するというまちづくりは見直すべき」として、反対しました。
国民健康保険会計の補正予算案は、マイナンバーカードと保険証の一体化(マイナ保険証)により、保険証を廃止することに伴い、マイナ保険証を持たない人に対する資格確認書を発行するためのシステム改修予算でした。
田中市議は、「マイナ保険証を保有していない人への対応として『資格確認書を5年間のみ申請によらず交付する』との国の取り扱いは、現在の保険証をそのまま使えるようにすれば済むこと。
資格確認書を発行するためのシステム改修は、マイナンバーカードの保有は任意だとしながら強制する、という矛盾をかわすための、国による非合理的な施策がもたらすものであり、認めることはできない」として反対しました。
今議会では、市職員の給与改定案が提出されましたが、田中市議は、「市長など特別職職員の期末手当まで引き上げることは、認めることはできない」として、特別職職員の給与改定には反対しました。
第4回定例市議会では4件の意見書と1件の陳情が採択されました。
このうち「核兵器禁止条約締約国会議へのオブザーバー参加を求める意見書」と、「精神障害者の公共交通機関運賃割引の導入促進を国に求める意見書に関する陳情」は、維新を除く会派の賛成で採択されました。
会派では唯一維新の会が反対し、市民の願いに反する維新の姿が鮮明になりました。
今まで共産党などが提出してきた「核兵器禁止条約の批准を求める意見書」は自民・公明の反対で不採択となってきました。 今回は「締約国会議へのオブザーバー参加を求める意見書」として提出しましたが、これには自民、公明も反対できず採択となり、国会および政府に対し、 「核兵器禁止条約締約国会議にオブザーバーとして参加することを要望する」とする意見書が提出されました。
本陳情は、精神疾患を持つ人たちが生活していくには、定期的な通院と投薬が欠かせず、交通費が大きな負担となっていること、
また作業所を利用する場合も、受け取る工賃より交通費の方が多くなり、通所意欲を失わせる事態も生じているとして、公共交通機関運賃割引の導入の促進を求めるものです。
札幌では2019年に地下鉄と路面電車で割引が始まりましたが、バスはまだです。7割の障がい者はバスを乗り継いでおり、バスの運賃割引も実施してほしいと、国に対しその促進を求めたものです。
12月6日には、日本共産党を代表して長屋いずみ市議(北区選出)が質問に立ち、冬季オリンピック・パラリンピック招致、敬老パス、除排雪問題などについて問いました。
長屋市議は、冬季オリ・パラ招致について、2034年ばかりか、38年も可能性がなくなったことを指摘。「秋元市長は34年以降の招致の可能性をさぐる」と言ってきたが、
「15年、20年先の大会招致の夢を語っても市民にに響かない」として、「IOCとの継続的な対話のステージから退き、すべてを白紙に戻すべき」と市長の考えを問いました。
秋元市長は、「現時点で招致活動を具体的に進めていける状況ではないと認識している」と答えるにとどまりました。
長屋市議は、「本市のオリ・パラ招致は、その目的を、投資を呼び込む都心のリニューアルと位置付け、市民合意が不十分なまま、都心アクセス道路、新幹線延伸、都心部再開発などを押し進めてきた。
これらは、行き過ぎたオリンピックの商業主義の姿と重なり、招致への市民の理解が得られなかった大きな要因」と指摘。招致が見通せなくなった今、招致を前提とした『まちづくり戦略ビジョン』などの各計画を見直すべき」と問いました。
秋元市長は、「まちづくり戦略ビジョンは、大会招致を前提として策定したものではないとして、大会誘致の動向に関わらず、現時点で各種計画の見直しが必要とは考えていない」と答えました。
長屋市議は、昨年度末で51億9千万円ほどになっているオリ・パラ基金について、一般財源から積み立てた50億円を一般財源に戻すことを求めました。
秋元市長は、「今後の招致活動については、競技団体を初めとした関係者の意向も確認して判断をする。その結果に応じて基金のあり方についても今後検討していく」と答えました。
バス路線の維持困難など、地域の交通問題が深刻になってきています。
札幌でも例外でなく、12月から中央バスの減便や札幌駅直通便が最寄りの地下鉄駅止めとなるなど、高齢者にとっては外出しずらい状況となりました。
長屋市議は、こうした状況は地域公共交通を利用者からの乗車料収入で賄うという独立採算制の限界を表しているのではないかと指摘。「独立採算制から脱却し本来の役割を果たすため、国による財政負担や支援のしくみが必要だと考えるが」と見解を問いました。
天野副市長は、「生活交通の確保維持の観点から、必要に応じて国を含む行政が交通事業者への支援を実施している。今後も運転手不足や昨今の厳しい社会情勢に対応するため、国に対して支援制度の充実、拡大を要望していく」と答えました。
市の「総合交通計画」では「交通モード間が連携したシームレスな交通」を基本としています。しかし、札幌駅、大通駅では南北線と東豊線の乗換には距離があり、JRと地下鉄がつながっているのは札幌と新札幌だけです。
長屋市議は、「本市の交通結節点は移動しやすいとは言い難い状況にある。シームレスを徹底した整備が急がれる」と指摘。「市民や来訪者にとってわかりやすく、歩かせることなく、雨や雪に濡れることなく、次の交通機関に待たされずに乗れるしくみを、すべての交通結節点に整備する考えを持っているか」と問いました。
天野副市長は、「駅を中心とした交通結節点において、駅前広場やバスターミナルの再整備やエレベーターの設置を初めとする必要なバリアフリー化などを順次進めている。引き続きこれらの取り組みを着実に進めることにより、市民や観光客にとって移動しやすい環境作りを進めていく」と答えました。
札幌市は現行の敬老パス制度を大幅に変え、健康づくりを強調した敬老健康パス制度とすることを打ち出しました。
これは、ウオーキングや介護予防への参加などによりポイントを貯め、それを公共交通機関で利用できるようにするもので、利用者の負担はなくなるものの、利用の上限は現行の7万円から2万円に大きく引き下げられます。
これについては、スマホを持っていないとポイントは貯められないのか、障がい者や歩くことができない人はポイントがもらえないのかなど、とまどいと疑問の声があがっています。
市は来年2月末まで健康敬老パスに対する市民の意見を受け付け、本年度中に最終案を示し、2025年度中に利用開始する予定としています。
現行の敬老パスの「敬老」には、多年にわたり、社会に尽くしてきた高齢者を敬い、長寿を祝うという意味が込められています。
長屋市議は、「変更案では健康づくりが強調されているが現行敬老パスの『敬老』の精神が継承され、70歳以上の全ての市民を対象にする、という考えに変わりないか」と問いました。
町田副市長は、「敬老健康パスも敬老パスの趣旨を受け継ぎ、対象も敬老パスと同一」と答えました。
続いて、長屋市議は「今後のスケジュールでは、12月から2ヶ月弱で、市民アンケートと10区での意見交換会、2月までの意見募集となっているが、
このような市民に大きな影響を与える変更を行う場合は、何より市民合意を重視し、時間をかけ、意見交換を重ねて結論を出すべき。また、出された意見を変更案に柔軟に取り入れていくべきと考えるが」と問いました。
町田副市長は、「丁寧な議論を行うことが必要と認知している。市民の考えや意見を取り入れながら、敬老健康パスの内容をよりよいものにしていきたい」と答えました。
物価高騰対策について、市は住民税非課税世帯に対しては、国の「低所得世帯支援枠」の追加配分により、1世帯7万円を支援する予算を提案しましたが、これより少し所得が上回り、住民税の均等割のみ課税される世帯は対象となりません。
長屋市議は、「国は、非課税世帯に準じた低所得世帯にも同様の支援を行う必要があるとして検討中であるが、国の結果待ちにせず、こうした世帯にこそ市として支援を行うべきと考えるが」と市長の見解を問いました。
秋元市長は、「非課税世帯に準じた低所得世帯への支援については、国の動向を注視しながら、時期を逸することなく、必要な支援が講じられるよう取り組んでいく」とするのみで、市独自の支援については言及しませんでした。
札幌市は国の「学校給食等食材費高騰対策費」を、給食食材費の高騰分に使うことで、給食費を据え置き、保護者負担を増やさない対応を取っています。しかし、物価高騰が続く中、給食費の据え置きに留めず、軽減や無償化に取り組む自治体が増えてきています。
長屋市議は、「本市においても、食材費の高騰分にとどまらず、独自予算を活用するなどして給食費の保護者負担の軽減をすべきだと思うが」と市長の見解を問いました。
秋元市長は、「食材費の高騰分を公費で負担することにより、来年度も保護者負担が増えないように対応していく」とするのみで、それ以上には踏み込みませんでした。
市は、「ふゆみちプラン2018」に基づき、道路の幅を狭めた排雪や、雪を残す排雪方法などの実証実験を一部の地域で行ってきました。今年度の結果をふまえ、有識者を交えた外部委員会を立ち上げ、生活道路排雪のあり方を検討していくとしています。
長屋市議は、除排雪は市民意識調査で常に「力を入れてほしい施策」の上位を占め、地域生活に密着していることから、市民の意見が最大限反映されなければならないとして、「外部委員には、町内会の代表はもとより、市民委員を公募し、幅広い市民で構成する必要があると考えるが、その考えはあるか。
また、意見募集は、パブリックコメントにとどめず、説明会、意見交換会をきめ細かく開催していくことで、多くの市民の意見を反映させることが必要と考えるが」と問いました。
天野副市長は、「外部委員については、有識者や除雪事業者等の他、公募による市民委員などを想定している。意見募集については、連合町内会長との意見交換会に加え、市民アンケートの実施など、さらに多くの市民から意見をいただけるよう検討していく」と答えました。
長屋市議は、「除排雪に従事するオペレーターの方は、深夜出動や緊急出動には気が休まることがなく、緊張感を強いられると聞いている。生活道路に雪をためず定期的で規則的な排雪作業を行えば、次の降雪時の除排雪作業を軽減することになり、
除雪作業を担う人にとっても精神的、身体的な負担が少なく、担い手確保への貢献にもなると考えるが」と見解を問いました。
天野副市長は、「生活道路全てにおいて雪をためずに定期的で規則的に排雪作業を行うことは、これまで以上に多くの人材や機材が必要となり、現状の体制を維持することが課題となっている状況下においては、実施は困難」と答えました。
長屋市議は、「生活道路の排雪は、一般通行や通学の他、近年は、訪問看護やデイサービスの送迎、宅配サービスの拡大など物資やサービスの提供を支えるインフラとして重要性を増している」と強調。
しかし、「パートナーシップ排雪では、町内会の財政力によって利用するかどうか、また排雪の質にも格差ができる」と指摘。
「道路の管理は市が責任をもって行うべき。生活道路の排雪は、全額公費負担とするべきでは」と求めました。
天野副市長は、「全額公費負担とする場合は、市内全ての生活道路を排雪する必要があり、現行の排雪のレベルで作業するには多くの費用や、新たに4割以上の機材、人材の増強が必要となることなどから、実施は難しい」としました。
11月29日IOCの理事会が開かれ、冬季オリンピック・パラリンピックの開催候補地が2038年まで決まったことから、秋元市長が招致活動からの撤回を表明したことを受け、 日本共産党北海道委員会と札幌市議団は12月4日、「招致活動からの撤退は、市民不在の招致活動の結果」とする見解を発表しました。
第3回定例市議会(2023年)
第3回定例市議議会は9月20日から10月31日までの日程で開催されました。
秋元市長は10月11日、JOCの山下泰裕会長とともに会見し、2030年の冬季オリンピック・パラリンピックの招致を断念し、34年大会以降の招致の「可能性」をさぐると表明しました。
これを受け、日本共産党札幌市議団は、「市民合意を軽視し、招致活動が行き詰まった結果。住民投票を求める直接請求署名については、住民投票が実現されるよう会派としても成功に向けて力をつくす」とする声明を発表しました。
IOCは10月15日、2030 年と34 年大会の開催地を同時に決定する方針決め、11月にも候補地の絞り込みが行われる見込みです。
これを受け、秋元市長は10月18日の市議会決算特別委員会の冒頭で発言、「2030 年大会の招致は断念するものの、34 年以降の大会招致の可能性を探るため、IOC との継続的な対話を引き続き進めた上で、
招致する年次を具体的に定めて招致活動を進めていく場合には、改めて市民の意向を確認したいと考えている」と語りました。
また、本年11月の理事会で、両大会の候補都市が事実上内定し、これにより仮に34 年大会の招致の可能性がなくなった場合には、「その後の対応について、
改めて市議会をはじめ、地元関係者の皆さんと協議したいと考えている」としました。
いずれにしても、住民投票などにより市民の意見を直接聞くとの発言はありませんでした。
さらに、秋元市長は「オリンピック・パラリンピック招致の意義は、今後とも、いささかも変わりがないものと考えている。
札幌の町作りを大きく加速させる、オリンピック・パラリンピック招致の火を絶やさないよう、着実に歩みを進めていきたい」と、あくまでも招致を進める姿勢を示しました。
10月18日の市議会決算特別委員会において、日本共産党から小形かおり市議(中央区選出)が質問に立ち、冬季オリ・パラ招致からの撤退と、招致活動の前に住民投票で民意を問うことを求めました。
小形市議はこれまでの招致活動や機運醸成などに使われた金額(人件費を除く)について問いました。市の担当者は2014年度から2023年度の予算額までを含め12億9千万円余りと答えました。特に21年度は4億円余り、22年度は3億円余りと多くがつぎ込まれたことが明らかになりました。
小形市議は、「約13 億円使っても、市民の大きな賛同を得ることができず、かえって市民から反感を買っている」と市の対応を批判、
「一旦招致から撤退し、今後招致に進む場合には、まず住民投票を行って、市民の意思を確認してから進める。この明確な態度が必要。住民投票は世界の各都市の常識、ルールになっている」と強く求めました。
ついで、小形市議は、ファイターズの撤退で運営が懸念される札幌ドームの利用状況について問いました。
札幌ドームは利用者を増やすために、暗幕でアリーナを仕切り2万人規模のコンサートなどができる新モード、アリーナの半面を利用する半面モードが新たに設けられ、2023年から27年までの期間、(株)札幌ドームと指定管理者契約をしています。
2023年度は、イベント日数を14日、展示会を30日見込んでいますが、小形市議は今年度の実績を問いました。
金谷スポーツ部長は、予定も含め今のところ、新モードが2件、半面モードが10件と少ない状況にあると答えました。
さらに、小形市議は「札幌ドームは建設後22年を経過している。この9年間で、市の負担で64億円をかけて保全事業を行ってきたが、今後の保全事業はどのように計画されているか」と問いました。金谷部長は、「年間約10億円の保全改修を実施する予定」と答えました。
建て替えが予定されている月寒体育館については、札幌ドームとの相乗効果をねらってドーム周辺に建設する計画となっています。
これについて小形市議は「現在の月寒体育館は月寒中央駅から歩いてすぐのアクセスの大変良い場所にあり、新月寒体育館は現在の場所で考えるべき」と指摘。
ついで、「オリ・パラ大会概要案では、新月寒体育館に400億円かかるとされている。2030年の招致を断念したという今の状況で、国から180億円の補助をもらえる見通しはあるのか」と質問。
市の担当者は「これから国との協議を進めてまいります」と見通しについて答弁することができませんでした。
さらに小形市議は「市はドーム周辺をスポーツ交流拠点としており、そのための用地として農業研究センター(農研機構)の敷地の購入を考えているようであるが、その見通しはあるか」と問いました。
市の担当者は「継続的に用地取得やその取得費について交渉を行ってきた。今後も用地取得に関わる交渉を継続してまいりたい」と答弁。用地取得についても見通しがないことが明らかになりました。
小形市議は「新月寒体育館をドーム周辺に造るという計画は、オリ・パラ招致を断念した段階で、そのものの見直しが求められているのではないか。抜本的に見直すべき」と強く要請しました。
最終日には、日本共産党を代表して長屋いずみ市議が代表討論に立ち、7議案中、各会計歳入歳出決算および、下水道会計決算の認定に反対するとともに、他の案件に賛成しました。
(討論の全文はこちらに)
2022年度の一般会計は、歳入から歳出を差し引いた形式収支は109億円余りとなり、これから翌年度への繰越財源41億円余りを引いた決算剰余金は68億円余りとなりました。
68億円のうち35億円は財政調整基金に積み立てられ、33億円は次年度に繰り越されました。
長屋市議は、68億円は長引くコロナ禍の上に物価高騰で大きな影響を受けている幅広い市民の生活支援と社会保障や子育て支援に資する施策に積極的に使うべきであったと指摘しました。
財政調整基金(災害時や財政不足に対応するための基金)についてもすでに目安となる100億円を大きく超えており、積み立ては不要であったと指摘しました。
各会計歳入歳出決算(一般会計、国保会計、介護保険会計など)に反対する理由として、長屋市議は第1に、冬季オリンピックパラリンピック招致費3億円と、基金造成費1億6100万円が含まれていることをあげました。
長屋市議は、この10年間で招致関連費が12億9千万円にもなったが、これだけの費用をかけても市民の理解が得られなかったのは、市民合意のないままに招致活動に走り、市民意見をあとまわしにした姿勢によるものと指摘。
「一旦、IOCやJOCとの対話や協議のステージから降りて招致意思のないことを明確にし、34年以降を検討する際には、改めて住民投票をまず実施し、多くの賛同を得られたのちに招致活動へ進む、という明確な姿勢を市民の前に示すべき」と求めました。
また、残高51億円余となっているオリンピックパラリンピック基金は、本市の一般財源から積み立てた50億円を一般財源に戻し、広く市民の暮らしを支える施策に使うことを求めました。
決算認定に反対する第2の理由として、長屋市議は新幹線延伸関連費や都心アクセス道路など都心部の大型開発費約210億円が含まれていることをあげました。
本市は冬季オリ・パラ招致を起爆剤として都心部の大型開発を進め、その補助金として税金を投入してきたが、34年招致も絶望的な中、招致を見込んだ各種計画を見直さないまま進めることは、
本市が誇る広大で豊かな自然や時計台など歴史ある重要な資源を生かすまちづくりを後景に追いやる可能性があるとして反対しました。
第3の理由として、マイナンバー関連費用として、41億円余りが含まれていることをあげました。マイナンバーカードについては、プライバシー侵害を引き起こす恐れがあること、また、国民監視を強める仕組みであるとして、長屋市議はこれを廃止すべきと主張しました。
第4の理由は、学校の統廃合経費である学校規模適正化推進費が含まれていることをあげました。
この経費は現在、東区、豊平区、南区で進められている検討委員会と住民説明会などに要した費用ですが、住民説明会の参加者は297人にすぎず、
住民への周知という点では不十分にもかかわらず、学校統廃合を前提とした検討委員会が進められていることは問題であると指摘しました。
第5の理由として102人の市職員を削減したことを挙げ、本市の市民千人当たりの職員数は、政令市の中で3番目に少なく職員定数は減らすべきではないと主張しました。
また、茨戸水再生プラザの運転管理業務を民間委託したことは技術の継承や人材育成の上で困難になるとして下水道会計決算の認定にも反対しました。
最後に、国保、介護、後期高齢者医療の各会計において、いずれも高い保険料が引き下がらないこと、後期高齢者医療については、市民負担額が増えたことから、これら各会計決算の認定に反対するとしました。
第3回定例市議会決算特別委員会で池田市議は、障がい児であることを理由に保育所の見学さえできない事例を紹介し、障がい児の入所や保育についての課題を問いました。
市の担当部長は、「年々認定児数が増加しており、保育園によっては、配慮を要する子どもの保育に関するノウハウや経験が少ない園もあるため、各園に丁寧な支援を行っていく必要があると考えている。
公認心理士などの巡回指導専門員が各園を回り助言等の支援を行っている。保育園等の職員を対象にした研修も行っている」と答えました。
池田市議は、「障がい認定を受けている子どもに加え、認定を受けていない子どもの相談件数も増加しており、巡回指導体制のあり方の検討が必要では」と問いましたが、
担当部長は「今年度から巡回指導専門員を1名増員して対応している。巡回指導の体制やあり方についても引き続き検討していきたい」と答えました。
池田市議は、巡回指導の更なる充実を求め、質問を終わりました。
第3回定例市議会、9月27日の本会議では、日本共産党から太田秀子市議(東区選出)が代表質問に立ち、冬をひかえて深刻な灯油の高騰、 マイナ保険証、自衛隊への名簿提供、冬季オリ・パラ招致、猛暑対策、新型コロナ対策、若者支援政策などについて質問、市の対応を求めました。
(代表質問の全文はこちらに) 2020年9月に78円/gであった灯油は今年9月現在124円/gと1・6倍の価格となっています。この高騰は終息を見通すことができず長期化することは確実です。
太田市議は、他市町村で広がっている『福祉灯油』制度は、使途の限定がない現金給付が一番多く、給付を受けた住民からは喜ばれている」と指摘。
「灯油は厳しい冬を越すための命綱であり、高くて購入できないということはあってはならない。市長はそうした認識をお持ちか、また、市独自の支援策を実施する必要があると考えるがどうか」と問いました。
秋元市長は、灯油価格の高騰が市民生活に大きな影響を及ぼすことは十分に認識をしている」と答えたものの、
「引き続き必要な対策を講じるよう国に対して要請してまいりたい」との答えにとどまり、市独自の支援について応じませんでした。
マイナ保険証については、誤登録やオンラインで資格確認ができないなどのトラブルが発生しています。
太田市議は、「2024年度までに再発防止が完了するという政府の確約はあるか。現行保険証の廃止を見直すよう国に求める考えはないか」と問いました。
秋元市長は、「紐付けの総点検、マイナンバー登録に係るガイドラインの策定や定期的システムチェックの導入などが示されている」と答えるのみで、再発防止完了の確約については答えませんでした。
また、「現行保険証の廃止方針の見直しを求める考えはない」と国に従う姿勢を示しました。
太田市議は、マイナ保険証に個人の医療情報を紐づけ、全ての医療機関で共有することの問題を指摘。
「マイナ保険証を使うか、現行の保険証を使うか、という市民の選択権は最大限保障するべきと考えるが」と問いました。
秋元市長は、「マイナンバーカードを持たないことや、保険証利用申し込みをしていないことにより、保険診療が受けられなくなるということはないと認識している」と答えました。
札幌市は9月12日、18歳と22歳になる31550人分の名簿を、昨年に続き自衛隊に提供しました。このうち「情報提供を望まない」と「除外申請」をした人は205人で、昨年の2人から大きく増えました。
太田市議は、「除外申請をしなかったことをもって本人の同意があったと見なすことはできず、同意なしに自衛隊への名簿提供を行っていることに変わりはない」と指摘。
「名簿提供の根拠となっているのは地方自治法245条の4、第1項による、技術的助言にすぎない。防衛省は紙媒体、電子媒体で提出を求めているが、依頼した自治体のうち1/3に当たる534自治体は閲覧のみである。
除外申請を申し込んだ当事者の思いを尊重し、本市は、自衛隊への個人情報の提供は中止すべき」と 求めました。
秋元市長は、「情報提供を望まない方について、除外申請を受け付ける」としたものの、「自衛隊の持つ公益的な役割を考慮し、関係法令に基づき適切に対応している」として、名簿提供を続ける考えを示しました。
今年の夏は札幌でも真夏日が30日、最高気温が35℃以上の猛暑日が3日と、異常な暑さとなりました。この夏に熱中症で救急搬送された人数は566人(うち教育機関からは27名)になりました。
市は緊急対応として本年度中に312校全ての保健室にエアコンを設置する予定ですが、普通教室は24年度から約100校ずつ設置する予定となっています。
太田市議はこうした対策に対し、「災害級の暑さに備えるため、未設置の学校に一気にエアコンを設置できるよう、スピード感を持って取り組むことが必要と思うが」と問いました。
檜田教育長は、「エアコン整備については、普通教室など約6千室分の機器を一度に調達することは困難。従来の発注方法に加えて、設計および工事を一括で発注するなど、スピード感を持って整備を進めていきたい」と答えました。
太田市議は、「今夏の異常気象は、冬季と同様に避難所における猛暑の備えも必要であることを明らかにしたとして、早急に猛暑対策を加えた検討を始めなければならない。
また、異常気象やコロナウイルス感染症を経験して、避難所の生活環境の充実がいっそう求められ、札幌市避難場所基本計画の見直しが必要と考えるが」と問いました。
町田副市長は、「避難所においては様々な状況を想定した対策が必要であると認識している。引き続き避難所の良好な生活環境の確保に努めていきたい」と答えました。
2022年の「労働力調査」では、15歳から24歳の若者の非正規職員・従業員割合は50・4%と半数を占め、
札幌においては、最低賃金が時給960円になりましたが、週5日フルタイムで働いても年収200万円になりません。
正規職員として就職できた若者も、成果主義と厳しい評価・査定が行われ、就職早々、過労死予備軍となる実態です。
太田市議は、「正規、非正規を問わず、常に追い詰められるというリスクを背負っており、精神疾患・過労自殺・失業などと隣り合わせになっている」と指摘。
「市は、ひきこもり支援センターや生活就労支援センター、若者総合支援センターなどで、困難を有する若者の支援を行ってきたが、これらの若者支援施策を利用した方からどのような声が寄せられているか。
また、現在こうした施策の利用につながっていない方に対する周知も含め、今後どのように取り組んでいく考えか」と問いました。
町田副市長は、「『相談や対人トレーニング、職場実習など、自分の状況に合わせた支援を段階的に受けることができてよかった』という声が寄せられている。
今後もSNSを活用した情報発信など、丁寧な広報に努めるとともに、若者の不安や悩みに寄り添いながら、社会的な自立に向けた支援に取り組んでいく」との答弁がありました。
太田市議は再質問で、「この枠組みでは支援からはずれる層が出てくる。働いているけれども大変で、将来の展望が見えない方たちがたくさんいる」と指摘。
「これらの方々も視野に入れた部局の連携を強めていただきたい」と求めました。
共産党札幌市議団は、2022年12月から2023年3月にかけて、「敬老パス・外出支援のアンケート」を行いました。
アンケートは、締め切りの2023年3月31日までに1567通が寄せられました。遅くなりましたが、市議団で結果を取りまとめましたので、概要をお知らせします。
回答いただいた方の年齢別内訳は、70歳代59%、80歳代27%、90歳代4%、その他7%でした。
敬老パス制度に求めたい改善要望について、複数回答可としてあげてもらいました。「JRやタクシーへの拡大」が71%(1567人の71%がこの項目をあげた。以下同じ)で最も多くありました。
外出支援として市に取り組んでほしいことについても、複数回答可であげてもらいました。「生活道路の除排雪」が74%で一番多くありました。
アンケートの自由記載の欄には700件を超える意見が寄せられました。寄せられた貴重な意見を市政に活かしていきます。
第2回定例市議会(2023年)
第2回定例市議議会は6月12日から7月11日までの日程で開催されました。
最終日には、日本共産党を代表して佐藤綾市議が討論に立ち、一般会計補正予算及び札幌市証明手数料条例の一部改訂に反対し、残余の11件について賛成しました。
(討論の全文はこちらに)
佐藤市議は補正予算について、「物価高騰への対策は、給付金と対象を国基準にとどめ、市独自の上乗せ給付や、”家計急変世帯”への給付拡大は実施されなかった。 市長が公約として掲げた子育て支援策についても、検討方向すら示されなかった。 優先されたのは、情報漏洩とプライバシー侵害を拡大させかねないマイナンバーカード普及のための経費、市民合意のないまま市民に理解を押し付けるオリ・パラ招致費、JR札幌駅周辺再開発事業で、予算の使い方は逆立ちしたもの」 と批判し、以下の3点を理由に反対しました。
佐藤市議は、「報道機関による3月の世論調査をみても、招致反対派が6割以上を占めていた。これは、市民の声を聞くことなく、招致を進めることへの不信感が表れたもの」と指摘。
さらに「東京大会の汚職・談合事件の全容解明はこれからであり、本市の大会運営の見直し検討は、東京大会の教訓を踏まえたとはいえない。
また、IOCとの守秘義務により情報開示が制限され、汚職や談合の温床となった専任代理店方式についても除外しない方針で、市民の不信感は払しょくされないままとなっている」と指摘。
「こんな状況でも、シンポジウムや市民説明会をすすめようとするやり方は、市民の不安や不信を高めるもので、すでに破綻している。」として、「招致はいったん中止、白紙とし、自治基本条例に基づいて、招致の賛否を問う住民投票を行うこと」を求めました。
札幌駅交流拠点まちづくり推進費として、北5西1の市有地を222億2,840万円で売払い、まちづくり推進基金に積み立てます。
北5西1・西2の再開発事業に伴い、本市は、事業で建設された建物の床面積、いわゆる「権利床」を取得しない方針です。
佐藤市議は「再開発後は、公的関与が縮小され、市民の声がまちづくりに届きにくくなる」として、これに反対しました。
マイナンバー制度について、わが党は、個人情報の集中や国家による国民監視につながること、また、個人情報漏えいの危険、それに伴うセキュリティー強化のため、際限なく費用がかかり続けることになると指摘してきました。
国は、カード取得は任意であるにもかかわらず、昨年10月に、保険証を廃止する方針を突然表明、事実上、取得の強要を図りました。また、上限2万円分のポイント還元事業や、専用窓口の増設など、あの手この手を使って、カード取得を進めてきました。
その結果、証明書のコンビニでの誤交付というトラブルが次々と発生。「マイナ保険証」に別人の医療情報が登録されるというトラブルも起き、命にかかわる重大な医療事故につながりかねないと、医療関係団体からは、現行保険証の存続と、マイナ保険証を利用するシステムの運用停止を求める声明が出されています。
佐藤市議はこれらの問題点をあげ、「市民の財産である個人情報を保護すべき本市として、マイナンバーカードの普及促進は止め、国に対しいったんカードの運用停止を求めるべき」と主張し、本予算に反対しました。
札幌市証明手数料条例の改定は、マイナンバーを使ったコンビニでの住民票等の発行手数料を100円減額するものです。
市は、区役所に「来させない」「待たせない」取組の実現を、コンビニ交付手数料の減額をする理由のひとつとしています。
しかし、証明書の交付が必要な市民にとって「世帯全員の記載があるものなのか。個人のものなのか」などを対面で確認してくれる、区役所職員の丁寧な対応が重要であり、まさに行政サービスと考えられます。
佐藤市議は、「区役所に来させないという取組は、市民に向き合う行政サービスの意義の後退にもつながることから見直すべき。今回の条例改定は、取得が任意であるはずのマイナンバーカードの有無によって、手数料に格差をつけることになることから認められない」と反対しました。
6月20日の本会議では、池田市議が日本共産党を代表して質問に立ち、 市長の政治姿勢をただすとともに、冬季五輪招致、自衛隊への名簿提供問題、今後の新型コロナ対応、インボイス制度の導入、マイナンバー保険証、子育て政策、月寒体育館の建て替えなどについて質問しました。
池田市議は、市長選挙の結果について「市長の得票率は前回の70.6%から56%へと大幅に低下した。
これは、招致に対する市民合意が不十分なまま、五輪招致に先走る市長の姿勢に対する厳しい批判が表れたもの」と指摘。
さらに、「わが党は選挙戦で、五輪招致については市民の意思を確認することや、五輪より福祉、子育て支援を優先すべきと訴え、多くの共感が得られた」と指摘。
「市長は今後、市民の声を重視する市政のためにどのように取り組むのか」と問い、「冬季五輪招致についてはいったん中止し、白紙にすべき」と求めました。
秋元市長は、「対話を重ねるとともに、その声を市政に反映する仕組み作りを進めていきたい」としたものの、
冬季五輪については、「丁寧に説明を重ねながら、一層の市民理解を図っていきたい」と、招致活動を続ける姿勢を示しました。
池田市議は、冬季五輪について市は大会運営の見直し案を策定するため、検討委員会を立ち上げたが、
2020東京大会をめぐる事件の全容は解明されておらず、検証も不十分であり、国が示した「ガバナンス体制等の在り方に関する指針」も、
企業や大手広告代理店との関係に抜け穴があると指摘。
「見直し案の検討に当たって、この指針をどのように評価しているか」と問いました。
秋元市長は、「本市における見直し案の検討に当たっては、指針で示された視点に基づき具体化をしていくことを想定している」と答えました。
池田市議は、「市長は記者会見で、住民投票も含めて、多くの方の意向を確認できる方法をとっていきたいと述べたが、全国的な傾向も把握していくとしている」と指摘。
「民意については、札幌市民の声を何より重視するべきであり、市民の声を広く公正に聞くために、自治基本条例に基づいて、住民投票を行うべき」求めました。
秋元市長は、「最終的に改めて民意の確認を行う考えであり、その具体的な手法については今後検討していく」と答えました。
池田市議は、「政府は2023年から27年までの5年間で、43兆円もの軍事費を投入しようとしている。43兆円のうち国債発行を除く14兆6千億円を確保するため、法人税、所得税、たばこ税の増税が計画されている。
法人税は内部留保として積み上がっている企業の利益であり、本来賃上げに使うべきもの。こうした増税がくり返されれば、市民生活や地域経済は大きな打撃を受ける」と指摘し、市長はこうした増税に反対しないのかと問いました。
秋元市長は、「国会において論議がなされるとともに、国民に十分説明されるべきもの」と自らの考えは示さず、市民生活や経済に与える影響についても語りませんでした。
昨年札幌市は18歳と22歳の若者の名簿を自衛隊に提供しました。
池田市議は、知らないうちに名簿が提供されるのは納得できないとする母親や、本人に知らされていないのはおかしいとする高校生など、不安や驚きの声が上がっていると指摘。
「名簿の提供をしなかった自治体もある。本人のプライバシー権の侵害にあたる可能性も高い。中止すべき」と求めました。
秋元市長は、「国のほうから住民基本台帳の一部の写しを提供しても問題ないとされ、提供した。提供については市のホームページ、広報で知らせる」と名簿提供を続ける考えを示しました。
これに対し池田市議は、「名簿を提供しないと法律上問題があるか」と問いました。秋元市長は「法律違反ということではないが、自衛隊の役割に配慮して名簿を提供した。自衛隊法にも(市町村の)協力がうたわれている」と国、自衛隊に従う姿勢を示しました。
岸田首相は敵基地を攻撃できるミサイルの配備を計画しています。日本が戦争に巻き込まれる危険性が増しています。近年、自衛隊員の応募者数は減少、定員割れが続いています。名簿提供はこの対策とも見られます。
本人が知らないうちに名簿を提供するなど、若者を戦争に巻き込む徴兵制の第1歩と言わざるをえません。
秋元市長は、選挙公約で「子ども医療費や保育料の無償化の対象を拡大」「学校給食費への公費負担をさらに拡大」などを掲げました。 池田市議は、これらの公約の具体化について問いました。
池田市議は、「 子ども医療費助成は、全国で95%が中学生以上、うち5割は高校生までとなっているが、本市は小学6年生までに留まり、所得制限と病院での窓口負担がある」と指摘。
「医療費無償化の対象を高校卒まで拡大する考えはあるか、さらに、窓口負担をなくすこと、所得制限を撤廃することについてどう考えるか」と問いました。
町田副市長は、「子ども医療費助成は全国一律で実施すべきものと認識。国に対し、制度化に向け要望を行ってきた。今後、長期的な財政収支を見通した上で、方向性を定めていく」との回答に留まり、具体的な考えは示されませんでした。
学校給食費について池田市議は、「1人当たり年間5万3千円から6万3千円が保護者の負担となっている。無償化は自治体で広がっており、国も無償化に言及している」と指摘。「給食費の公費負担拡大は、どのように、いつまでにすすめるか」と問いました。
檜田教育長は、「学校給食費については、(低所得者に対しては)就学援助制度等において支援を行ってきた。今後の負担軽減については、必要に応じて関係部局と協議していきたい」との答弁に留まり、市長公約の具体化については語られませんでした。
今国会では、自民、公明、維新、国民の4党により、来年秋に健康保険証を廃止し、マイナンバーカードに一体化した「マイナ保険証」に統一する法案が強行されました。
しかし、マイナ保険証が他人の情報にひもづけされたケースは全国で7370件、うち投薬や治療情報の閲覧に至ったものが10件もあり、医療関係団体は「重大な医療事故につながりかねない」と、その運用に反対しています。
池田市議は、「政府に対し、マイナ保険証運用の即時停止を求めるべきではないか」と問いました。
さらに、「マイナンバーカードの取得は任意としていたもの。強要することはおかしい。マイナ保険証を持たない人に対し、これまでの健康保険証に代わって交付される資格確認書は、本人による申請が必要で有効期限は1年となっているが、
これでは高齢者や障がい者が申請手続きを失念したり、あるいは様々な事情で申請できない人が出て、保険診療を受けられない事態が生ずる」と指摘。
「現行の保険証は廃止しないよう国に求めるべき。また、本市が運営主体となっている国民健康保険については、資格確認書は申請を待たず、一律に交付すべき」と求めました。
町田副市長は、マイナ保険証について、「国は、国民の不安の解消などに適切に対応すべきもの」と国任せの姿勢を示しました。
国民健康保険の資格確認書についても、「国がその責任において適切な措置を講ずることを求めていきたい」と国任せで、一律交付には応じませんでした。
月寒体育館は、札幌オリンピックのアイスホッケー場として整備され、周辺のラグビー場、テニスコートなどとともに、地下鉄月寒中央駅に近く利便性が良いこともあり、
2018年にはスケート、卓球などで約13万人が利用し、ラグビー、テニスなどで1万8千人が利用、市民に親しまれています。
冬季オリ・パラ大会概要案では、市は老朽化している月寒体育館に代わり、札幌ドーム周辺に400億円をかけて新月寒体育館を建設する計画で、
現在の月寒体育館は、車いすカーリング等の会場として仮設費に20億円をかけますが、オリンピック終了後は解体する計画です。
池田市議は、札幌ドーム周辺は、福住駅から約700mと遠く利便性が悪いことを指摘。「月寒体育館の周辺にはラグビー場、テニスコート、カーリング場などがあり、今後、市営住宅月寒団地の建て替えによる余剰地も視野に入れれば、
月寒体育館の建て替えを中心に、この地域において市民がスポーツを楽しめる機会をより充実させることができる」として、月寒体育館の現地での建て替えを求めました。
石川副市長は、「札幌ドーム周辺は、スポーツ・文化芸術や集客交流産業を振興する拠点としての機能を高める施設の立地を進めることとしている。月寒体育館の更新についても、この拠点形成の取り組みとあわせて検討を進める」と答え、
市民本位と言うよりは、産業振興を優先する考えを示しました。
修繕積立金の引き上げや大規模修繕へのマンション所有者の合意を取りやすくすることを狙いとして、長寿命化に資する大規模修繕工事を行ったマンションに対し都市計画税が減額されることになりました。
国は減税額を1/2から1/6の範囲としている中で、札幌市は1/2と一番高い減税額を選択しました。池田市議は議案審査特別委員会で、
「マンションの老朽化は景観の悪影響にもつながる。大規模修繕が計画的に進められ、景観を守っていこうとする市の思いを感ずる」と評価しました。
しかし、これにより、市の税収は1/2となります。池田市議は「税収減に対する国の補填はどうなっているか」と問いました。
市の担当者は、「減額割合を参酌基準の1/3とした場合の減収額をもとに計算される。本市の場合、1/3を上回っており、一般財源としては少なくなる」と減収を認めました。
池田市議は、「自治体が参酌基準を上回る取り組みをした場合でも、100%の財政補填につながるよう国に強く要望すべき」と求めました。
6月12日財政市民委員会で、札幌の4民主商工会から出された「インボイス制度の導入延期・中止を求める意見書の採択を求める陳情」が審議されました。
札幌中部民商の富堂事務局長が趣旨説明を行い、「インボイス制度は実質的な増税に他ならない。税率を変えない増税政策」と告発しました。
池田ゆみ市議は、「フリーランスや小規模事業者は増税か、取引から排除される不安を抱え免税業者でいるのか、地獄の二者択一を迫られる」と強調。
「事業者に負担があるとわかりながら導入することをどう考えるか」と問いました。
市はインボイス制度の導入が増税であるという認識については答えず、事務負担の軽減に取り組むとした国会の付帯決議に注視したいと答えるに留まり、国対応の姿勢に終始しました。
池田市議は、意見書として事業者の声を国に届けることが必要だとして、陳情への賛同を呼びかけましたが、市議会与党会派は、激変緩和の仕組みがあると主張。
日本共産党、民主市民連合、市民ネット北海道は採択を主張しましたが、自民、公明、維新の反対で継続審査となりました。
日本共産党札幌市議団は5月15日秋元市長に、
「物価エネルギー高騰対策に関する緊急要請」を行いました。
池田ゆみ市議団長は、「物価高騰対策として、非課税世帯が支援の線引きラインとなっているが、枠を広げることが必要。
国の予算の範囲だけでは厳しく、市独自の支援策の検討を行うべき」と強調しました。
対応した吉岡副市長は、「国や道の政策と連携しながら、不十分ながらも独自の政策を実施してきた。要望も踏まえて、議会で提案し、市民生活の向上に努めたい」と述べました。
池田市議は、「政策に限らず、続けていくことが重要。広く検討を」と求めました。
日本共産党札幌市議団の新しい役員体制は、団長:池田ゆみ、幹事長:太田秀子(東区選出)、政審会長:田中啓介(西区選出)となりました。
池田市議は、オール与党の市議会の中で、市民の声を議会に届ける要の役を担うこととなりました。
市議会の委員会構成は今までと変わりありませんが、「大都市税財政制度・災害対策」特別委員会が、「大都市税財政制度・DX(デジタルトランスフォーメーション)推進」特別委員会となり、情報・通信の活用やデジタル化を議論する委員会となりました。
「デジタル化」の国の方針を受け、市政としても災害対策よりデジタル化に力を入れるということです。
第1回定例市議会(2023年)
第1回定例市議議会(予算議会)は2月13日から3月10日までの日程で開催されました。
最終日3月10日の本会議では、日本共産党から、千葉なおこ市議(南区選出)が代表討論に立ち、 冬季オリ・パラ招致や都心部の大型開発を含む一般会計予算、保険料が引き上げられる国民健康保険会計予算など7件に反対し、残余の12件に賛成しました。
千葉市議は、「秋元市長の2期8年の市政運営は、都心再開発などの大型事業を積極的に展開してきた。
市長は『再開発事業により、経済を活性化させることが暮らしの充実に繋がる』と代表質問で答弁しているが、2015年以降、札幌市の社会保障と個人所得は政令市比較で最低レベルにあり、市民から『オリンピック招致にお金を使うより、暮らしや福祉を充実してほしい』という切実な声があがっている」と指摘。
さらに、「札幌市は『市区町村魅力度ランキング』では、2年連続の1位だが、『市民の幸福度』は、20政令市中16位という低さ。観光で訪れる方は魅力を感じているけれど、市民は幸福の程度が低いということ」と指摘し、
札幌市政として、「大型開発より、暮らしや福祉の充実こそが必要」と訴えました。
千葉市議は、一般会計予算に反対する第1の理由として、「@北海道新幹線推進関連費57億円余り、A北5西1等の札幌駅交流拠点まちづくり推進費78億円余り、 B北8西1等の民間再開発推進費45億円余り、C冬季オリ・パラ招致費2億円余りがある」からとして、「不要不急の事業は見直し、福祉・くらしに使うべき。市民合意が不十分なままの五輪招致活動は中止すべき」と主張しました。
一般会計予算に反対する第2の理由として、千葉市議はマイナンバー関連経費が組まれていることをあげました。
マイナンバーカードセンター運営費などに9億円余り、社会保障・税番号制度対応システム改修等に8千万円余りの予算が補正予算に続いて組まれました。
国は、今後、健康保険証や運転免許証、預金口座等、極めて秘匿性の高い情報の紐づけをさらに進める計画です。
しかし、個人情報を保護するためのセキュリティは不可能であり、情報漏洩の危険に市民は常にさらされることとなります。
また、国が国民の消費動向や健康・医療・預金などの情報を得ることは、国民監視につながるとして、マイナンバー関連の予算に反対しました。
国民健康保険保険料については、国保支払準備基金から物価高騰対策として、10億円を繰り入れて、引き上げ幅を抑えたものの、平均5754円の値上げとなります。
国保には自営業者や非正規労働者、年金生活者が多く加入しており、高い国保料の負担とコロナや物価高騰によるいっそう厳しい生活を強いられています。
千葉市議は、「国保支払準備基金をさらに取り崩し、市民負担を軽減すべき」として、保険料値上げに反対しました。
後期高齢者医療会計予算、介護保険会計予算についても度重なる制度改悪により、高齢者への負担を増やしているとして、反対しました。
下水道会計予算については、都心アクセス道路事業に伴って、創成川通り東側・西側に管路の移設をするための工事費用14億円が含まれているとして反対しました。
通常下水管の管路は可能な限り延命化を図っていますが、都心アクセス道路整備を開始する前に下水道管移設工事を終了させる必要があるため、管路改築計画にはない工事を行うことになりました。
このことによって、他で必要とされている管路の改築が遅れることが危惧され、また、本来必要のない移設による経費の増額となるとして反対しました。
札幌市職員定数条例の一部を改正する条例案については、児童相談所の児童心理司や、保護課ケースワーカー等の体制強化をしているものの、 委託拡大により、茨戸水再生プラザ23人、学校給食調理業務の8人を削減するもので反対しました。
2月21日の本会議では太田秀子市議(東区)が、日本共産党を代表して質問に立ちました。
太田市議は、「秋元市政の元で、2030年の新幹線札幌延伸と冬季オリンピック招致を当て込んだ大型再開発事業が、市債を発行しながら進められてきた。
建設事業費の財源のうち市債は、2015年度517億円が18、19年度は630億円前後、20年以降は700億円を超えて膨らみ、23年度は参考値として907億円という数値があげられている」と指摘。
「市債は、返済期間を30年とし、利子も付き、将来にわたり大きなツケを回すことになるため、大型再開発事業は市民の納得が得られる事業であるべき。また事業について市民への説明と合意が必要であるが、それらはきわめて不十分」
として、市長の認識を問いました。
秋元市長は、「再開発事業は、都市計画審議会や議会での予算審議などの手続きの中で市民の意見を確認する機会を経て実施されている」として、説明、合意を得たものとの認識を示しました。
次いで、太田市議は、「市長は、『都心の再開発は、将来を見据えた投資であり、多くの市民の暮らしの充実に繋がる』と答弁しているが、再開発事業で建設される高額物件のマンションは、多くが道外や国外在住者に買われ
、投資目的で2、3軒購入を検討する人もいると報道され、投資は市民の暮らしとかけ離れたところで進んでおり、公共的な位置づけはないことが明らか」と指摘。
「これら再開発事業によって、多くの市民のくらしの何が充実したか、札幌市民の雇用と経済にどのような効果をもたらしているのか」と問いました。
秋元市長は、「再開発事業によりにぎわいの創設や訪れる人々の利便性向上が図られ、国内外の人々や企業を呼び込み、経済を活性化させ、雇用の場の確保や固定資産税などの税増収による、暮らしの充実につながるものと考えている」と、
アベノミクスで批判されたトリクルダウン(いずれ下々まで利益がしたたり落ちてくる)の考えを示しました。
太田市議は、「東京2020大会は、招致活動段階での賄賂疑惑に加え、女性蔑視発言、コロナ感染拡大の中での大会の強行と、国民が開催を支持できない事件、事態が数多く発生し、あげくのはてに、根深い汚職、談合が明らかとなり、JOCや組織委員会に対する国民の不信感が高まっている」と指摘。
「市長は、あり方検討の指針に基づく新たな大会概要案を作成して、市民の理解を促進しようとしているが、市民の中に、招致活動そのものに対する不信感が生まれていると感じないか」と問いました。
秋元市長の答弁は、「東京2020大会は市民の信頼を大きく損なう結果となり、強い憤りを感ずる。今後は不信感の払拭に努めていく」に留まりました。
次いで、太田市議は「昨年12月に道新が行った世論調査では、招致反対が67%と増加、反対の理由は『除雪やコロナ対策、福祉など他にもっと大事な施策がある』が48%で最も多かった。新型コロナや物価高騰などにより厳しい生活を強いられている多くの市民にとって、介護や子育てなど、もっと大事な施策を優先して進めてほしいと願うのは当然」と指摘。
「今は、招致活動を中断し、まず、福祉やくらしを優先する時だと思うが」と、市長の考えを問いました。
秋元市長は、「人口減少など、社会構造の変化の中、経済活性化を図りながら、福祉を含めた行政サービスを充実させていくことが必要。オリ・パラ招致は、こうしたまちづくりを加速させる効果がある」と開発優先の考えを変えませんでした。
太田市議は、「昨年3月の意向調査では賛成は52%に留まったにもかかわらず、市長は調査結果を『参考』程度にとどめ、『総合的な判断』によって招致活動をいまだに続けるという、ゆがんだ事態を招いている」と指摘。
「大会招致を進めるべきかどうかは、市長の『総合的な判断』ではなく、市民の意志を明確に確認し、その結果を尊重すべき。そのためには、住民投票が最もふさわしいと考える」として、市長の考えを問いました。
秋元市長は、「具体的な民意の確認手段については、市議会とも十分協議しながら、今後判断していきたい」と即答を避けました。
以下、順次追加します。
第1回定例市議会(予算議会)は2月13日から始まりました。13日には文教委員会で、白石区の西白石小と白石小の統廃合に反対する陳情の初審査が行われました。
「西白石小・白石小を守りたい連絡会」の松本陽子共同代表は、「教育委員会は西白石小の小規模化が継続しているとしているが、全校児童は2019年から21年に38人も増えている」と指摘。
さらに、「少人数学級は、子どもの学びと教師の働き方や児童とのかかわりで効果的であるとの検証もある。統合によって通学距離が長くなり通学の危険性が増す。地域の避難所がなくなる」と指摘。
「子どもを優先するなら統廃合はやめるべき」と求めました。
池田ゆみ市議は、「市の計画に、住民の理解も納得も得られていないのに、統廃合を進めるのか」と追求。
陳情者の説明で、画一的で一方的な計画が浮き彫りになったとして、「統廃合の押しつけはあり得ない」と陳情の採択を求めました。
第4回定例市議会(2022年)
第4回定例市議議会は11月29日から12月13日までの日程で開催されました。
共産党市議団が提案した「所得税法第56・57条の見直しに向けた検討を求める意見書」が12月13日の市議会本会議において、全会一致で可決され、国会と政府に提出されました。
小規模事業者は地域経済の担い手として、日本経済の発展に寄与していますが、所得税法第56条により、その家族従業者の働き分である自家労賃は、事業主の所得計算上の必要経費として認められていません。
所得税法では、青色申告者については、第57条で親族の給与の実額を必要経費と認めているのに、白色申告者には、配偶者の場合で最大86万円、その他の親族の場合は最大50万円を控除として認めているのみです。
この違いは、青色申告は、帳簿等により家計と事業の分離や給与の実態を確認できるためとされていますが、平成26年1月から白色申告者にも記帳、帳簿保存が義務化された後も、経費算入の在り方に違いが設けられたままとなっています。
意見書では、「同法第56条の既定は、親族間の恣意的な所得分割による租税回避を防止する観点から定められたものであるが、制定の前提となった社会環境は変化しており、
政府が「働き方改革」で推進する副業・兼業の普及促進との関係等からも、再検討の余地がある」として、
国会、政府に対し、「家族従業者の労働を適切に評価し、労働実態に応じた税制とするため、所得税法第56・57条の見直しに向けた検討」を求めています。
「所得税法第56・57 条の見直し」は市内の4民主商工会と同婦人部が11月に市議会に要請、党市議団が後押しし採択にこぎつけました。道内では、同法の廃止・見直しの意見書が102自治体(57%)に広がっています。
写真は11月10日党市議団への要請を受ける池田市議(左)
最終日12月13日の本会議では、日本共産党から、太田秀子市議(東区選出)が代表討論に立ち、補正予算他5件について反対、 残余の63件について賛成しました。
補正予算は、大通・創世交流拠点まちづくり推進費の追加として、北5西5街区の市有地と、大通東1街区の竹中工務店所有地(旧北海道四季劇場跡地)の交換に向け、
土地開発基金の土地である北5西5の土地を一般会計に買い戻すため、79億余りを支出するものです。
「北5西5街区」の土地鑑定額は114億円。「東1街区」の鑑定額は約79億で、交換により差額の35億円が札幌市にはいってくるものの、太田市議は「北5西5の土地は近い将来、札幌駅西側の開発が進むことにより、価格が上がるのは必至」と指摘。
「そもそも、市民の財産である土地を手放すことや、その狙いなど、市民にはほとんど情報が提供されていない。
多額の費用を使い交換するのではなく、市民のために活用する土地として保有しておくべきであり、土地の交換は行うべきではない」として、補正予算に反対しました。
大通東1街区の地権者は、現在ホクレンと中央バス、竹中工務店です。この街区の開発が進んでいないことから、竹中工務店の土地を市が取得し地権者となって、民間投資を加速させ、開発を促進することに狙いがあります。今後、様々な優遇策が講じられることが懸念されます。
特別職の期末手当引上げについては、「コロナ禍や物価高騰によって、市民生活の厳しさが増している中、特別職の期末手当引き上げは市民合意が得られるものではない」として、反対しました。
国のデジタル化推進のもと、改訂された個人情報保護法では、社会全体のデータ流通を図るため、個人情報保護やデータ流通については、国が一括で全国共通ルールを決め、各自治体が条例で独自に定めることができなくなりました。
これに基づく、市の関係条例の改定について、太田市議は、「 これまで本市の条例で守ってきた個人情報保護の後退に繋がる」として反対しました。
市は、市営住宅の総数を抑制する方針を掲げ、2030年までに、借上げ市営住宅をすべて廃止するとしています。その一環として、東区の「ジュネス38」と豊平区の「エコ・ライフ西岡」、合わせて50戸の廃止を行う条例改定について、 太田市議は、「市営住宅は、依然、応募に対し申し込みが多いという状況が続いており、この市民ニーズに応えるためには、市営住宅を増設することである」として、借上げ市営住宅の廃止に反対しました。
第4回定例市議会は11月29日から12月13日の日程で開催されました。7日の本会議では池田ゆみ市議が、日本共産党を代表して質問に立ちました。
東京五輪を巡って贈収賄だけでなく談合疑惑も浮上し、IOCもこのままでは札幌冬季オリ・パラは無理と判断したのか、7日2030冬季オリ・パラ開催地の決定をまたもや先送りするとのニュースが流れました。
これを受け、秋元札幌市長がオリ・パラ招致についてどう答えるか、マスコミ各社が注目するもとで、池田市議の代表質問が行われました。
「世界が驚く、冬にしよう」どころか
招致継続に、世界中が驚いているのでは
池田市議は、「東京五輪をめぐる不正は世界のアスリートを落胆させている。
『世界が驚く、冬にしよう』とのスローガンを掲げて招致活動を継続している本市の姿勢に、世界中が驚いているのでは」と指摘。
「開催時期の延長も視野に、2030年への招致活動という歩みをいったん中止するべきでは」と問いました。
秋元市長は、「スポーツ庁やJOCがガバナンス体制(統治体制)の在り方を検討しており、札幌市もこのプロジェクトチームに参画し、
クリーンで新しい形のオリ・パラについて検討をすすめつつ、その内容を市民に丁寧に説明し、理解促進に努める」として、あくまで招致活動を進めていく姿勢を示しました。
池田市議は再質問で、「東京五輪の汚職、談合をきちんと振り返らず、市民の声を聞かずに進めるのであれば、到底理解は得られない」と強く批判。
秋元市長は「スポーツ大会の透明性を確保していく必要がある」と答え、池田市議は、「そうであれば中断を決めるべき」と迫りました。
官民連携まちづくりを問う 清田平岡イオンモール
札幌市は「第二次札幌市都市計画マスタープラン」で、地下鉄駅周辺などの利便性の高い地域として、市内17カ所を「地域交流拠点」と位置付け、官民連携による「賑わい創出」をめざしています。
しかし清田区では地下鉄がなく、羊ケ丘通や隣接する北広島市大曲地域の大型店舗(三井アウトレットパーク)に人の流れが奪われ、区役所のある「清田」地域の利便性が失われてきました。交通結節点が不在なために、こうした事態を招いています。
その一方で市は昨年2月、清田地域と歩行距離で1.7Kmも離れた平岡の商業施設(イオンモール札幌平岡)を、移動手段の充実などにより連携させる「地域交流拠点清田の拠点機能向上に向けた官民連携によるまちづくりの基本的な考え方」を策定しました。
これに対し地元からは、「イオンモール札幌平岡の増床や拡張が、地域交流拠点清田の機能向上になぜつながるのか理解できない」「地域交流拠点清田の地区がさびれて拠点形成が遠のく恐れすら感じている」と、非常な危機感が表明されました。
しかし、市は平岡3条5丁目地域の用途地域の変更を来年1月の審議会に諮問する予定で、イオンモール札幌平岡の拡張に便宜を図る構えです。
こうした動きについて、池田市議は「(地下鉄駅などの)交通結節点を位置付けないまま、このような清田の『官民連携のまちづくり』を具体化した場合、地元が抱いている危機感や不安、疑問が現実のもとなると考えないのか」と市長の姿勢を問いました。
また、地下鉄の延伸は清田区民の悲願ですが、地下鉄東豊線の延伸についても、市長の考えを問いました。
秋元市長は、「地域交流拠点清田周辺の機能集積には一定の時間がかかる状況にあるため、拠点清田の補完に向けて、平岡3条5丁目地域においてイオン北海道が区民会議からの要望などを踏まえながら、地域のイベントに活用できる広場やホールの整備を検討している。区民からも一定の理解を得ているものと認識している」と答えました。
地下鉄延伸については、「札幌ドーム周辺の具体的な計画が定まった状況の中で、改めて東豊線の利用者数の推計などを踏まえ、事業採算性の検証を行う考え」と答えました。
月寒市住F9・10号棟跡地の活用について
池田市議は、F9・10号棟跡地について、「市営住宅の高層化による建替えに伴い月寒F団地には約600坪の余剰地が産まれた。区民からは、余剰地は『冬場の一時的な雪置き場や公園として活用したい』或いは『高齢者施設を建ててほしい』等の要望が区役所に出されていた。 しかし、市からは、『土地の利用について庁内照会したが利用希望がなかった』として売却することが回答された」と述べ、「庁内照会のみで判断するのではなく、もう少し時間をかけて、住民の願いに応えた余剰地の活用を検討することが必要であったと考える」と指摘しました。
市住跡地の活用には地域住民の意向を
次いで、池田市議は「今後実施される市営住宅月寒団地の建替えにおいても、高層化に伴い広範囲の余剰地が発生することが予想され、地下鉄に近い等、利便性もよく、再開発の構想も広がる可能性がある」と指摘。
「余剰地の活用については、地域住民はもちろん町内会や商店街などの意向を充分確認した進め方とすべきではないか」と問いました。
答弁に立った吉岡副市長は、「月寒団地を含む月寒駅周辺については、第2次札幌市都市計画マスタープランにおいて、地域の豊かな生活を支える中心的役割を担う地域交流拠点に位置付けており、生活利便サービスの提供や賑わいの創出など、拠点にふさわしい都市機能の集積を官民連携により図ることとしている。
月寒A団地からB団地をどのように建て替えるかについては現在検討中ですが、敷地全体で6.4haを有することから、1.3haであったF団地の跡地よりもまとまった規模の余剰地が発生する見込みです。
そのため、地域交流拠点にふさわしい土地利用が図られるよう、地域住民の皆様や事業者などの意向の把握と反映にも留意しながら検討を深めていきたい」と答えました。
冬季オリ・パラの根本について問う
池田ゆみ市議は、11月8日に開かれた冬季オリ・パラ招致特別委員会で、IOCとの開催地契約やスポンサー契約などの根本問題についてただしました。
池田市議は東京五輪の契約を見ると、「大会はIOCの独占的財産で、全ての権利を全世界を通じて永続的に所有する。
IOCは大会を中止する権利を有し、その場合IOCは損害賠償や補償を負わない」としており、不平等条約とも言われているが、市としてこれをどのように認識しているかと問いました。
担当部長は、「中止の条項など不平等ではないかとの指摘があることは承知している。開催地契約については、次のねらいを定めた段階で、契約内容やその運用にについてIOCと協議をすすめていく」と答えるに留まりました。
池田市議は、「これにより大会を断念する事態も起きている。今、根本的にオリンピックはどうあるべきかが問われている。札幌市はこの点も含めしっかり検討すべき」と厳しく指摘しました。
池田市議は「大会運営費にはスポンサー料などが充てられるが、主催者と企業の間に入ってスポンサーを集める役割は『電通』にしかできないともいわれている。
東京大会の汚職は一つの企業が専任とされたことも原因とされているが、スポンサー確保にかかわるコンサルタント会社の選定についてどのように考えるか」と問いました。
佐藤調整担当部長は、「JOCは透明性、公正性の高い組織の実現に向けた検討を開始するとしており、本市もここに参加していく」と答えるに留まりました。
池田市議は「東京大会汚職の検証もされないままで、『透明性の高い大会』と言っても、市民の理解は得られない。東京五輪について汚職事件の概要も不明、開催費用がなぜ2倍にもなったかも明らかにされていない中で、札幌冬季オリ・パラの招致はすべきでない」と強く主張しました。
この質疑の後、東京五輪テスト大会をめぐる談合が発覚。これには『電通』もかかわっており、スポンサー確保にかかわる会社の選定が公正にできるのか、疑問が深まるばかりです。
市は月寒東2条8丁目の道開発局の用地(国有地)に、月寒の市営住宅を建て替えて、オリ・パラの選手村とする計画です。計画では9階建て市営住宅3棟、650戸となっており、現在790戸ある月寒の市営住宅の大半占めます。
「オリ・パラ招致がなくなった場合どうなるか」との問いに、担当部長は「開発局の土地は使わないで、現在地での建て替えとなる」と答えました。
池田市議は、「駅前の再開発はオリ・パラの招致に関係なくすすめられる計画である。月寒団地の建て替えも市民の利便性を考えて、オリ・パラ招致がなくても開発局の土地に移設建て替えができるよう国に働きかけるべき」と求めました。
第3回定例市議会(2022年)
第3回定例市議議会は9月21日から11月1日までの日程で開催されました。
11月1日には日本共産党を代表して千葉なお子市議(南区選出)が代表討論に立ち、 2021年度各会計決算、下水道会計決算の認定に反対し、他の会計決算および補正予算について賛成しました。
2021年度一般会計の実質収支は97億8千万円余りの黒字となりました。このうち49億円は財政調整基金に積み立て、残りの48億8千万円余りを次年度に繰り越しました。
千葉市議は、財政調整基金は決算残額で311億円、今年度と来年度の活用を見込んでも100億円を超える残額となることから、財政調整基金はコロナ禍、物価高騰に苦しむ市民の支援に積極的に活用することを求めました。
各会計決算の認定に反対する理由として、千葉市議は第1に、都心アクセス道路建設のための調査費・負担金、都心部の民間再開発促進費、新幹線延伸関係費および札幌駅交流拠点づくりの経費が含まれていることをあげ、 第2の理由として、東京2020オリ・パラ開催費、冬季オリ・パラ招致経費が含まれていること、 第3の理由として、地元との合意を反故にして滑走路の延長、増便を図る丘珠空港整備費が含まれていることをあげました。
第4の理由として、個人情報の漏えい、個人情報の国による一元管理、国民監視の危険性のあるマイナンバー関連経費が含まれていることをあげ、
さらに、市が一方的にすすめる学校統廃合に関わる経費が含まれていることをあげました。
国保、介護、後期高齢者医療の各会計においては、市民の負担が増えたことから決算の認定に反対し、
新型コロナ拡大に対応し最前線で奮闘する市職員の期末手当の減額がおこなわれたことについても、問題としました。
下水道会計については、民間委託を増やし職員を減少させたことをあげ、公共性の高い下水道は市が責任を持って管理すべきと主張しました。
決算特別委員会で、池田ゆみ市議は、コロナ禍のもと生活保護の申請件数が増加していることを指摘し、札幌市における最近の申請者の年齢構成、申請に至った理由について問いました。
阿部俊徳保護自立支援担当部長は、「申請に至った理由は預貯金等の消費が一番多いが、7月以降は失業等による収入減が多くなっている。
コロナ前の2019年における29才以下の申請者割合は11.8%であったが、2022年の申請割合は15.7%に増加しており、雇用の影響による若年層の申請が増えている」と答えました。
池田市議は、「保護を受けられる所得状況にあっても、国の世話になりたくない、恥ずかしいといった思いがまだ根強い」と指摘。
「市は生活保護制度を周知するポスターを今後増やしていくとしているが、地下鉄のホームドアにも掲示するなど、多くの市民が目にできるようにし、申請を促すようにしてほしい」と求めました。
池田市議は保護申請を躊躇させる理由に親族への扶養紹介があると指摘。2021年に厚労省からの事務連絡で、扶養義務を期待できないとみなす親族の範囲が広がったが、これにどう対応したか問うとともに、
こうした点を「生活保護のしおり」に明記すべきと求めました。
阿部部長は、「扶養義務を期待できないとする範囲が広がり、2020年の扶養照会は42.8%であったが、21年には32.2%に低下した。しおりには、扶養紹介の取扱についても情報がわかるようにしていく」と答えました。
「扶養照会については心配しなくてもいいんだということがわかるよう、保護のしおりを書き換えて欲しい」と求めました。
池田市議は、「国は2015年から生活保護の冬季加算を引き下げたが、引き下げは命にかかわる」と指摘。
「冬季加算には、病気や障がいなどのため、常時在宅する者に対する特別加算があり、1.3倍の支給になるが、生活保護の受給者にこのことを広く知らせていくこと」を求めました。
阿部部長は、「外出が著しく困難で常時在宅する方や、1才未満の乳児がいる世帯について、ケースワーカーが判断して特別加算の支給について対処している」と答えました。
池田市議は、「生活状況が変わることもあるので、ケースワーカーの家庭訪問による実態把握を十分にして欲しい」と求めました。また、こうした制度があることをだれもが知っていることが大切であるとして、制度の周知を求めました。
札幌市は2018年度から子どもの貧困対策計画を策定して取り組んでおり、次期の計画策定に向け市は5年ぶりに、子どもの生活実態調査を行いました。
池田市議はこの結果から、子どものいる世帯のうち家計の状況が「ぎりぎりまたは赤字である」とする世帯の比率が62・6%から50・5%に改善したものの、ひとり親世帯では、「ぎりぎりまたは赤字」とする世帯が70・7%と高いことを指摘。
ひとり親世帯では、現在の児童扶養手当や就学援助などの制度を利用してもなお生活はぎりぎりであることから、これらの制度が十分であるかどうかを検証し、次期の計画では充実した支援策として取り組むことを求めました。
10月6日本会議が開かれ、26件の案件について討論、採決を行いました。
日本共産党からは、田中啓介市議(西区選出)が討論に立ち、第2次札幌市まちづくり戦略ビジョンの策定、創成川通に埋設されている下水道管移設のための補正予算、豊園保育園の廃止について反対、他の案件について賛成しました。
まちづくり戦略ビジョンは、今後10年(2022〜2031年度)のまちづくりの基本となる指針で、市の計画体系では最上位に位置し、個別の計画はこれに沿って策定されます。
田中市議は、戦略ビジョンに反対する理由として第1に「オリンピック・パラリンピック冬季競技大会によるまちづくりの加速化」が記載されている点をあげました。
田中市議は、「オリ・パラ冬季大会招致を巡っては、賛否が拮抗しており、いったん立ち止まり、開催時期や計画の再検討がなされるべき。
今後10年間、オリ・パラ一色で行政運営が行われ、新幹線札幌延伸や都心アクセス道路などの大型公共事業が優先され、住民の福祉の後退が懸念される」と指摘しました。
第2に「マイナンバーカードの利活用の促進」が明記されていることをあげました。
マイナンバーカードについては、常に情報漏えいの可能性があり、国民監視につながるマイナンバーカードの活用を、戦略ビジョンの目標とすることは認められないと主張しました。
下水道事業会計補正予算は、創成川通に埋設されている下水道管を、都心アクセス道路整備までに移設する必要があるとして、来年度当初から移設工事を始められるようにするもので、 不要な都心アクセス道路整備に伴う事業であるとして反対しました。
市立豊園保育園を廃止する条例案については、公立保育所が18カ所から17カ所へと減ることになる条例改訂であるとして反対。
公立保育所は、保育士の労働環境や保育施設、保育内容など保育の質の基準となる重要な役割を担っているものであり、減らすべきではないと主張しました。
9月29日には日本共産党を代表して小形香織市議(中央区選出)が代表質問に立ち、 市長の「国葬」参加、統一協会との関係、日ハム撤退後の札幌ドームの問題、冬季オリ・パラ招致などについて市長の考えを問うとともに、 除雪対策、新型コロナ対応、学校統廃合などについて問いました。
「国葬」参加は世論と相反する
安倍元首相の「国葬」に秋元市長が公務として参加したことについて、小形市議は、@「国葬」への参加は、反対する多くの世論と相反するとともに、憲法違反で、法的根拠がないという認識を持っていたか、
Aなぜ本庁舎に半旗を掲げたのか。市有施設や学校などでの弔意の表明や、市民に対する弔意の協力要請はなかったかと問いました。
秋元市長は、「どのような場合に国葬とするのかについて、国会等で議論されるべき」と自らの判断を示さず、半旗掲揚については、「儀礼的な弔意を示すものとして行った」と答えました。
また、本庁舎以外の市有施設、学校等および、市民に対する弔意の表明の協力は求めていないと答えました。
統一協会との関わり
統一協会について、小形市議は、「反社会的な行為を繰り返してきた団体に対し、政治家が選挙などの支援を期待するという関係が長期間にわたり、そのことが霊感商法など被害の根絶を長引かせてきたとの認識を持っているかどうか問いました。
また、札幌市や公的団体と統一協会等との関係の全容解明とともに、反社会的な行為を続ける団体との関りを防ぐ仕組みについて市長の見解を求めました。
秋元市長は、「社会的に問題が指摘される団体との関係について厳格な慎重さが求められる」
「札幌市や社会福祉協議会によるマスク等の寄付受理や、指定管理者による事業開催がわかっている。社会的に問題のある団体と疑われる場合には、より慎重かつ厳格に対応していく必要がある」と答えるに留まりました。
日ハム撤退後の札幌ドームは
来年3月、日本ハムファイターズが北広島に建設中の北海道ボールパークに移転します。
これにより札幌ドームのイベント数が大きく落ち込むことが予想されています。
小形市議は、「札幌市が失う経済損失はいくらになり、2024年度から黒字化を見込む札幌ドームの利益で、どれだけ補えるか」と問いました。
秋元市長は具体的数値は示さず、「(株)札幌ドームの売り上げ減は見込まれるが、新たな観戦・鑑賞型イベントの開催等により、一定の経済効果が期待される。北海道ボールパークは札幌圏のランドマークとなる大型集客施設で、札幌市にとっても大きな経済効果が生まれるものと考えている」と楽観的な考えを示しました。
赤字になっても、税による補填は想定していない
札幌ドームは施設を札幌市が所有し、札幌市(55%)と北洋銀行、道銀、北電、北ガスなどの道内大手企業および電通グループが出資する(株)札幌ドームが運営管理を行っています。
小形市議は「本市は、株主の一員であり、(株)札幌ドームの役員でもあるため、赤字となった場合、赤字解消に大きな責任を負うことになるのでは」と問いました。
秋元市長は、「仮に赤字になった場合でも、税による補填は想定していない」と答えました。
疑惑や反対があっても冬季オリ・パラ招致続ける
小形市議は、東京オリンピックをめぐる疑惑と汚職を指摘し、「金もうけ第1の商業主義とそれへの過度の依存という五輪が抱える問題の抜本的解決が図られなければ、汚職を防ぐことはできないと考えるが」と市長の見解を問いました。
秋元市長は、「札幌開催が決定した場合には、同様の事件を起こさないための運営のあり方を検討していきたい」と答えました。
続いて小形市議は、2030年招致計画ではIOC負担金および世界のスポンサー収入800億円、国内スポンサー収入800〜1千億円と見積もっているが、東京五輪汚職によりスポンサーが集まると考えているか。また、スポンサー料が見込みを下回った場合、市の負担が発生するのではないか」と問いました。
秋元市長は、「より多くの企業の支援をいただけるよう取り組んでいきたい。スポンサー収入が見込みを下回った場合は、収入に見合った運営を行い、本市の負担が生じないよう務めていく」と答えました。
小形市議は、「オリ・パラ招致について、北海道新聞の調査では57%が反対と、賛成を上回り、東京五輪汚職で反対はもっと増えていると考えられる。
市民は大会概要を理解していないのではなく、市民の声を公正に、広く聞くことなく、招致に突き進む市の強硬な姿勢に反対している」と指摘し、「市民の声を真摯に受け止め、冬季五輪招致を断念すべき」と求めました。
秋元市長は、「招致については様々な機会を通じて市民の声を把握し招致活動を進めてきた。議会からも招致決議をいただいた。クリーンな大会にするという点を市民に伝え、理解を得ながら、招致活動を継続していく」と答え、
あくまでも冬季オリ・パラ招致を進めるとの姿勢を貫きました。
以下追加していきます
日本共産党市議団は9月21日、市長の「国葬」への不参加を求める要望と、統一協会及び関連団体との関与を絶ち、過去の関係を解明、公表し、霊感商法被害者救済の強化を求める要望を、秋元市長宛に行いました。
統一協会の関連団体とされる「北海道CARP」と市の外郭団体が共催で2021年11月から、イベントを開催していたほか、社会福祉協議会にボランティア団体登録していた事例も判明していると指摘。
早急に関係を絶つよう強く求めました。
10月1日から14日にかけて、米軍のオスプレイが参加する日米共同訓練について、
日本共産党市議団は9月9日、秋元市長に対し「日米共同訓練並びにオスプレイの丘珠空港飛来中止を求める申し入れ」を行いました。
市議団を代表して小形、太田、長屋市議が申入書を提出し、オスプレイの飛来は市民を危険に巻き込むとともに、
札幌市が訓練を受け入れることは、今年30年を迎えた札幌市平和都市宣言の精神にも反するとして、訓練の中止を、政府に強く求めるよう要請しました。
冬季オリ・パラ招致、都心部再開発で
市民の暮らしは豊かになるか
札幌市は冬季オリ・パラ招致と新幹線延伸をテコに都心部の再開発に力を入れていますが、 長引くコロナ禍に加え諸物価の高騰で、秋元市政の進めるまちづくりでは、市民の暮らしは守れないと、 日本共産党札幌市議団は7月30日、「札幌市のまちづくりを考える市民シンポジウム」を開催しました。
道自治体問題研究所の三浦泰裕事務局長は、都心部の再開発には国と市から総事業費の15%に当たる補助金が投入される他、
都心アクセス道路や新幹線延伸に伴う公共事業にも多額の経費が投入されると指摘。
商業施設やマンションの都心部への集中は、郊外や近隣市町村の消費を奪い、経済格差が一層広がるとともに、札幌市の財政逼迫をまねくと指摘。
2022年度末の市債残高は臨時債を含め1兆円を超し、市庁舎をはじめ、老朽化した公共施設の再整備も必要とされるなか、市財政の逼迫が懸念されると強調しました。
冬季オリ・パラについては、「北海道でオリンピックの中止を求める市民連合」事務局長の吉井健一氏が、 「市に五輪誘致について申し入れたが、誘致を進める立場から、丁寧に聞き置くだけの姿勢が見え見え。 市は様々な問題について、組織委員会に申し入れるとしているが、IOCやJOC、競技連盟によって大綱は決定されおり、札幌市の「申し入れ」が生かされる余地はない。 冬季五輪誘致は札幌の一部業者に利益はあるものの、市民一人ひとりの負担増になりこそすれ、利益はない」と語りました。
市議団からは太田秀子政審会長が報告。「市長は"都心部の再開発は将来を見据えた投資で、市民の暮らしの充実にもつながる"と、市民にも恩恵があるかのように言っているが、 富裕層向けのホテルを建て、冬季オリ・パラを誘致して、市民の暮らしが豊かになるか。家族みんなでオリンピックを観戦できるのか」と問い、 「大型開発や外需だのみでなく、医療や介護、保育、教育などのサービスを充実することで経済をまわしていくことが大切。 こうした業務に携わるエッセンシャルワーカーの方々の安定した雇用を保障していくことが必要」と訴えました。
生活に欠かせない電気、ガス、食料品の相次ぐ値上げで家計の支出が増えています。値上げはまだまだ続くとされ、この先のくらしが不安になります。 こうした状況に、日本共産党札幌市議団は7月11日、秋元市長に対し、7項目からなる「物価高騰から市民の暮らしを守る緊急要望」を提出しました。
○低所得者に対する特別手当の支給、水道使用料など公共料金の減免
○中小事業者への支援金支給や緊急融資枠の拡大
○医療機関、福祉施設、保育所等での食材費、光熱費など必要経費の増加分を補てん
○子ども食堂などに取り組む運営団体に対し、支援策を設ける
○学校給食の食材費は据え置きにとどめず、給食費そのものの軽減をおこなう
○市立高校に導入され1人1台端末で、学習用端末購入費について補助をおこなう
○より広い世帯が利用できるよう、就学援助制度の認定基準を引き上げる
提出には村上仁市議団長と小形香織幹事長が当たり、町田副市長が対応しました。市側は「市民や事業者が深刻な影響を受けているのは認識している。国の制度を最大限活用し、 市としても、どう効率的に不公平感なく対応できるか検討したい」と応じました。
第2回定例市議会(2022年)
第2回定例市議会は5月23日から6月6日までの日程で開催されました。
第2回定例市議会は最終日の6月6日本会議を開催し、代表討論を行い議案の採決を行いました。
代表討論には日本共産党から村上仁市議(厚別区選出)が立ちました。
(村上市議の討論の詳細はこちらに)
日本共産党と市民ネットが提出した「2030札幌オリンピック・パラリンピック冬季競技大会招致に関する住民投票条例案」は、自民、公明、民主市民連合の反対で否決されました。
自民、公明、民主の会派は討論で、「冬季オリ・パラの開催は札幌市が国際都市として飛躍する好機と捉えるべき。地域経済の活性化にも貢献する。スポーツによる青少年育成、まちのバリアーフリー化による生活と福祉の充実にも貢献する」とその効果を強調。
すでに第1回定例市議会で招致に関する決議を賛成多数で決議していること、市としても様々な場で市民の意見を聴取し、議論を重ねてきたことから、住民投票は必要ないとしました。
また、「賛否を問うだけの住民投票では、市民の不安の声によりそうものにはならない。むしろ市民に責任を押しつけることにならないか」として、住民投票に反対しました。
さらに、今後取り組むべきは「市民の理解を深め、冬季オリ・パラ招致の気運を醸成し、札幌市の長期発展に市民を巻き込んだ論議を進めていくこと」と、冬季オリ・パラありきの立場に終始し、
招致について賛否が拮抗していることや、市民の声をどの様にして生かしていくかについての論議はありませんでした。
これに対し、村上市議は、市民に対する意向調査は大会誘致を誘導するような質問の仕方であったことを問題とするとともに、そのような調査でも賛成がかろうじて半数を超えたにすぎず、賛否は拮抗していると指摘。
「市民の賛否が拮抗している以上、市民の意思確認を行うための住民投票を実施し、市民が主体のまちづくりと共に、市民に開かれた議会とすべき」と主張。
さらに「住民投票が行われることになれば、大会概要案について、今まで以上に広く、住民への情報提供と説明が求められ市民の関心も広がる。招致への理解が広がる土壌が作られるばかりか、市民の声を広く公正に聞こうとすることで市政への信頼にもつながる」として、住民投票の実施を求めました。
今市議会には、自民、民主、公明の3会派から「歯科口腔保健推進条例案」が提出され、可決されました。日本共産党と市民ネットは反対しました。
日本共産党市議団は、貧困のために子どもを歯科に通わせることができず、子どものうちに歯をだめにしてしまう口腔崩壊を防ぐため、「健康診断を歯科受診につなげる努力を」「就学援助制度を使って治療ができることの周知を」などと取りあげてきました。
今回の条例案については賛同できる部分もありましたが、第11条で、フッ化物の応用等の科学的根拠に基づく効果的な取り組みの推進を、市長、教育委員会に求めています。これについて、学校における集団のフッ素洗口を不安に思う市民から「フッ化物の文言を削除すること」など3件の陳情が出されていました。
陳情はいずれも不採択となりましたが、村上市議は、フッ化物の有効性や安全性、また学校での集団実施には様々な評価や見解があることから、市民の懸念は当然であるとして、条例案に反対しました。
村上市議は一般会計補正予算について、「スマートシティ推進費追加」が含まれているとして反対しました。
スマートシティ推進のためには、健康データなど個人の情報を取得・活用できるかどうかが重要となります。
新たに、札幌市の公式LINE等で、市民がAI(人工知能)利用に同意することで、個人の情報が官民データ流通促進基盤に蓄積され、そのデータを民間と共用することになります。
村上市議は「今後、対象データや地域を拡張しながら推進すれば、情報漏えいの危険が一層増すことは明らか」で、個人情報が危険にさらされるとして反対しました。
市立病院の使用料及び手数料条例の改正は、国の制度改正に合わせ、紹介状を持たない初診患者から徴収する加算額を医科初診の場合、現行の5000円から7700円に引き上げるものです。
国の医療費削減政策の一環であり、患者の受診抑制を一層進めるとともに、市民への負担を強いるものであることから、反対しました。
札幌市保護施設条例の一部改正についても、施設の定員を90名から75名に削減するものであることから反対しました。公的施設としての役割から、施設整備に伴う定員の変更に当たっては、慎重さが求められます。
5月31日には日本共産党を代表して長屋いずみ市議(北区選出)が代表質問に立ち、ウクライナ問題、平和都市宣言、冬季オリ・パラ招致、気候変動対策、札幌駅前開発、 札幌ドームスポーツ交流拠点構想、市民への住宅支援、新型コロナ対策などについて問いました。
ロシアへの抗議、難民受入は
長屋市議は、「ロシアによるウクライナ侵略は国連憲章、国際人道法に違反することは明白。国際世論でロシアを包囲し、侵略を一日も早く終わらせなければならない」と指摘。
「プーチン大統領が、核の先制使用もありうると威嚇していることに広島、長崎の両市長は、ロシア大使館を通じて厳重に抗議しているが、市長は何らかの抗議を行ったか」と問いました。
秋元市長は、札幌市が加盟している非核宣言自治体協議会を通じて抗議文を発出したと答えました。
ウクライナ難民の支援について長屋市議は、「札幌市は受入を表明し、市営住宅の提供などを申し出ているが、長期化が予想される中で、具体的な支援体制をどのように整備していくか」と問いました。
また、「難民」としての認定や支援が国によって差別があってはならないと指摘し、認定の改善を政府に働きかけていくことや、難民の受入に関する市としての今後の方針について問いました。
秋元市長は「避難民が札幌に住むことになった場合、住宅や福祉、教育など適切な支援が行われるよう体制を整えているところ」と答えました。難民認定については、「今後、国会において慎重かつ十分に論議がなされるものと認識している」と国まかせの答弁でした。
札幌平和都市宣言広く普及を
長屋市議は、今年は札幌市が平和都市宣言を行って30年になり、市として様々な事業を実施するとしているが、市民参加に向けた周知や準備、草の根の取り組みへの支援をどのように進めるか問いました。
さらに、札幌市の平和都市宣言は、「非核三原則の遵守、核兵器廃絶を宣言している画期的、先進的なもの」と評価し、「これを市民に広く普及するため、これまでの事業の拡大とともに、新たな事業を検討するべきでは」と求めました。
秋元市長は、「多くの市民、とりわけ若い世代の方々に感心を持って参加してもらうことが重要と考えており、平和へのメッセージや平和訪問団の対象を高校生まで拡大する他、原爆被害の惨状を示す被爆資料等を紹介する動画を活用し、核兵器の脅威と平和の尊さを伝えていきたい」と答えました。
また、戦争体験者が高齢化しているため、証言映像を収録して後世に残していく取組を加速させていきたいとしました。
臨時交付金を市民の負担軽減に
長屋市議は、原油価格が高騰する中、札幌市以外の全道の市町村で福祉灯油が実施されたが、札幌市だけは、福祉灯油の実施を求める陳情が出されたにもかかわらず、実施しないという冷たい姿勢に終始したと指摘。
市民の暮らしに対する市独自の支援が極めて不十分ではないかと問いました。
さらに、国が4月26日に策定した「原油価格・物価高騰総合緊急対策」の中には新型コロナ地方創生臨時交付金の「コロナ禍における原油価格・物価高騰対応分」が含まれており、この交付金の使途は幅広く設定されていることから、市民生活の支援に広く活用すべきと指摘。
ひとり親をはじめ子育て世帯、低所得者や生活困窮者への給付金、事業者への電気・ガス料金を含む公共料金、学校給食費等の負担軽減などにも活用すべきとして市長の考えを問いました。
秋元市長は、「原油価格・物価高騰への対応は非課税世帯に対する臨時特別交付金の支給など必要な支援を行ってきた。地方創生臨時交付金のコロナ禍における原油価格・物価高騰対応分については、時期を逸することなく、必要な方に支援が届くよう対策を講じていく」と答えました。
気候変動対策、脱炭素化を
長屋市議は、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が4月に公表した報告では、地球の平均気温上昇を産業革命前から1.5℃に抑制するには、2025年までに温室効果ガスを増加から減少に転じさせることが必要で、そのためには化石燃料依存からの脱却が不可欠としていると指摘。
ゼロカーボン都市「環境首都さっぽろ」を掲げる本市として、IPCCの報告を受け、今後どのように取り組むかを問いました。
秋元市長は、「2030年の温室効果ガス排出量目標はIPCCが2019年比で40%削減が必要としているが、札幌市は52%とこれより高い目標を掲げている。
この達成に向け、省エネや再生可能エネルギーの導入拡大など脱炭素化に向けた取り組みを積極的に進めていく」と答えました。
新幹線東改札口、横断デッキの利用は
長屋市議は「請願改札」としてつくられることになった新幹線東改札口について「この整備費25億6千万円は市の負担となる。この改札口の利用者は1日当たり3000人と見込まれているが、見込み通りの利用があるか疑問」と指摘。
さらに、「この改札口は新幹線の乗客だけしか利用できず、再開発ビルとつなぐ創成川横断デッキを利用できる人が限定されるのでは」と問いました。
吉岡副市長は、「創成川横断デッキは、地域住民を含めだれもが自由に利用できる施設として整備する」と答えました。
新型コロナ検査キットの支援継続
新型コロナは第7波に入ったと見られ、再び感染が広がっています。高齢者施設等に対し、保健所は抗原検査キットを配布してきましたが、長屋市議はその結果と、今後の施設への支援について問いました。
町田副市長は、「3月下順に配布した検査キットは145施設で使用され、うち7施設で陽性が判明し、感染予防に一定の寄与をしたものと認識。有症者の発生に備えて希望する施設に対し、キットを追加配布する形で支援を継続していく」と答えました。
冬季オリ・パラ招致 住民投票条例案提案
5月23日の本会議で共産党の小形市議(中央区選出)が提案説明に立ち、
今年3月に実施した招致についての「意向調査」では、52.2%の賛成であったが、北海道新聞社が4月に行った調査では57%が反対で、賛否は拮抗していると指摘。
「冬季オリンピック・パラリンピックは、圧倒的な市民の賛成なしに成功させることはできない。しかし札幌市はすでに、"2030オリンピック・パラリンピックプロモーション委員会"を設置し、招致活動を進めようとしている」と指摘。
「その前に、まず、197万人を代表する市長として、多くの市民に、賛成か反対かの意思を確認することが必要だと考える」と条例案提案理由を述べました。
また、「冬季オリ・パラ招致は市政に関する重要事項であり、市民の政治参加を保障する民主的なプロセスがないまま進めることは許されない」と指摘しました。
札幌市は3月2日から17500人を対象に、2030年冬季オリンピック・パラリンピックの招致について意向調査を行いました。
調査は、郵送、インターネット、映画館に来た人について行われ、回答が得られたのは、札幌市民9396人、北海道民4479人でした。
招致について「賛成」、「どちらかといえば賛成」をあわせた割合は、札幌市民で53%、北海道民で64%でした。
札幌市民の割合は図の通りです。オリンピックは開催都市の市民の圧倒的賛同があってこそ開催できます。どちらかといえば賛成も含めてかろうじて過半数では、招致の見直しが必要です。
図は記者発表の調査方法別の数値(%)から再計算したものです。
日本共産党市議団が昨年秋に行った市政アンケートでは、「札幌市政に望むこと、優先すべき事業」について20項目の中から、
5項目以内を選んでもらいました。
豊平区からは160件の回答があり、「冬季オリ・パラ招致の抜本見直し」は46.9%の人が指摘し、第1位でした。
図は20%以上の人が指摘した項目をあげてあります。
日本共産党北海道委員会と同札幌市議団は3月9日、声明「札幌冬季五輪の2030年招致はとりやめ、市民のくらしを豊かにするやさしい札幌へ」を発表しました。
声明では、1)オリンピックの過度な商業主義を指摘、招致をめざすなら、IOCとの協議の内容を市民の前に示すべき。
2)招致について、市民の賛否は拮抗。オリンピックは開催都市住民の圧倒的支持のもとに行われてきているが、札幌では開催ありきで市民が置き去りになっている。
施設整備や関連する都心部再開発の巨額経費を市民が負担できるか。3)新型コロナやこの冬の大雪対策に市民の厳しい目が向けられている。札幌市が力を入れるべきは、
巨大開発や、巨大イベントに依存するまちづくりでなく、くらしを豊かにする施策の充実である。・・・・として
くらしを豊かにするやさしい札幌市づくりをめざす立場から、2030年冬季オリ・パラ招致はとりやめることを求めています。
写真は、声明について会見する、畠山元衆院議員(左)、村上市議団長(中)。声明はこちら。
第1回定例市議会(2022年)
第1回定例市議議会は2月15日から3月30日までの日程で開催されました。
ヒアリングループは、コンサートホールや会館などで、マイクで収録した音声を直接補聴器に伝えるシステムで、補聴器による聞取りを良くするものです。
高齢化とともに補聴器を必要とする人が増えていますが、補聴器でも聞こえが悪いとして、講演会やコンサート参加をあきらめる人がいます。
池田市議は予算特別委員会で、区民センターへの設置状況と市民への周知について質問。市側からは、白石区民センターに設置されているが、あまり利用されていないという回答で、市民への周知が必要とされました。
池田市議は、高齢者の社会参加を広げ、元気に活動できるよう、市民の利用頻度の高い他の区民センターにもヒアリングループを設置し、市民に周知していくことを求めました。
市側は、白石区民センターの利用状況や効果を検証し、検討していくとしました。
高校においても1人1台のコンピューター端末(タブレット)の整備が進められていますが、保護者負担は4万円にもなります。
池田市議は予算特別委員会で、「入学に当たり、教科書代、副教材や制服、ジャージ、運動靴などをふくめ10万円以上の経費がかかるなか、さらに4万円は保護者にとって負担が大きいのでは」と問いました。
担当部長は、「低所得者世帯に対しては、端末の無償貸し出しなど負担に配慮」と答弁。
池田市議は、保護者に購入させる仕組みそのものに矛盾があり、42 都道府県中で公費負担が16 自治体に広がっていることを紹介。全額公費負担で貸与する場合いくらかかるか問いました。
市側からは約3億円との回答があり、池田市議は「長引くコロナ禍のもと、入学にかかる経費を少しでも軽減することが重要」と指摘し、公費負担での貸与を求めました。
池田市議は予算特別委員会で、2021 年度に就学援助申請をした世帯のうち6%が認定されなかった点を取りあげ、 「これらの世帯は学用品などの支払いに困って申請したもの。現在の就学援助基準は生活保護基準の1.1 倍となっているが、1.1倍をわずかに超えているために援助申請をあきらめている方も多いと思われる」と指摘し、 市の就学援助基準を引き上げ、援助の枠を広げることを強く求めました。
第1回定例市議会は最終日の3月30日本会議を開催し、代表討論を行うとともに、新年度予算等の採決を行いました。 代表討論には日本共産党から佐藤綾市議(白石区選出)が立ち、新年度一般会計予算に反対しました。
佐藤市議は反対する理由について第1に、市民合意のない大型開発事業、不要不急の事業が含まれているとして以下の点をあげました。
@必然性に乏しく市民合意のない都心アクセス道路の事業費が将来の市民負担となる懸念がある。
A北海道新幹線延伸については、有害残土処分地・候補地での反対や、トンネル予定箇所の地上に住む住民からルート変更の陳情などがある。市民合意がないまま2030年開業ありきの進め方は認められない。
B札幌駅交流拠点まちづくり推進費による北5西1・西2地区、北4西3地区の再開発に係る補助は、札幌延伸による需要や経済効果は不透明であり、事業そのものを見直すべき。新幹線札幌駅東改札口については、国や鉄道運輸機構が負担すべき。
C民間再開発促進費のうち、北8西1地区、南2西3地区の事業費が、当初の1・4倍、1・7倍へと増大している。増額理由や内容も明らかにされないまま市税を投入し続ける懸念がある。
C丘珠空港については、インバウンドを見込んだこれまでの計画や将来像を再検討すべきで、住民との合意を無視した滑走路延長計画は見直すべき。
第2の理由として、2030年五輪招致予算をあげました。佐藤市議は3月の意向調査で反対が4割に達し、その理由として、「開催に多額の予算が必要」が最も多い反対の理由であったと指摘。 本市の施設整備費負担とされた450億円には、約50億円の利息は含まれておらず、さらに、建設資材の高騰などで膨らむ可能性も否めないとし、市民の懸念や疑問を払拭しないまま、強引に進めることに反対しました。
第3の理由は、学校規模適正化推進費1100万円が含まれているからとし、小学校は39校、中学校で4校を対象とし、画一的な統廃合が住民合意のないままに進められようとしているとして、改めるよう強く求めました。
第4の理由は、個人の情報漏えいのリスクが高まるマイナンバー関連費が含まれていることをあげました。
国民健康保険、介護保険会計予算については、保険料が高すぎるとして反対しました。 国保については国が未就学児の均等割を軽減させたが、高すぎることには変わりないとして、思い切った繰り入れによる引き下げを求めました。
下水道会計予算については、茨戸水再生プラザの運転管理を、本市職員22名を削減し民間委託するもので、技術の向上や人材育成が困難になるとして反対しました。
特別支援学級の配置基準の見直し、学校給食業務の委託拡大などで102名の削減となる札幌市職員定数条例の改訂にも反対しました。
市営住宅の入居者は高齢者が5割を占めていますが、エレベーターがなく、灯油タンクを4階・5階まで何度も運ばなければならないという深刻な事態があります。 予算特別委員会でも党市議団が設置を求めましたが、「設置は難しいが自治会や社会福祉協議会など関係機関と意見交換し、ソフト面の対応を検討したい」との回答がありました。 これを受け、代表討論では「オイルサーバー設置の検討とともに、特に高齢者の灯油の運搬について、札幌市の責任で、早急に具体化し負担軽減を図るべき」と求めました。
敬老パスは高齢者の外出の機会を増やし、社会参加を進める上で大変役に立っています。しかし、足が不自由でバスや地下鉄を利用できない人は使えません。 予算特別委員会で、太田市議(東区選出)は、「JR、タクシーでも使えるよう事業者団体などと協議をしてもらいたい。2018年に行った利用者アンケートを改めて行って市民の声をしっかり聞いてほしい」と要請 高齢者が増える中で、事業を前進させようとしない市の姿勢を批判。「交通機関を限定したままでは、外出を制限せざるを得ない高齢者もいて、外出支援、社会参加を促すという事業の趣旨にあわない」として、予算(22年度予算60億円)の増額と利用拡大を強く求めました。
予算特別委員会の質問で、1ヶ月に100時間以上の過労死ラインを超える時間外勤務を行った市職員の述べ人数は、2018年が650人、19年が450人、20年が904人に達していることが明らかになりました。
市議団は「月100時間以上勤務など過労死ラインを超える働き方は直ちに解消すべき」と迫り、代表討論でも長時間労働の解消を求めました。
市役所の業務は多くの非正規職員で支えられています。地方公務員法により地方自治体で働く非正規職員が会計年度任用職員に統一されて2年。当時、市の臨時職員は1270人、非常勤職員は2291人の計3561人でした。
昨年4月時点で会計年度任用職員は4008人と447人増えています。
この制度では、同一部での任用を3年としており、1年ずつの任用を3年まで更新してきた方は今年失職します。
しかし3年の任期終了後、同一部でなければ次年度も採用の応募が可能であるので、雇用継続への相談や周知を求めました。
市は新月寒体育館を羊ヶ丘に建設する予定です。しかし、これは日本ハムファイターズ移転前の計画であり、札幌ドームとの相乗効果は極めて不透明な事態となりました。
現在の月寒体育館は地下鉄から徒歩1分で、学校や仕事を終えてからの市民利用が多く、現在の場所に建設することが望ましいと考えられます。
羊ヶ丘への計画は見直すべきと求めました。
最終日、3月30日の本会議で日本共産党市議団は議案提案権を生かし、予算の組み替え動議を提出。
組み替え動議の提案説明に太田市議(東区選出)が立ち、総額約187億円となる以下の削減、見直しを求めました。
1)都心アクセス道路は必要性が希薄で、くらしや福祉に回るべき予算を圧迫する。関連する経費の削減。
2)新幹線札幌延伸は有害残土の処分について住民の不安が増大、トンネルが通る上のマンション住民からルート変更を求められるなど、一旦立ち止まり再検討すべき。
3)新幹線札幌駅舎や改札口は国や機構が整備すべきものであり市の負担は市民合意が得られない。
4)都心部再開発のための民間再開発促進費は、公共性や採算性、事業規模など総合的に見直すべき。丘珠空港整備関連費も削減すべき。
5)MICE(大型会議・展示・イベント施設)関連経費については新型コロナの影響で再検討の期間が2024年3月まで延長されており、予算は見送るべき。
6)冬季オリ・パラ招致は市民の反対が4割もあり、巨額経費が市の財政を圧迫し、市政に禍根を残すことになりかねないので取りやめを。
7)マイナンバー制度は市民のプライバシーをおびやかすことになりかねないので、関連する経費の削減を。
8)当事者や地域の合意がないまま進められている小中学校の統廃合や小中一貫校への再編は見直すべき。
一方拡充を図る項目として、総額約140億円となる以下の項目を挙げました。
1)新型コロナの再拡大に備えた対策として、
@20政令市中19番目と少ない保健師58人の増員。
A8ヶ月予算となっているPCR検査体制を12ヶ月に組み替え検査の拡充・強化を。
B感染リスクの高い医療機関や介護施設に対し、かかり増し経費を補助する。医療機関や介護施設ではコロナ対策としてマスクや防護服等のかかり増し経費が増えており、感染者の受入にかかわらず助成が必要。
2)住民税非課税世帯を対象に高騰している暖房用灯油の助成を。
3)子どもの医療費無料化を中学3年生まで引き上げる。
4)除排雪対策として
@夏場に仕事が確保できるよう市が公共事業を発注し、年間を通じて除雪業者と従業員を確保。
Aパートナーシップ排雪の町内会負担の廃止。
5)35人学級の早期実現。札幌市は2025年度までで小学校全学年での実現と遅れている。2022年度から中学校まで35人学級を。
6)国保料の子どもの均等割は今年度から未就学児について5割軽減となるが、これを18才までに拡充。
7)介護給付準備基金を活用し、介護保険料や利用料の負担軽減を図る。準備基金が増えたのは介護サービスの利用が低下したため。原資は保険料であり、保険料等の軽減に向けるのは当然。
残念ながら他会派の賛同が得られず、動議は否決されましたが、市民の切実な要求を明確に示すとともに、
その実現に頑張ることができました。
3月2日には本会議が開催され、補正予算等の採決が行われました。
日本共産党を代表して池田ゆみ市議が討論に立ち、マイナンバーに関係する経費が含まれる補正予算に反対するとともに、他の18件の案件には賛成しました。
代表討論を行う池田市議
池田市議は大雪への対応策としての除雪費22億円、
新型コロナ拡大のもとで困難を抱える低所得者に対する臨時特別給付金への追加予算は必要としました。
除雪費の当初予算は214億4百万円でしたが、今回の補正で22億円が追加され、2月21日議決分の67億円とあわせて、総額303億4百万円となりました。
補正予算では、月寒体育館更新基本構想策定のための経費300万円が繰越とされました。これは日本ハムファイターズの移転後、2030年までに札幌ドーム周辺に体育館を移転することでスポーツ交流拠点としての相乗効果を得ようとするものです。
池田市議は「相乗効果が得られるのか定かではない再整備は、慎重の上にも慎重を重ねた検討が必要」と指摘しました。
補正予算には、マイナポイント申し込み支援費、住民異動に係る転出・転入をマイナンバーカードやマイナポータルで手続きを行うためのシステム改修費が含まれていました。
池田市議は、「自治体システムの統一化で個人情報が集積されるほど、攻撃されやすく、また、情報漏洩を防ぐ完全なシステム構築は不可能」と指摘し、補正予算に反対しました。
2月22日には日本共産党を代表して田中啓介市議(西区選出)が代表質問に立ち 市長の政治姿勢、予算編成、市内経済の活性化、冬季オリンピック・パラリンピック招致、医療と介護、 行政のデジタル化推進、都心アクセス道路などについて質問しました。
代表質問を行う田中市議。議員は新型コロナ感染防止のため、半数出席、半数はオンライン視聴に。
「敵基地攻撃能力」市長の見解は
始めに田中市議は、市長の政治姿勢について問いました。
国会答弁で政府は「自衛隊戦闘機が敵基地を爆撃する選択肢も排除しない」としているが、これは従来の「自衛のための専守防衛」を超え、「先制攻撃と受け取られる懸念があるのでは」と市長の見解を問いました。
市長は「岸田首相は新たな国家安全保障戦略等の策定の中で、敵基地攻撃能力についても検討するとしており、その過程において、憲法等の理念を踏まえて議論されるものと考える」とし、見解の表明を避けました。
核兵器禁止条約締約国会議への参加要請を
核兵器禁止条約が発効した昨年、市長は「核兵器廃絶への第1歩」とのべ、批准については国が判断するものとしながらも、平和首長会議に参加し、条約の批准を政府に要請してきたと説明しました。
田中市議は、新型コロナで延期になったが、第1回核兵器禁止条約締約国会議に、唯一の被爆国として日本政府は参加すべき。平和都市宣言30年の節目に当たる札幌市として、政府に参加要請を行うよう求めました。
市長は「札幌市は平和首長会議の国内加盟都市会議を通じて、政府に対しオブザーバー参加をするよう繰り返し要請を行っており、今後も加盟都市と連携しながら、世界平和の実現に取り組んでいく」と答えました。
「福祉灯油」実施しない理由は
原油価格の高騰が続いてきましたが、ロシアのウクライナ侵略で一層の高騰が見込まれます。金子総務大臣は2月10日、「自治体の灯油購入費の追加助成について、特別交付税措置の対象にする」と表明し、すでに2、3回と実施した市町村がさらに実施しても交付対象とするとしています。
田中市議は、「総務省や多くの市町村が『福祉灯油』の有効性を認めているが、本市だけが『効果は限定的』と主張し、実施しようとしないが」と、特別交付税の追加措置が実施されても、実施しない理由を問いました。
市長は、「住民税非課税世帯等に対する臨時特別交付金の支給を進めている。この給付金は、使途が限定されていないので、原油価格の高騰による影響を大きく受けている方々の生活支援にも資するものと認識している」と答えました。
臨時特別交付金が、「福祉灯油」の代わりになるなら、総務省も特別交付税措置の対象にしないはずで、「福祉灯油」を実施しない理由になりません。
冬季オリ・パラ招致 調査結果どう使う
札幌市は2030冬季オリ・パラ招致について、3月中に総計17500人を対象に意向調査を行います。これについて市長は「賛否の投票ではなく、政策判断のために行う。招致支持が半数を下回った場合でも、招致活動を継続するとの考えを示した」との報道がなされています。
田中市議は「招致するかしないかを決めるのは市民である」と強調し、「意向調査で反対や否定をした市民の意思は受け入れない考えなのか」と問いました。
市側からは、「意向調査では、大会開催に係る賛否に加え、その背景にある理由も尋ねることで、期待や懸念の声を把握し、それらを計画に反映させていきたい。
意向調査の結果を踏まえながら、市議会で議論のうえ、大会招致の進め方を総合的に判断していく」と答弁がありました。
都心アクセス道路中止の決断を
田中市議は「新型コロナ対策等で市債残高は前年度より増えて1兆7千億円余りになり、さらに支出を余儀なくされる中で、都心アクセス道路建設に240億円もの市負担分を支出することに市民の理解が得られるか」と問い、
「大雪で排雪が追いつかず、除雪予算の拡充や子ども医療費無料化の中学生以上への拡大、医療機関や高齢者・障がい者、保育などの福祉施設への手厚い支援が求められている」として、都心アクセス道路建設中止の決断を求めました。
市側からは、「国の第三者委員会の審議を経て新規に事業化されたもので、北海道開発局と連携し、早期完成に向けて取り組んでいく」と建設を進める考えが示されました。
タワーマンションに若者は入れるか
札幌の人口は197万人、そのうち市民税課税者は約95万人、100万人近くが非課税者となっており、くり返される労働者派遣法の改悪で、非正規労働者が増え、正規社員の賃金も低く抑えられてきています。
田中市議は、「新年度予算では新幹線札幌延伸、冬期オリ・パラ誘致、都心アクセス道路、都心部の大型再開発などの経費が計上されているが、これらの事業の恩恵を市民が受けることができるか。タワーマンションができても若者は入居できるのか」と問いました。
市側からは「都心の再開発など魅力あるまちづくりは将来を見据えた投資であり、市内産業の活性化にもつながるものと認識。多くの市民の暮らしの充実につながるものと考えている」との答弁がありました。
最低賃金の引き上げ支援を
札幌市は飲食、宿泊、卸・小売り業などの第三次産業の割合が大きく、市内総生産の大きいサービス業では非正規など不安定雇用者の割合が7割を占めています。このため、2018年度の札幌市の1人当たり所得は、280万1千円、有効求人倍率は1・08倍といずれも政令市の中で最低レベルとなっています。
田中市議は、低賃金労働者の増加は内需を冷え込ませ、市内経済を失速させる。しかし、賃金の引き上げには中小零細企業の努力だけに頼ったのでは限界がある」と指摘。「社会保険料の負担軽減など、最低賃金の引き上げ支援に踏み出すことが市内経済の活性化にとって重要と考えるが」と市の認識を問いました。
市側からは「最低賃金の急激な引き上げは経営を圧迫する可能性もあることから、慎重に審議され、地域の実情を踏まえたものであることが重要。国は最低賃金の早期引き上げを目指しており、議論を注視していきたい」との答弁がありました。国任せで、市として最低賃金の引き上げに積極的に関わる姿勢は見られませんでした。
医療・福祉」の経済効果 第2位
2016年の札幌市の「経済センサス活動調査」によれば、市内全体の「医療・福祉」分野の民営事業所数は6680か所で、17に分類された産業の中で第4位、従業者数は127350人で第2位で、増加率はともに第1位です。高齢化を迎え、「医療・福祉」分野が伸びています。
企業等の生産活動によって新たに生み出された付加価値額で見ても、「卸・小売り業」の1兆593億円に次いで、「医療・福祉」が5406億円で、「建設業」の5379億円を上回っています。
田中市議は「経済効果というと、もっぱら大型開発が強調され、『医療・福祉』はその阻害要因として宣伝、攻撃されるが、経済効果が大きく、市内経済の活性化に資すると考えるが」と、市としての認識を問いました。
市側からは「医療・福祉分野は原材料への需要に対する影響は小さいものの、雇用所得の増加による影響が大きいことから、他産業と同程度の経済波及効果があると分析している。今後、この分野は高齢化にともない、産業規模が拡大していくものと認識している」との答弁がありました。
要請する村上市議と千田市議団事務局長(奥)
新型コロナ・オミクロン株の急速な拡大に伴い、市は保健所が実施してきた感染経路を特定する疫学調査にかえて、
新型コロナと診断された市民みずからが、知人等に連絡する方式に切り替えました。
こうした対応に市議団には、「感染者から連絡を受けた市民が『感染の可能性』があると判断し、職場に健康観察のため休暇を申し出ても受け付けてもらえないなどの相談が寄せられています。
また、検査キットの不足や、医療や介護、保育の現場からは、PCR検査を受けたくても予約が取れず、職場復帰もままならないといった深刻な訴えが寄せられています。
こうした状況に、日本共産党札幌市議団は1月31日、以下の4項目に渡る緊急要請を、秋元札幌市長に行いました。要請は感染防止のため、村上市議団長が行い、千田市議団事務局長が同席しました。
対応した町田隆敏副市長は、「保育所で感染が広がると看護師などエッセンシャルワーカーと言われる方々が休まざるを得ない。
保育所で抗原定性検査を実施する準備をしている。医療機関に検査キットを渡したい」と答えました。
1.医療機関や介護や障がい者などの福祉施設、保育所及び学校等の機能維持に急務とされるPCR等検査キットの確保と重点的な供給とともに、大規模無料検査の実施を国に求めること
2.高齢者や障がい者は、重症化リスクが高いとされていることから、医療機関の無床診療所(クリニック)や介護・障がい者の通所施設の職員および利用者が感染した場合、従前のように疫学調査を行い、必要な手立てを講じること
3.「感染の可能性」がある市民が混乱なしに、事業主に健康観察のための休暇取得の申し出ができるよう、「感染の可能性」があることを市民が、保健所に「届出」「登録」ができるシステムを整えること。
また、市内各事業所に対し、従業員から、「感染の可能性」や休暇取得などの申し出があった場合に、感染拡大防止を最優先した対応がとられるよう、周知徹底を図ること
4.市は「感染の可能性」がある市民の求めに応じて、「休業補償」を適用できるように国や道に要請し協議すること
今年の冬は石狩地域に雪が多く降っています。札幌では1月12日に湿った雪がドンと降って以降、断続的に降雪があり大雪となっています。
1月下旬までの札幌の累計降雪量は平年並みですが、積雪深は90cm余りで、平年の50cmを大幅に上回っています。
このため、除排雪が追いつかず、灯油の配達や宅配業者の配達が遅れ、ゴミ収集作業も夜中までかかるといった有様です。JRやバスの運休や遅延のみならず、
消防車や救急車の到着遅れといった、市民の命を脅かしかねない事態にもなっています。
こうした状況に、日本共産党札幌市議団は1月21日以下の5項目に渡る緊急要請を、秋元札幌市長に行いました。
対応した吉岡亨副市長は「しっかり確認したい」と答えました。
1.救急搬送やゴミ収集、医療や介護の送迎などへの影響や、一人暮らしの高齢者、難病患者、障害者など交通弱者世帯の移動困難事例を緊急調査し、対応を検討すること
2.生活道路とバスレーンの除排雪と、通学路における交差点の雪山排雪を緊急に強化し、安全確保を図ること
3.臨時職員及び補助員など除雪従事者の緊急採用や、国や道と連携し除雪機材の相互融通や不足しているダンプの確保をおこない除排雪体制の強化をはかること
4.創設される「豪雪地帯安全確保緊急対策交付金」の活用では、市民負担を伴わない形で積極活用を図ること
5.雪害に対応した十分な除排雪予算の確保を国に要請するとともに、豪雪地帯対策措置法の法改正による特例措置の延長とあわせて、生活道路の除雪事業への予算措置の創設を国・国土交通省に求めること
2車線の幹線道路も雪山で1車線に
第4回定例市議会(2021年)
第4回定例市議議会は11月26日から12月9日まで開催されました。
最終日の12月9日には、日本共産党を代表して田中啓介市議(西区選出)が討論に立ち、 マイナンバーカードセンター運営費を含む補正予算と、借り上げ市営住宅77戸を廃止する条例案に反対するとともに、他の14件の案件に賛成しました。
代表討論を行う田中市議
マイナンバーカードセンターに反対
補正予算には、商業者グループデジタル販促応援費として、22億円余りが計上されました。
5億円余りの予算を組んで行った前回の事業では、7割の事業グループが採択されなかったことから、共産党市議団は予算の拡充を求めていたものです。
田中市議は「必要とする事業者に行き渡る取り組み」を求めました。
しかしながら補正予算には、マイナンバーカードセンター運営費2億3千万円余りが含まれており、
個人情報を一元管理して国家が国民を監視し、情報漏えいの危険と常に隣り合わせの制度であるマイナンバーの普及促進を図るセンターを次年度も継続することは容認できないとして、
補正予算に反対しました。
市営住宅、総戸数を増やすことこそ必要
「カーブル南麻生」など借り上げ市営住宅3団地、合わせて77戸を、用途廃止する条例案に反対しました。
3団地はいずれも、JR・地下鉄駅に近くエレベーターが設置されており、募集停止するまでの応募倍率は100〜200倍で推移していました。
市営住宅の応募倍率は依然高いにもかかわらず、市は2022年度から2024年度に契約期間満了を迎える借り上げ市営住宅9団地368戸の募集を停止しています。
田中市議は「低所得世帯や高齢者世帯など市営住宅を必要とする市民は、今後ますます増えると考えられ、市営住宅の総戸数を増やすことこそ求めら、削減することは認められない」と主張しました。
12月3日には、日本共産党を代表して佐藤綾市議(白石区選出)が代表質問に立ち、 市長の政治姿勢、コロナ感染症対応、都心再開発、子育て政策、教育政策など、45分に渡って質問しました。
代表質問を行う佐藤市議
岸田政権の憲法論議について市長の考えは
佐藤市議は「岸田首相が改憲発議のために国会の論議を進めていくとのべ、総選挙で議席を伸ばした維新が憲法改正を早期に求める発言をくり返しているが、国民が憲法改正を認めたと考えるのか」と問いました。
秋元市長は「憲法改正は、国民の理解を得ることが欠かせないものであり、必要性や内容については、慎重かつ十分な国民的論議がなされるべきものと考えている」と答えました。
本市の感染症対策にどのような課題があったのか、
今後の対応は
佐藤市議は新型コロナ感染症について今後の感染拡大に備えるため、本市の感染症対策にどのような課題があったのか、また今後どう対応するつもりか」と問いました。
秋元市長は「新たな変異株が発生することで感染が急速に拡大するリスクを抱えていることから、それにどう対応するかが課題と認識。これまで、北海道や札幌市医師会、各医療機関などと連携しながら全庁体制で取り組んできた。
引き続き北海道や関係機関と連携して適切に対処していく」と答え、具体的にどのような課題があったかについては答えませんでした。
「福祉灯油」の実施求める
佐藤市議は、新自由主義のもとで、原油の需給調整機能が失われ、価格が高騰し家計を直撃しているとして、貧困者、低所得者層に灯油代等を助成する「福祉灯油」の実施を求めました。
秋元市長は「福祉灯油は多額の経費を要する一方、暖房費のごく一部を補填するに留まり、効果は限定的である。」とし、国が住民税非課税世帯に現金給付策を打ち出したことで補えるとの立場を表明しました。
札幌ドーム周辺 スポーツ交流拠点構想見直すべき
市のマスタープランでは札幌ドーム周辺は、札幌ドームとの相乗効果を期待し、多様な施設を建設し、多様なイベントが開催できる拠点とする計画(高次機能交流拠点およびスポーツ交流拠点(案))となっています。
しかし、2023年に日本ハムファイターズが北広島へ移転することとなり、札幌ドームの相乗効果はかなり薄まらざるをえません。佐藤市議はこれに加えて、交流拠点構想では国道36号線が混雑を増すこと、
札幌ドーム周辺は風致地区、鳥獣保護区で、数多くの貴重な動植物が生息していることから、建物を建てる事自体が緑を破壊することになるとして、交流拠点構想を見直すべきと求めました。
秋元市長は「札幌ドーム周辺はドームを核としたスポーツ文化や集客交流産業の振興にかかわる拠点として位置付けられており、日本ハムファイターズの存在を前提にしたものでない」として、見直す考えはないとしました。
更新が一時期に集中しないような再開発を
札幌市は1972年の冬季オリンピック時に集中して都市基盤を整備したので、今一斉に更新時期を迎え、耐用年数を過ぎた水道管の交換もできずにいます。
しかしながら市は、2030年冬季オリンピック・パラリンピックの招致をめざし、それに合わせて駅前を中心とした再開発が相次いで行われています。
佐藤市議は、これでは都市基盤の更新が50年、100年ごとにくり返される事になるとして、「更新が一時期に集中しないような再開発を進めるべきでは」と問いました。
市側からは、「建物の長寿命化や維持管理費の平準化も考慮された良質な開発を誘導することで、将来に渡って持続可能な都心を実現していきたい」との回答でした。
財政投資が将来世代に重くのしかかるのでは
佐藤市議は、「市は人口減少、高齢化のもとで、都心部のまちづくりにより、市外、道外の需要を取り込むことにより市内経済の活性化を図る」としているが、行き先は不透明と指摘。
「むしろ、莫大な財政投資が将来世代に重くのしかかるのでは」と問いました。
市側からは、「札幌駅周辺の再開発や都心アクセス道路は、都市の強靭化などに資するもので、将来を見据えた投資として必要。
将来世代への負担も見極めた上で、市債や基金の適切な管理等を行い、バランスを取りながら必要な投資を進めていく」との回答で、既定通りの開発を進めていく姿勢を示しました。
都心部の再開発について、市民が議論できる仕組みを
佐藤市議は、「都心部の再開発についての審議は、その地域の地権者等や一部の周辺住民、また公募で選ばれた数人の市民が参加する都市計画審議会などに限られている」として、
「札幌市の顔でもある都心のまちづくりには、多くの市民が主体性を持って、議論できる仕組みが必要でないか」と問いました。
市側は、「都心まちづくり計画の策定時に、策定協議会における議論や地域との意見交換を重ね素案をまとめた。パブリックコメントも実施し、市民の意見を伺ってきた」と答え、
「今後も取り組みの内容や段階に応じて、市民が関与する機会を設けていきたい」としました。
義務教育学校設置は住民参加で
札幌市は学校統廃合と合わせ、小中一貫校の設置も積極的に進める考えです。すでに南区の真駒内では桜山小と真駒内中を合併させる「義務教育学校」の計画が進行しています。
佐藤市議は「義務教育学校が制定された時の付帯決議には『設置に当たっては、検討段階から保護者や地域住民等に対して丁寧な説明を行い、その意見を適切に反映し、幅広く理解と協力を得て合意形成に努めること』と書かれている。
安易な統廃合は子育て世代の流出、地域の衰退につながりかねず、将来を見据えて住民参加で行うべきと考える」として、市の考えをただしました。
教育長からは、「義務教育学校の設置については、今後についても寄せられた意見も踏まえ、地域の保護者の想いに寄りそいながら、よりよい学校づくりに取り組んでいく」との答弁がありました。
義務教育学校と小中一貫校: 小中一貫校では校長も教職員組織も小、中で別々ですが、2015年に制度化された義務教育学校では校長が1人、教職員組織も一つで、一体化をより強化した学校となっています。 修業年限はどちらも9年です。
日本共産党札幌市議団は11月22日、「福祉灯油」制度など暖房用燃油費への助成を求める緊急要望を秋元克広市長に提出しました。
札幌市消費生活課の調査では、灯油の多量配達価格(平均)は1年前よりも40円近くも値上がりしています。一方、金子恭之総務大臣は、地方自治体が生活困窮者に灯油購入費などを助成する場合に、
財政支援策を設けると表明しています。具体的には特別交付税措置が見込まれています。
対応した町田隆敏副市長は、「政府の経済対策には18歳以下を対象とすることや、住民税非課税世帯への給付金が盛り込まれている」と指摘し、
「冬を越すための家計に組み込まれる」として、市として「福祉灯油」の実施は考えていないと拒みました。
村上市議は、「給付金はコロナ危機の家計への補填に使われ、暖房に回る余力はない」と強調。
小形市議は「寒冷地という考え方をしてほしい。国に上乗せする市独自の制度を」と実施を迫りました。
日本共産党札幌市議団は15日、「2022年度予算に関する要望書」を秋元克広市長に提出しました。
要望は、昨年より9項目多い130項目。ヨーロッパでの再拡大で予断を許さないコロナ感染対策、打撃を受けた市民生活や営業の立て直しに求められる施策とともに、
気候変動対策、ジェンダー平等などの新たな課題に対する取り組みも求めています。
第3回定例市議会(2021年)
第3回定例市議会(決算議会)は、9月17日から10月28日までの日程で開催されました。
2020年度の一般会計は、地方交付税が見込みより上回ったこと、新型コロナ感染拡大による外出自粛に伴う
福祉サービスの利用抑制、経済縮小による中小企業金融対策資金の利用が想定を下回ったことなどにより、118億円の黒字となりました。
このうち60億円が財政調整基金に積み立てられました。財政調整基金は当初コロナ対応などに102億円を取り崩す予定でしたが、逆に前年度から23%増の
319億円に増えました。
財政調整基金は、災害等非常時のために積み立てられているもの。100億円程度は残すとしても、コロナ禍で多くの市民が困難に直面しているこんな時こそ活用すべきです。
10月28日の本会議では、代表討論に千葉なお子市議が立ち、 2020年度の各会計歳入歳出決算、札幌市軌道整備事業会計決算に反対するとともに、残りの5件について賛成しました。
代表討論を行う千葉市議
冒頭、千葉市議は、「歳入増、歳出減で黒字となった一般会計と、財政調整基金を活用し、 運営が厳しい介護事業所や民間病院への減収補填、時短協力を余儀なくされた飲食店等への家賃支援給付など、 本市独自の支援策を行うべきであった」と指摘しました。
令和2年度各会計決算に反対する理由として千葉市議は、第1に都心アクセス道路建設調査費や、
都心再開発事業の補助金が含まれていることをあげました。
都心アクセス道路については、1月の都市計画審議会で、委員の3割が計画に不同意を表明したと指摘。
「整備の必要性に乏しく、市民の理解もない巨額の計画に血税が投入されるなら、くらしや福祉を支える予算を圧迫する」と指摘しました。
第2に、マイナンバー制度にかかわる経費として、戸籍、住民基本台帳、国保、介護保険などのシステム改修費等(15億円余り)が含まれていることをあげました。
マイナンバカードを様々な分野に拡大することは、個人情報の集中による国民監視と社会保障費の抑制が狙いであり、効率化を口実に、窓口が廃止、縮小される懸念もあると指摘。
さらに、個人情報の漏えいと悪用の可能性が否定できず、セキュリティ強化のため、今後も際限なく税金を投入することになると指摘しました。
続いて、千葉市議は、小中学校の統廃合推進費が含まれていることをあげました。
市は、学校統廃合の必要性を、「人間関係の固定化、クラス替えが困難、切磋琢磨する機会の減少」などとし、その科学的根拠が不十分なまま、
統廃合を機械的・画一的に進めていることは問題であると指摘。
さらに、市は本年4月に、学校規模の適正化に加え、まちづくりセンター・地区会館・児童会館などの再構築を一体的に進めるとしたが、
住民への情報提供や説明の手法は、この間進めてきた学校統廃合と変わらず、地域合意の軽視が懸念されると指摘しました。
千葉市議は、借り上げ市営住宅101戸を期間満了に伴い廃止したことは、市営住宅への入居希望が高いなかで、入居を一層困難にすると指摘しました。 さらに、国保、介護、後期高齢者医療の各会計や保養センター駒岡などで、利用料や保険料等の値上げにより、市民負担が増えた点も指摘しました。
軌道整備事業会計については、路面電車の運転業務を交通事業振興公社に委託する上下分離を行ったとして反対しました。
千葉市議は「上下分離により、乗車料金設定や乗務員の雇用、安全運行などに直接関わらなくなることで、本市の責任を遠ざけた。
10月11日に起きた、赤信号見落としによる接触事故は、我が党が課題であると指摘した、技術の継承にも関連した事案であり、本市の責任は免れない」と指摘。
「上下分離後も、安全運行のための徹底した指導を行うとともに、交通事業振興公社と一体になって、事故防止を図ること」を強く求めました。
10月5日には本会議が開催され、補正予算等の採決が行われました。
日本共産党を代表して池田ゆみ市議が討論に立ち、補正予算、札幌市税条例の改訂、個人情報保護条例の改訂に反対し、他の8件に賛成しました。
代表討論を行う池田市議
池田市議は「補正予算のうち、医療供給体制の強化や感染拡大の防止、事業の継続と雇用の維持などは必要。
特に児童育成会運営費補助金(3千万円)は、衛生管理や会計事務などの補助として、学童保育連絡協議会からの強い要望に応えたもので必要」としました。
しかし、自立支援事務費(3千8百万円)は、障がい支援認定区分の認定調査を、外部委託するものであるとして反対しました。
これまで3年に一度の認定調査は市職員が行い、障がい者本人のみならず家族状況や居住状況の変化をも把握し、きめ細かな支援につなげるとともに、市職員にとっても福祉の経験の蓄積や専門性を構築する機会となってきました。
池田市議はこれらの点を指摘し、「本人状況を把握するという、重要な業務は、人員を増やしてでも本市職員が行うようにすべきであり、外部委託は認めることができない」として反対しました。
札幌市税条例の一部改訂は、適用期限が2022年1月となっている法人市民税法人税割の超過課税率の適用期間を5年間延長するものです。
この超過課税は、資本金1億円を超える法人、または、法人税額が1千万円を超える黒字の法人に適用されるもので、国は制限税率を8.4%としています。札幌市はそれより0.2ポイント低い8.2%と設定しているため、
今後5年間の税収見込みは約131億円にとどまりますが、8.4%とした場合、143億円となります。
池田市議は「本市の財政状況が厳しいのであれば、コロナ禍でも黒字となっている企業に対し、制限税率まで引き上げて税収増を図るべきである」として、据え置きに反対しました。
また、札幌市個人情報保護条例の改訂は、「デジタル関連法」の公布に伴う個人情報保護法の改訂に伴うもので、
プライバシー侵害につながる恐れがあるとして反対しました。
9月28日には、日本共産党を代表して村上仁市議(厚別区選出)が代表質問に立ち、新型コロナ対策、行政のデジタル化、
冬季オリンピック・パラリンピック招致、第2次まちづくり戦略ビジョン、中小企業振興、新幹残土問題など、60分に渡って質問しました。
代表質問を行う村上市議
感染対策、検査キットの配布を
村上市議は、ワクチン接種は12歳からであるため、子どもからの感染を防ぐには、感染対策を強化・徹底する以外にないと指摘。
「ワクチン接種をできない子どもたちと、保育所・学校など子どもに接する職員へのPCR検査を、本人が希望すればいつでも受けられるようにすべき」と求めました。
町田隆敏副市長は、保育所や小中学校で陽性者が発生した場合には、濃厚接触者に限定せず、検査対象を拡大してスクリーニング的なPCR検査を実施することにしている」と答えました。
村上市議は再質問で、「新規感染者が減少している今がコロナ終息に向けた正念場。保育所や学校に検査キットを配布し、感染がわかってからでなく、疑いのある段階で陽性者を把握し、感染を止めるべき」と求めました。
行政のデジタル化で、自治体への介入
行政のデジタル化で、平井卓也デジタル大臣は「自治体が定める条例は情報の連携に制限をかけたり、審議会の諮問を経る規定があるなど、情報の民間活用の妨げになる」として、
「個人情報保護条例はいったんリセットしてもらう」と国会で答弁しました。
村上市議は、「自治体の条例に国が縛りをかけることは、地方自治への介入であり、許されないと考えるが」と市長の見解を問いました。
秋元市長は「自治体の個人情報保護制度は個人情報保護法により、民間分野と国等の行政機関を含め一律で規定されることとなったと承知。地方自治への介入とは考えていない」と答えました。
情報、プライバシー保護対策を
村上市議は、「すでにデジタル化は社会生活に浸透し、あらゆる場面で個人情報が残されている。
自治体として、市民の情報やプライバシーを保護するための対策を打つ必要がある。個人情報、プロファイリングについても自己決定権を尊重した取扱がされるよう、
不適切な運用をチェックする専門部署の設置や専門職員の配置を考えるべきでは」と問いました。
市長は「プロファイリングと個人情報保護の問題は、国の個人情報保護委員会に置いて対応することとされていることから、現時点でこれをチェックするための専門職員の配置などは考えていない」と答えました。
冬季オリ・パラ市民の意見を把握すべき
村上市議は、「冬季オリ・パラ招致への意向調査は、今年度300万円の予算が組まれているが、この調査は招致の賛否を問う住民投票や市民アンケートといった市民の意見を把握する調査とすべき。
なぜなら、オリンピックは圧倒的な市民の賛同と協力なくして成功させることはできない。その裏付けとなる市民の意思も客観的なものでなければならないから」と主張。
「その調査結果がまとまるまではオリンピック委員会などとの協議は見合わせるべき。市民の圧倒的賛成がなければ、招致計画の白紙撤回も含めて検討すべき」と求め、市長の認識を問いました。
市長は意向調査の方法については答えず「大会の招致を進めていくためには市民、道民、国民の支持が重要であることから、今後、再開する市民対話はもとより、広く様々な機会を通じて丁寧に説明していく」とのみ答えました。
まちづくり、市民との対話、合意を
まちづくり戦略ビジョンは、札幌市のまちづくり計画における最上位の基本指針です。市は1年前倒しで(仮称)第2次まちづくり戦略ビジョン(2023〜2032)の策定に着手しました。
村上市議は、次期戦略ビジョン策定に当たり、「市民との対話について市長はどのように考え、どう実践しようと考えているか」と問いました。
村上市議は、現行の戦略ビジョンでは、「市民が主役のまちづくり」が基本姿勢の一つとなっているが、住民との十分な合意がないまま、
手稲山口地区を新幹線の要対策土の受入地とし、住民から強い反対の声が寄せられている」と指摘。
「一方的な説明でなく、合意するまで丁寧に時間をかけることは重要なことと考えるが」と市長の姿勢を問いました。
市長は「戦略ビジョンの策定に当たっては、市民が主役のまちづくりという考えのもと、市民から様々な意見を頂く機会を設け、共に作り上げ、共有していく考え。
今後も市民・行政双方のまちづくりに関する考えを共有し、策定にいかしていく」と答えました。
気候変動対策、CO2削減対策は
まちづくり戦略ビジョンに関連して、村上市議は市の気候変動対策についても問いました。村上市議は、「破局的な気候変動の回避は、
10年足らずの間に、世界のCO2排出量を半分近くまで削減できるかどうかにかかっている」と指摘。
「札幌市は、CO2排出量を2030年までに1990年比で43%削減し、2050年には実質0にすることを目標としているが、これを実現するために次期戦略ビジョンではどう位置付けられているか」と問いました。
市長は、「2050年の脱炭素社会の実現に向け、さらなる省エネや再生可能エネルギーの導入拡大などを加速させることが重要と認識している。次期戦略ビジョンではこれに資する取り組みをしっかりと位置付けていく」と答えました。
日本共産党市議団は、生活保護は国民の権利であることを周知するよう、幾度となく市議会で取りあげてきました。
池田ゆみ市議は昨年10月の決算特別委員会で、「多くの市民が目にする地下鉄コンコースや地下鉄車両内にポスターを貼るなど、積極的に周知すべき」と求めました。
このたび市保健福祉局保護自立支援課がポスターを作成し、各区民センター、市税事務所、水道センターに張り出しました。
日本の生活保護の補足率(生活保護基準を下回る経済状況にある世帯が、実際に生活保護を受給している割合)は20%程度で、80%を超えているヨーロッパ諸国と比べ低い水準にあります。
日本共産党市議団は引き続き、生活保護を必要とする方が速やかに保護を受けられるよう、制度の周知や申請の支援に尽くしていきます。
新型コロナのワクチン供給の減少で、市民は接種先延ばし、医療機関はキャンセル対応に追われています。
混乱の責任は国にあり、国の意向に沿ってワクチン接種を促進させてきた自治体は「はしごを外された」状態です。
しかし、それ以上に深刻なのは数千件ものキャンセル業務をしいられることになった医療機関です。
こうした事態に、日本共産党市議団は7月30日、秋元市長に対し、以下の5項目に渡る緊急要請を行いました。
1)キャンセル業務にともなう医療機関の減収分等の補填措置を、国と市が協議して行うこと。
2)今後の接種計画や見通しと合わせ、混乱を生じた経過と原因を、マスコミ等を通じ説明すること。
3)2回目接種に必要なワクチンを医療機関の希望に応じて供給すること。
4)個別接種に取り組む医師会や医療機関の理解や十分な協議を行うなど、連携を強化すること。
5)市として、オリンピック競技の中止・延期を求めること。
第2回定例市議会(2021年)
5月に入って新型コロナ感染者が急増し、開会が延期されていた第2回定例市議会は、予定より1ヶ月遅れて6月21日から7月8日までの日程で開催されました。
7月2日には日本共産党を代表して千葉なおこ市議(南区選出)が代表質問に立ちました。
冒頭、千葉市議は、新型コロナで亡くなられた方々に哀悼の意を表し、遺族の皆さんにお悔やみを述べるとともに、感染症の最前線で奮闘されている医療従事者の方々をはじめ、
社会を支える業務に従事している全ての方々に敬意を表し、
市長の政治姿勢、東京オリンピック・パラリンピックの開催、新型コロナ対策、介護事業所や中小事業者の支援、行政サービスのデジタル化、
学校規模適正化などについて問いました。
代表質問を行う千葉市議
新型コロナ拡大、政府の失策では
千葉市議は、「新型コロナの抑止に成功した国がある中で、日本は感染拡大の波をくり返してきた。検査を軽視し、感染者の隔離・保護を行ってこなかった政府の方針は誤りでなかったか。
また、11月、5月からの感染拡大はGoToトラベルやマラソンテストが要因になったのでは」と問いました。
秋元市長は、「我が国では積極的検査体制の確保に努めつつ、経済や市民生活に大きな影響を与えるロックダウンというような対策でなく、人と人の接触を減らす行動の自粛を促してきた。
こうしたことを継続していくことが必要」と市民の自粛にたよる姿勢を示しました。
また、第4派の原因については、年度末やゴールデンウイークで人の流れが多くなったこと、α株が広がったことによるもので、特定のイベントによるものではないとしました。
オリンピック開催の賛否、政府に伝えたことあるか
千葉市議は、共同通信の世論調査で、オリンピック開催で感染拡大の「不安」を感ずるとする回答が86%にのぼり、実際に来日したウガンダ選手団から2人の感染が確認されと指摘。
わが会派は、オリンピックは実施すべきでないと市長へ要請してきたが、市長はこれまで、開催の是非及び賛否について、政府に伝えたことがあるのかと問いました。
さらに、デルタ株の急速な拡散による医療崩壊の危機が予測され、
厚生労働省のアドバイザリーボードが、宣言解除後の人流増加が10%増程度に抑えられたと仮定しても、7月から8月にかけて、緊急事態宣言の再発令が必要との見解が示される中で、オリンピックを迎えることについて市長の認識を問いました。
市長は、「これまで知事と連名で組織委員会に、コロナ禍での大会の意義や感染対策を国民に十分説明した上で開催するよう求めてきた。
組織委員会では観客数の上限を定めたほか、札幌ではパブリックビューイングを全て中止するなど様々な対策を実施している。
感染状況によっては無観客を含めた厳格な観客規制についても検討すべきと考えている」と開催を前提とした答弁に終始しました。
はたして市民の不安が組織委員会に伝わっているのか、大会の意義について市長は十分説明されていると考えているのか。市民の声は後まわしで、組織委員会の言うがままに進められているのではないでしょうか。
小中学生の応援、強制すべきでない
「さっぽろオリ・パラウイーク」の取り組みについて千葉市議は、「市教育委員会は小中学生に競技関係者や医療関係者への激励メッセージを書いたうちわを作成させ、
各自が応援などで使用するよう学校に呼かけているが、本来、スポーツ観戦や応援は指示されて行うものでなく、子どもたちの気持ちが尊重されるべきでないか」と問いました。
市長は、「様々な分野で頑張る人を応援したいという子どもたちの気持ちに寄りそって、進めていくことが大切と認識している」と答えました。
オリンピック、通常医療に困難もたらすのでは
千葉市議は、札幌でのオリンピック競技開催に、延べ1,000人、1日にして120人規模の消防職員・消防団員を派遣し、サッカーと競歩会場にはそれぞれ3台、マラソン会場には4台の救急車を配置するとされているが、
医療関係者からは「命の選別をさせないで欲しい」との訴えが寄せられていると述べ、「このまま競技を行えば、コロナに向き合う医療現場にさらに負担をかけ、
ワクチン接種や通常の医療にも困難をもたらすと考えるが」と、市長の考えを問いました。
市長は、「大会時の医療・検査体制の構築にあたっては、市の医療に影響を与えないこと、感染症対策全般について、市民・道民に対し具体的に説明することなどについて、知事と連名で要請した」とするのみで、
市長としての判断や、市としてどのように対応するか具体的な答弁はありませんでした。
各区にワクチン接種会場を、移動支援も
新型コロナは7月下旬には、感染者の7割が感染力の強いデルタ株に置き換わるといわれており、第5波到来に備えワクチン接種が急がれます。
千葉市議は、市民が帰宅時に接種できるなどの工夫をし、各区に接種会場を設置すること、コンベンションセンター以外の集団接種会場にも無料のシャトルバスなどの移動支援を行うことを求めました。
また、外出が困難な高齢者施設やサービス付き高齢者向け住宅に入居している方に、市は医師と看護師によるチームで巡回接種をスタートさせましたが、巡回接種の必要性と今後の接種体制について問いました。
市長は、「7月17日から4か所目の会場として、つどーむを開設する予定。つどーむについても、最寄り駅からの移動手段を確保することを検討している。より地域に密着した会場についても検討したい」と答えました。
巡回接種については、「高齢者施設については目途が付いた。障がい者入所施設についても現行の体制を継続していきたい」としました。
札幌の高い死亡率は
一般的なコロナ感染者の死亡率は2%以下と言われますが、札幌市は6月24日時点で3%と高くなりました。異常事態だと報じられた大阪府でも2.5%、東京では1.2%程度でした。
千葉市議は、札幌でこのような高い死亡率になった理由と分析について明らかにするよう求めました。また、感染力の強いデルタ株が急速に拡大しているが、今後どのように対応していくか問いました。
市側からは、「札幌は東京などと比べ、感染者のうちで高齢者の比率が高く、亡くなられた方のうち、70代以上が9割を占めている。高齢者は重症化するリスクが高く、多くは基礎疾患を抱えていることから、札幌で死亡率が高くなった一因となったと考えられる」としました。
今後の感染対策としては、「高齢者のワクチン接種を促進するとともに、高齢者施設における感染拡大防止対策に取り組んでいきたい」としました。
保健所の複数化は考えていない
全国の保健所は1992年の852カ所をピークに、2020年4月には469カ所と、半分近くに減少し、札幌市でも、各区にあった保健所が1か所になりました。
千葉市議は「今後も発生が予想される災害・新たなウイルス感染などに備え、197万人の本市に保健所が1か所しかないという事態を改善し、保健所の複数化などの検討を開始すべきだと思うが」と、見解を問いました。
市側は、「専門的・技術的な拠点として情報の集中管理を行うとともに、保健・医療・福祉の連携強化を図り効率的な対応が可能となるといったメリットがあることから、
保健所を複数化することは考えていない。非常事態においては機動的な体制を構築し適正かつ柔軟に対応していく」としました。
介護事業所の減収補填を
介護事業所は介護報酬が低く抑え込まれ、採算ぎりぎりの経営を強いられてきました。そこに、コロナ禍による利用控えなどが加わり、存続の危機といえる状況です。
また、クラスターが発生した特養施設では、感染症廃棄物処理や、PCR自費検査などの費用増により、国の補助金を加えても、なお、赤字となっています。
千葉市議は、コロナ対応の支出により、経営困難は加速しているにも関わらず、介護事業所の減収に対する補填は、いまだに行われていないと指摘。「公費による事業所の減収補填なくして、コロナ禍による経営困難を打開する方法はないと思うが」と市の考えを問いました。
市側からは、「事業所の減収については、介護報酬上の増額改定等により、対応いただくものと認識。公費によるさらなる拡充については国において措置すべきものと考える」との答弁に留まりました。
システム標準化 市独自の施策に影響は
菅政権が進めるデジタル改革関連法が5月に成立しました。このうち「地方公共団体情報システム標準化に関する法律」では、税や医療・福祉・子育て支援など市民生活に密接にかかわる17業務を全国一律に標準化・共通化するとしています。
千葉市議は、全国一律化に移行するに当たって、市が独自で実施している税や国保料等の減免や子どもの医療費無料化、給付型奨学金などへの影響について問いました。
市側からは、「自治体の情報システムについては、標準化基準に適合するものでなければならないが、これは事務処理を行う手段の標準化であり、市が独自に実施する施策に影響を及ぼすものではないと認識している」との回答がありました。
個人情報(匿名加工情報)の民間活用
プライバシー侵害では
2017年に、特定の個人と見分けられないように加工した市民の情報を企業に提供できる「非識別加工情報」制度が発足し、自治体によっては市民情報を企業に提供してきました。
これまで、非識別加工情報制度の実施は自治体の任意とされてきましたがデジタル改革関連法により、これが義務化されます。
千葉市議は、「『非識別加工情報』であっても、本人の知らぬ間に、行政から民間へデータを提供することは、プライバシー権を侵害しかねない問題」と指摘。現在、市の条例で守られている個人情報が守られなくなる危険性を指摘。
「非識別加工情報を含む個人情報の保護をどのように考えているか」と問いました。
市側からは、「現在、条例で規定している地方自治体の個人情報保護制度も、法律で一律に規定されることとなった。非識別加工情報は匿名加工情報に名称が変わり、民間に向けた利活用の提案募集を行うことが義務化された。
改正法は令和5年5月までに施行されるが、今後、国から示される政令やガイドライン等を踏まえ、個人情報が適切に保護されるよう務めていきたい」との回答がありました。
時の政府がデジタル関連法をどのように運用するか、プライバシー保護も政府の意のままと言えます。
コロナ対策としても 小中学校の統廃合見直しを
千葉市議は、「コロナの第4派では、学校での感染が拡大した。35人学級でも感染対策に必要とされる2mの間隔を取ることは不可能。40人学級ではなおさら。
一方、2019年から2021年春までに南区と厚別区で小学校8校が統廃合され、学校は大規模化し、1学級20数人ほどだったものが40人近くになるといった事例も見受けられる」と指摘。
また、「昨年、コロナ感染対策のため、1クラスを半分にした分散登校が行われたが、これにより、少人数学級の良さが見直され、「統廃合をすべきでなかった」という声も出ている。
さらに先の国会では、40年ぶりに学級編成の基準が改正され35人学級法が成立した」と指摘。
「札幌市は2018年に「小中学校の学校規模の適正化に関する基本方針」を改正し、急ピッチで統廃合を進めようとしているが、こうした方針を見直すべきでは」と市の考えを問いました。
市側は「各学校において、国のマニュアルに従って、最低1mの間隔を取るよう座席の工夫をしている。
学級編成の基準の引き下げは、きめ細かな指導体制を整備するために実施されたものと認識。これらの趣旨や社会情勢の変化を踏まえつつ、学校規模の適正化に努めていきたい」と、統廃合を進める姿勢を示しました。
中小・個人事業者へ市独自で固定費補助を
新型コロナの感染拡大と緊急事態宣言、まん延防止等重点措置に伴う長期間の活動自粛と制約は、ほぼ全ての中小企業と個人事業主等に及び、市内経済に大きな影響を与えています。
千葉市議は売上が無くても支払いが発生する家賃・水道料などの固定費負担に耐えられず事業者の危機的状況が続いているが、国の家賃支援給付金等はすでに給付事業が終了しているとして、
「事業者負担軽減のため、本市独自に固定費への何らかの補助を早急に検討すべきでは」と問いました。
市側は「固定費の補助については、国の役割により実施すべきもの」として、国任せの対応を示しました。
二重債務問題への支援を
今、多くの事業者は、金融機関からコロナ関連の融資を受けていますが、これは売り上げの減少による営業損失の穴埋めに使われています。
コロナが収束して仕事が動き始めると、仕入れや運転資金が必要になりますが、コロナの債務が残り、金融機関が簡単には融資に応じてくれない可能性があります。
千葉市議は「コロナ債務と新たな債務との二重債務問題の解決は、コロナ後の本市経済を立て直す上でも避けて通れない課題である」として、
二重債務問題に対する市の見解を問いました。
市側は「地域経済の回復のためにはそうした事業者への支援は重要」と答えました。
札幌では5月24日から、75歳以上の高齢者に対する新型コロナワクチンの接種が始まりましたが、予約の「電話がつながらない」あるいは、「予約ができるか不安」との声が寄せられています。
こうした声を受け、日本共産党市議団は5月26日、秋元市長に対し、新型コロナワクチン接種に係わる緊急要請を行いました。
要請では、
○各区に集団接種会場を設けること、
○接種対象者の会場までの移動支援をおこなうこと、
○高齢者施設の入居者と職員への出張接種を実施すること、
○今後のワクチン接種の見通し、接種方法のわかりやすい解説と案内などを、一般新聞などを使い、早急に市民に周知すること、−−を求めました。
対応した町田副市長は、各区に接種会場を設けることについては、医師の確保が困難だとし、「現状では不可能」と答えましたが、6月中旬に大規模接種会場を設置するとし、白石コンベンションセンター内に新たな集団接種会場が設けられることになりました。
ネットでの予約が短時間で締め切られ、電話での予約もつながりにくいとの指摘には、接種の予約で混乱を招いたことを教訓に、接種方法等の変更を検討しているとし、高齢者施設への出張接種については「工夫しなければいけないとの認識はある」と回答しました。
札幌市は5月21日、感染拡大が顕著な高齢者施設について、職員の検査(抗原定性検査)を全額公費で実施するとしました。これまで特定老人ホームなど入所型高齢者施設、グループホームで行ってきたPCR検査への補助制度を拡大するものです。
検査の回数も、「できる限り週1回、少なくとも2週間に1回程度」としており、PCR検査の月1回程度から大幅に増えます。無症状感染者の早期発見、クラスター発生の防止が期待されます。
対象施設の職員数は約1万4千人で、市は5月24日には検査キットを届けるとしました。全額公費で行われ施設や本人の負担はありません。
介護事業者や市民団体から強く求められ、市議団も4月28日の市長要請をはじめ、繰り返し求めてきたものです。
新型コロナの感染が広がる中、日本共産党市議団は4月28日、秋元市長に8回目の要請を行いました。要望項目は、
▽医療機関、福祉施設のPCR検査を大幅に拡大し、検査数は2週間に1回に引き上げる。保育園、幼稚園、学校を含める。
▽一般病院も含めた減収補てんの支援金を支給する。
▽中小事業者への家賃支援給付金や水道料減免など独自支援と国に持続化給付金の再実施を求める。
▽東京オリンピックの中止を求め、札幌において競技の開催条件が整わないことを伝えること。 ─など6項自。
対応した町田副市長は、五輪中止は言明せず、「医療現場はコロナ対応に加え、ワクチン接種でも負担をかけることになるので対応を考えたい」と表明。
「変異株は子から子へ感染することもあり、保育園や学校での対策を検討していきたい」と答えました。
第1回定例市議会(2021年)
第1回定例市議会(予算議会)は2月17日から3月30日までの日程で開催されました。
代表討論を行う太田市議
3月30日の本会議代表討論には太田秀子市議(東区選出)が立ち、 一般会計、国保、後期高齢者医療、介護保険、下水道の各会計予算と職員定数条例改定に反対するとともに、残余の16案件について賛成しました。 また、日本共産党市議団提出の予算組み替え動議に賛成しました。
大型開発、市民合意のない事業は削減を
一般会計予算に反対する理由として第1に大型開発や市民合意のない事業、不要不急の事業を削減すべきとして以下の7件をあ
げました。
1) 都心アクセス道路関連経費、 2)新幹線札幌延伸関連経費、 3)再開発促進費、 4) 丘珠空港関連経費 5)富裕層受入のためのホテル誘致経費 6)東京2020オリンピック・パラリンピック経費 7)冬季オリンピック・パラリンピック誘致関連経費。
これらの経費約105億5千万円を削減し、新型コロナウイルス感染拡大により打撃を受けている市民、事業者、医療・介護施設への支援、子育て世帯への支援などに回すべきと主張しました。
第2の理由としては、個人の健康や所得の情報がマイナンバーに紐づけられる経費が含まれており、個人情報漏えいのリスクが高まるとともに、情報の扱いが国に一元化されることをあげました。
各保険料の引き下げ求める
国民健康保険会計予算については、高すぎる国民健康保険料が改善されないことを指摘。
本市独自に新年度から、子どもの均等割りを軽減するよう求めました。
後期高齢者医療保険会計については、低所得者に対する保険料軽減特例措置が廃止され、低所得者の保険料負担が増えたことから、反対しました。
介護保険会計については介護給付準備基金を活用し、引き下げることを求めました。また、入所施設での補足給付が「見直し」され、年金収入120万円を超える非課税世帯の高齢者に、新たに月2万2千円もの負担を強いることからも反対しました。
民間委託による職員削減に反対
職員定数を、213人増やし、医療対策室の体制や、児童相談所の体制を強化する点は評価できるものの、創成川水処理センターの委託先の管理・監督業務まで委託する職員の削減には反対しました。
企業利益のための「デジタル化」
国の「デジタル化」推進に対応して、札幌市はデジタル担当局を開設することとしましたが、 これは市民の利便性より経済界の求めに答えたものであること、また、個人のプライバシーの侵害、情報漏えいの危険性も高まるとして、反対しました。
素早い子どもの貧困対策を
全国の子どもの貧困率は13.5%で、子どもの7人に1人は貧困状態にあります。
太田市議は、「周囲が子どもの貧困に気づいた時には、すでに深刻化していることが多く、素早い対応が必要」と指摘。給食費の無償化や就学援助の拡充など、該当する世帯に直接届く給付を幅広く行うための積極的な財政投入を求めました。
コロナ禍のもと、保育現場の改善を
コロナ禍のもとでも、市内の多くの保育施設は、子ども同士1メートル以上の間隔をとることが難しい実態にあります。
太田市議は保育環境について、感染しないだけの距離がとれる保育施設基準や、一人ひとりの子どもに対応できるだけの保育士配置基準の改善を国に対し要望するよう求めました。
また、本年4月の入園にむけ1次申し込みで入れなかった子どもの割合は28.5%と、政令市中最も深刻となっていると指摘。
就学前まで安心して通園できる施設整備の支援と保育士の処遇改善を求めました。
新年度予算は不要不急の都心アクセス道路など新幹線の札幌延伸を見込んだ都心部の大型開発が温存される一方、
新型コロナの感染対策やコロナ危機に直面し苦しんでいる市民への支援策が極めて不十分なものでした。
このため、日本共産党市議団は、議案提案権を生かし、予算の組み替え動議を提出しました。
3月30日の本会議では、組み替え動議の提案説明に小形市議(中央区選出)が立ち、
一般会計予算、国保会計予算、介護保険会計予算について、見直し提案を行いました。
組み替え動議による歳出の見直しは当初予算(1兆1140億円)の1%程度であり、組み替えは十分可能と見込まれました。
残念ながら他会派の賛同が得られず、動議は否決されましたが、
市民の切実な要求にだれが背を向けているかが浮き彫りとなりました。
組み替え動議の提案
説明をする小形市議
池田ゆみ市議は予算特別委員会で、補聴器の購入・調整に対する補助を求めました。
難聴になると、人と人とのコミュニケーションが難しくなり、社会から孤立してしまうケースもあります。
池田市議は「社会参加に影響があるのであれば、行政として対策の検討が必要。難聴の早期発見には専門家による聴覚検査を健康診断メニューとして広げることや、
安心して相談できる体制の整備も必要」と市の考えをただしました。
市の担当部長は、早期の補聴器使用について、「補聴器は高齢者のおのおのが必要とされたタイミングで使用して頂くことが適当」とあくまで個人の判断との答弁に終始しました。
池田市議は豊平区民の要求としても、加齢性難聴の補聴器購入・調整に対する補助を望む声が寄せられていると強調。
国の対応を待つのみでなく、「自治体が独自性を発揮して助成に踏み出すべき」と求めました。
コロナ禍のもと女性の自殺が2020年7月から増加しています。しかしながら市の自殺予防対策予算が減少しています。
この点について市は事業手法を見直し、自殺対策で重要なカギをにぎる民生委員や児童委員、教職員、保健師などゲートキーパーと呼ばれる人材育成を、オンラインで開催することを予定していると説明しました。
池田市議は予算特別委員会で、「自殺に至るプロセスが前提にあると認識しておく必要がある。自殺者が抱える様々な不安に気づくゲートキーパーの役割が重要」と指摘。
専門家の対応や庁内連携による実態把握を行い、自殺防止を強化するよう求めました。
2月25日には日本共産党を代表して池田ゆみ市議が代表質問に立ち、 新型コロナ対策、オリンピック・パラリンピック、新年度予算等について、市長の政治姿勢を問いました。
代表質問を行う池田市議。議員は新型コロナ感染防止のため、半数出席、半数はオンライン視聴に。
新型コロナ対策 罰則より補償を
池田市議は新型コロナに対する特措法等の改定により、営業時間の変更や入院勧告、疫学調査への協力を拒否した場合、罰則が設けられたことについて、
「検査回避の行動が広がりかねない。保健所業務の負担増にもつながる」などの声があがっていると指摘。
「罰則の導入は感染拡大防止の障害になると考えないか」と市長の見解を問いました。
さらに、「時短命令に反した場合は罰則が設けられたものの、支援策はない」と指摘。「市長は罰則と補償、どちらが協力や信頼が得られると考えるか。また、罰則への対応は慎重な姿勢で臨むべきと考えるがどうか」と市長の見解を問いました。
秋元市長は、「命令や過料は一定の効果を持つと認識。入院、調査の意義等について丁寧に説明し十分な理解を得ていくことが重要で、保健所としてしっかり対応していきたい。営業時間等の変更命令に従わない場合の罰則適用は慎重にすべきものと考える」と答えました。
コロナ禍でオフィス需要見込めるか
札幌市は企業のオフィス誘致の予算を組み、都心部の再開発では多くのオフィス建設が進んでいます。
しかし、新型コロナの影響で、在宅勤務が進んだり、感染リスクを減らすためオフィスの分散化がすすむなど、オフィス需要が減ってきています。
池田市議はこうした点を指摘し、オフィス需要に変化が起こっていることに対し「どのような認識を持っているか、また、今後のオフィス需要をどう見込んでいるか」と問いました。
秋元市長は「札幌市においては、堅調なオフィス需要が示されている。また、首都圏企業の賃料縮減や自然災害等の緊急事態のもとでも事業が継続できるよう、
企業の地方分散の動きも出始めていることから、市内のオフィスの不足感は今後も続くものと考える」との考えを示しました。
東京オリ・パラは中止し新型コロナ対策に
東京2020オリンピック・パラリンピック開催について池田市議は、「NHKの世論調査で中止・延期を求める声が8割もある。
札幌でのマラソンには約120人の医療スタッフが必要とされているが、新型コロナ対策も加わってこの何倍もの医療スタッフが必要になる」と指摘。
「現在の医療現場の実態から、多数の医療関係者をオリンピックに振り向けることは現実的でないと思われるが」と市長の考えを問いました。
また、「札幌市の東京オリ・パラ予算は8億円強であるが、『「莫大な予算は少しでも多く医療機関や医療従事者に振り向けよ』という世論をどう受け止めているか」と問いました。
さらに、「観光の落ち込みは札幌でのマラソン開催で持ち直すとの見方もあるが、GoToキャンペーンによる人の移動が感染拡大を招いたこと、また世界の新型コロナの状況を見ると、各国からの来日と滞在は現実的でない」として、
「国に対し今夏のオリ・パラは中止し、あらゆる力を新型コロナ収束に集中するよう求めるべきではないか」と問いました。
秋元市長は、「札幌市内および北海道内の新型コロナ対策に支障の出ることのないよう、組織委員会と協議をすすめていく。引き続き関係機関と協議しながら、市民のみなさんの共感を得られるよう安全安心の大会に向けて取り組んでいく」と、
あくまで東京オリ・パラ推進の姿勢を示しました。
事業者に給付型の支援を
コロナ禍のもとでの個人事業主、中小企業への支援について、池田市議は「地方税の納税を猶予する特例が創設され、多くの事業者に利用されているが、税金の猶予は納付が前提になっている。
さらにコロナ対策は融資枠の拡充が多くを占めており、さらに融資を受けることに躊躇する実態がある」と指摘。「本市のまちづくりを支えている事業者の事業継続そのものを直接支援する給付型の支援制度が必要と思うが」と問いました。
秋元市長は「給付型支援金は持続化給付金や家賃支援給付金などが国により実施されている。引き続き売り上げ減少の補償等に対しての新たな給付型の支援の実施や対象期間の延長などについて国に要望していく」との答弁に留まりました。
国民監視と個人情報漏えいのリスク
デジタル推進担当局新設
新年度予算について、池田市議は初めにデジタル推進担当局の新設を問題としました。
これは菅政権が推し進める「デジタル政府・デジタル社会」の構築を目指すもので、総務局内にデジタル推進担当局を新設し、約100名の会計年度任用職員(臨時職員)を配置する計画です。
デジタル化の推進と市民サービスの向上と称し、市役所業務デジタル化関連事業に約15億円、マイナンバーカード普及促進関連事業に約12億円が盛り込まれ、マイナンバーカードの交付体制を強化します。
池田市議は「『行政サービスの高度化、市民目線によるデジタル改革』と言うが、その内容は個人データの管理を強め、マイナンバー制度によって、社会保障の支出を抑制しようとする国の政策に追随し、所得や資産、さらには医療、教育など、個人の膨大なデータを政府に集中させるもの」と指摘。
「デジタル推進担当局の新設は、国民監視と個人情報の漏洩リスクを高める方向に進むことが懸念される」として市長の認識を問いました。
秋元市長は「個人情報保護や情報セキュリティに最大限留意しながら進める」としたものの、「マイナンバー制度の運用を含め、デジタル技術の活用により市民生活の質の向上につながるまちづくりを目指していく」と推進の姿勢を示しました。
大型開発計画の見直しを
都心部の開発事業について、新幹線の延伸を見据えた札幌駅周辺のまちづくり推進事業に37億5000万円、都心再開発事業に55億7600万円が予算化されました。
一方で、市民要望の強い道路除雪費は、前年比で約8億8500万円の削減となっています。
池田市議はコロナ危機によって、市民のくらしと中小零細業者の営業は厳しさを増していること、また、札幌市は他の政令市と比べ、非正規雇用やひとり親世帯など、低所得者層が多く、地域経済も中小零細事業者が主役となっていることを指摘。
「新幹線の開業に固執した大型開発計画を見直し、家計と地元経済を応援する施策、感染防止の最前線で働く市民とエッセンシャルワーカーを支える支援こそ、予算を編成する上で、最重点に位置付けるべき」と市長の見解を問いました。
秋元市長は「万全の感染対策や中小事業者への支援、雇用の下支えなど、喫緊の課題への対応を優先して資源配分した」としつつも、「コロナ禍にあっても都心の再開発など魅力あるまちづくりのための取り組みや税収増に資する取り組みについては、将来を見据えた投資として、積極的予算計上した」と答えました。
コロナ禍 学生の支援を
豊平区で行われたフードバンク(2/20)
池田市議は、多くの学生が学費をアルバイトで補っており、コロナ禍のもとでアルバイトが減って困窮していることを指摘。
これに対し、学生への無料食料支援・フードバンクの取り組みも広がっており、
江別市では大学と連携し、「江別市学生臨時特別給付金」を支給していると指摘。
「本市においても、困窮する学生を対象に独自支援の検討をしてはどうか。また、
国に対し学生支援緊急給付金の再支給及び対象拡大、学費の減免・給付型奨学金の拡充などを求めるべきではないか」と問いました。
答弁に立った町田隆敏副市長は「市内の大学においても様々な支援を行っていることを承知している。今後は、大学生との意見交換などを通して実態把握に務め、必要な支援を行っていきたい」と答えました。
池田市議は再質問で、「意見交換・実態把握はいつから取り組むのか」と問い、町田副市長は「3月初めに行いたい」と答えました。
池田市議は「このままでは学生生活が続けられないとの声も聞かれる。早く調査を行って欲しい。江別市の様に札幌市としても直接給付を考えるつもりはないか」と問いましたが、
町田副市長は「まずは実態把握に努める」との答弁に留まりました。
介護保険料の引き下げを
介護保険制度は創設以来20年となりますが、この間保険料は約2倍に跳ね上がっています。2000年の全国平均の保険料基準は、2911円だったものが、
4月から始まる第8期の保険料は6000円を超えるとの報道もあります。
池田市議は、「本市は、残高約90億円の介護給付費準備基金から約半分を繰り入れて保険料を据え置くとしているが、基金は介護保険会計で生じた剰余金を積み立てたもので、原資は市民が支払った保険料である」として、
「これをさらに活用して、保険料の引き下げを行うべき」と求めました。
町田副市長は次期保険料について、「介護給付費準備基金を取り崩すことにより、現在と同額に据え置いた。今回は基金残額をできるかぎり活用し、保険料上昇抑制に充てた」とし、さらなる引き下げには応じませんでした。
介護保険「補足給付」見直し対応を
国は、これまで施設入所者で低所得者の食費や居住費の補助として「補足給付」を行ってきました。しかし、今年8月から特養ホーム等に入所している人の補足給付の見直しを行います。
これにより毎月約2万2千円もの負担増となり、支払いができなければ、サービスを受けられなくなる高齢者が生まれる懸念があります。
池田市議は「補足給付の見直しで負担が増えることのないよう対応すべき」として市の対応を問いました。
町田副市長は「国は介護保険制度の持続可能性の確保のため、見直しを行ったものと認識している。引き続き国の動向を注視していく」との答弁に留まりました。
国保 子どもの均等割軽減を
国民健康保険料が他の健康保険に比べ高いのは、被保険者の数に応じてかかる均等割、各世帯に定額でかかる平等割があるからです。
子どもが一人増えるたびに23480円増える均等割は少子化対策や子育て支援に逆行するものです。
池田市議は「コロナ感染症に伴う保険料の減免申請は昨年12月末で21574件となっており、高すぎる国保料の引き下げは、1年でも早く実施してほしいというのが国保世帯の願い」と指摘。
「国は2022年度から未就学児の均等割保険料を半減することを決定したが、国に先がけて2021年度から前倒しで子どもの均等割軽減を実施すべきではないか。
18歳までの均等割軽減を実施するために必要な費用は3億円にすぎない。国に対象拡大を求めるとともに、本市独自の軽減策を検討すべきではないか」と問いました。
町田副市長は「子どもの均等割軽減は、国の責任で全国一律で実施すべきものと考える。今回、国が示した制度では対象は未就学児まで、軽減割合も5割に留まっていることから、国にさらなる拡充を求めていきたい」と、国任せの答弁に留まりました。
再生可能エネルギー導入は地域主体で
近年異常気象が頻発するなど、地球温暖化対策は待ったなしの課題です。地域における再生可能エネルギーの導入には課題もあります。
池田市議は、「再生可能エネルギーによる発電施設の大規模化や大手業者による一極集中開発では、利益が地域外に流れてしまい、また、地域の自然環境、生活環境にも大きな影響を与え、地域住民とトラブルになる事例が数多くある」と指摘。
「地域の再生可能エネルギーの導入は、地域住民が主体者となって行うことが必要。再生可能エネルギーの地産地消をどのようにして実現するつもりなのか」と問いました。
吉岡副市長は「一般家庭や市有施設等への太陽光発電の導入を推進するとともに、再生可能エネルギーを活用していく取り組みを進めていきたい。
市としては、太陽光発電設備、蓄電池、電気自動車を導入する市民へ補助を行い、発電した電力の自家消費を促してきた。
今後とも、市民が初期費用を負担することなく設備を設置できる補助等の新たな手法も含め、発電・蓄電設備の導入拡大でエネルギーの地産地消を一層進めていきたい」と答えました。
グリーン・リカバリー推進支援を
池田市議はグリーン・リカバリーについて、「地球温暖化をもたらすCO2(炭酸ガス)の排出を減らし、災害や感染症に強い社会・経済に回復しようとするもので、促進すべきであるが、市内の小規模・零細企業は、いまだコロナ禍にあり、経営はますます厳しい実情」と指摘。
「市内中小零細企業が業務車両・機械などをCO2削減に資するものに更新したり、社員がマイカーから公共交通へ転換したり、自社社屋を改修して高断熱化する場合などに、グリーン・リカバリー推進の視点で補助等を強めることについて、どう考えるか」と問いました。
吉岡副市長は「電気自動車など次世代自動車を導入する事業者への補助の他、省エネ化に係る設備資金等としても利用可能な中小企業融資制度を運用している。引き続き、市内小規模事業者のCO2削減に向けた取り組みを後押ししていきたい」と答えました。
コロナ危機で停滞した社会・経済を、地球温暖化を抑えたり、生物多様性を維持するといった環境問題の解決に重点的に資金を投じ、雇用や業績の拡大を図ることで立て直そうとする考え。
1月20日に開かれた新型コロナウイルス感染症対策調査特別委員会で、池田ゆみ市議はすすきの地区における飲食店従業員への公費負担による定期的なPCR検査が、クラスターの発生をくい止める効果をあげていると評価。
「こうした取組をどう活かし広げていくかが緊急に問われている」と語り、「医療、介護施設、学校、保育、学童保育などで働く職員や、出入りする関連業者などを対象とする定期的な検査を実施できるようにすべき」と求めました。
さらに池田市議は、「他国と比較して日本の検査数は少なすぎるといわれている。クラスターを押さえ込むには検査体制の強化と検査件数を飛躍的に増やすことがカギになり、科学的根拠に基づいた対策である」と述べ、「必要なところに網羅的に検査できる仕組みをいっそう強化すべき」
と訴えました。
第4回定例市議会(2020年)
第4回定例市議会は11月27日から12月10日までの日程で開催されました。
12月10日には日本共産党を代表して田中啓介市議(西区選出)が代表討論に立ち、 「建築物の制限に関する条例」の改定及び借り上げ市営住宅の廃止に反対するとともに、PCR検査費用補助など残余の17件の案件に賛成しました。
観光都市としての財産失う
「建築物の制限に関する条例」の改定は、北1西5丁目地区の容積率を緩和するものです。
この周辺には国の重要文化財に指定された「北海道庁・旧本庁舎」「旧北海道庁立図書館・道立文書館分館」「旧中央警察署」の建物があり、これらにより、全体で調和が取れ、札幌の歴史を感じられる地域が形成されています。
田中市議は「この区域に、地上6階建ての北海道放送株式会社社屋であったものから、地上27階建ての建築物を可能とすることになれば、一体的であるべき景観が途切れてしまう。
日本の近代化・西洋化の先陣を切った開拓の歴史は観光都市としての札幌の際立った特徴であり、高層建築物が建てられれば、将来に引き継ぐべき観光都市としての財産のひとつを失うことになりかねない」として、条例改定に反対しました。
市営住宅、増やすことこそ求められる
借り上げ市営住宅の廃止は、20年の借上げ期間満了に伴って、「メゾン・ド東麻生」など4件101戸を廃止するものです。 田中市議は「市営住宅は、応募倍率が依然として高く、低所得世帯や高齢者・障がい者は、今後も増える見通し。市営住宅の総戸数を増やすことこそ求められているなかで、削減することは認められない」として反対しました。
派遣でなく、職員体制の強化を図るべき
第4回定例市議会では保健所のコロナ対策業務の補助に当たる人材を、人材派遣会社に依頼する補正予算も可決されました。 これについて、田中市議は「人材派遣は、臨時的、短期間に限定し、抜本的な対策として、次年度以降は、保健所職員等の増員をはじめ、職員体制の強化を図るべき」と求めました。
すべての福祉施設にPCR検査費用の補助を
高齢者施設及び障がい者施設におけるPCR検査費用を補助する補正予算も可決されましたが、これは入所型施設に限定するものとなっていることから、 田中市議は「今後は、通所・訪問型介護職員、利用者を含め、すべての福祉施設で行うPCR検査費用について補助すべき」と求めました。
12月4日には日本共産党を代表して長屋いずみ市議(北区選出)が代表質問に立ち、 新型コロナについて、「感染をこれ以上広げないため、あらゆる対策を急ぐべき」と市長に迫りました。
厳しい状況、市長の認識と対策問う
長屋市議は、「11月に市内で発生したクラスターは、11月25日現在48件。医療・福祉施設では前月比の7倍と多発している。
また、感染拡大を示す指標はいずれも高く、身近なところで次々と陽性者や濃厚接触者が出る極めて厳しい状況となっている」として、
「重症化リスクの高い高齢者に、これ以上、感染を拡げないための財政支援を含め、あらゆる工夫と対策を急ぐべき」と訴え、
「現在の感染状況について市長はどのような認識に立ち、今後どのような対策を講ずるつもりなのか」と問いました。
秋元市長は、「厳しい状況が継続しているものと認識している。医師会など医療関係団体や市内医療機関と連携し、
医療供給体制の確保、応援体制の整備を国に要望していく」と答えました。
医師・看護師など人的体制、どう確保する
医療機関の現状について長屋市議は、「国の地域医療構想による病床削減と効率化路線は、医療機関に必要な『ゆとり』を奪い、
そこに新型コロナウイルスが襲ってきたため、各医療機関では感染者の急増に対応できず、地域の医療連携は困難な状況に陥っている」と指摘。
「公的役割が求められる市立病院では今後、医師・看護師など人的体制に一定の『ゆとり』が必要だと考えるが、コロナ危機を踏まえ、市長はどのように考えているか」と問いました。
秋元市長は「平時から感染症の拡大に対応できる人員配置が理想であるが、一病院で対応するには限界があることから、医療圏全体で整備していくことが必要であると認識している」と答えました。
介護事業所等の検査費用補助を
長屋市議は、11月下旬に複数の通所介護事業所でクラスターが確認されたことを指摘し、
「今後は、感染拡大防止対策の更なる強化を図る上で、入所型に限らず、訪問・通所介護事業所などの職員と利用者にもPCR検査費用の補助を拡大すべき」と求めました。
また、「行政検査の場合、費用の2分の1が自治体負担であることが、検査拡大の足かせとなっている。国が主導的に医療機関と高齢者施設などを守ることが急がれており、全額国庫負担で検査できるように、市長は、国へ求めるべき」と求めました。
新型コロナに追い打ち、後期高齢者医療費2割負担
後期高齢者医療の窓口負担は、年収383万円以上の場合は「現役並」だとして3割負担となっていますが、それ以外は1割負担となっています。
しかし厚労省は、一定の所得がある人を2割負担に引き上げることとし、自民党と公明党は200万円で線引きを行いました。
長屋市議は、「後期高齢者の病院窓口での医療費負担を2割に引き上げることは、高齢者のさらなる受診抑制に拍車をかけるもの。
コロナ危機から高齢者の健康と命を守る体制強化を図ることこそ、国の責任で急ぐべき。市長として、国に対し、後期高齢者医療費負担増の中止を申し入れるべき」と求めました。
秋元市長は、「負担増額は1人当たり平均で年間3万4千円とされている。窓口負担の検討に当たっては、必要な受診機会が確保される配慮が必要と考えており、都道府県と政令市で構成された全国衛生部長会等において国に要望している」と答えるに留まりました。
家計を支援する対策を
新型コロナの影響による失業、休業は生活困窮に直結します。本格的な冬を迎え、市民の暮らしは暖房費などの支出がさらに生活を圧迫します。
長屋市議は生活困窮者への対策について、「国が行っている、社会福祉協議会の貸付金は上限6ヶ月、家賃支払いを支援する住居確保給付金は上限9ヶ月。これらの支援は数ヵ月延長されるものの、コロナによる生活困窮の出口はまったく見通せない」と指摘。
「本市は、国に対し貸付の延長や返済の猶予、特別定額給付金の再度支給などを求めるべき」と求めるとともに、「本市独自で市民の冬の暮らしにかかせない暖房費の補助など、直接家計を支援する対策を早急に取るべき」と求めました。
市側からは、「新型コロナ対策としての各種生活支援については、全国共通の課題であることから、国において必要な対策を講じてきたと認識。今後も国の動向を注視しつつ、必要な対策を要望していきたい」との回答に留まり、市独自の対策への言及はありませんでした。
雇用維持に市独自の施策を
新型コロナの影響による休業者の急増は深刻な状況です。これに対し政府が講じた中心施策が「持続化給付金」と「雇用調整助成金」です。
全国の持続化給付金活用実績は、10月末現在367万件。11月13日時点の北海道における雇用調整助成金支給件数は5万5千件余りとなっています。しかし、政府は外部委託などのため、自治体毎の数を把握していないというお粗末な状況です。
長屋市議は、これでは助成金により雇用が図られているかどうかわからないし、休業している人が職場復帰できるかの見通しも立たないと批判しました。
さらに、「雇用調整助成金が終了する2月以降、休業者が失業者になることはおおいに考えられる」として、「本市独自に事業者が雇用を維持できる施策を取るべき」と求めました。
就職支援事業の思い切った拡充を
コロナ禍のもとでの就職支援対策として市は、第2回臨時市議会で雇用セーフティー事業を立ち上げました。
対象者数は400人で、参加者には、期間中時給が支給され、最大19日間の研修などで約12万円の給付金を受けることができます。6月〜9月の事業予定は、予想を上回る応募により10月に追加募集をしました。
本定例市議会で、100名分の追加提案がなされ、職場実習を通じて介護職に就職した場合は3万円の就職準備金が加えられました。
これについて長屋市議は「雇用対策として積極的な支援プログラムであり、市民ニーズがあることから、予算と対象者を思い切って拡充すべき」と求めるとともに、「給付金が最大12万円から9万4千円に減っていることは問題」と指摘しました。
市側からは、「今後の就職支援事業については、本年度の事業効果等を検証するとともに、事業者や離職者のニーズを的確に把握した上で、実施方法等を検討していきたい」との回答がありました。
子育てに不安を抱える市民が増えている
札幌市は2020年4月に「第2期未来創生プラン」を作成し、基本目標として「結婚・出産・子育てを支える環境づくり」をあげています。
市はこの目標の達成度合いを見る評価指標として、「子どもを生み育てやすい環境だと思う市民の割合」をあげています。この割合は第1期プラン作成時の2014年に59・8%であったものが、2018年に50・9%に低下しました。第2期プランでは2024年度に80%へ引き上げることとしています。
長屋市議は、「子どもを生み育てやすい環境だと思う市民の割合」が2018年に低下した原因を問うとともに、80%に引き上げる目標達成のためにどのような施策を進める考えなのかと問いました。
市側からは、「働く女性が増加する中、仕事と子育ての両立や子育てそのものに不安を抱える市民が増えていることが考えられる。保育サービスのニーズへの的確な対応などが課題。
保育施設等の整備や多様な保育サービスの提供、情報発信による子育て支援の充実など様々な取り組みによって安心して子育てできる環境を整え、不安軽減を図っていきたい」との回答がありました。
子育て世帯の経済的負担の軽減を
長屋市議は、「持つつもりの子どもの数が結果的に持てない理由として、"年令や健康上の理由で子どもができないこと"が最も多く、次いで"収入が不安定なこと"
が挙げられている。
しかし、未来創生プランでは、経済負担の軽減策として全体に関わるものは、医療費助成の小6までの拡大、おたふくかぜワクチンの助成率50%のみ」と指摘。
「負担軽減を実感する市民がもっと増えることが、子どもを生み育てやすい環境につながり、出生率を上げることにつながる」として、評価指標の項目に「子育て教育にかかる費用が軽減されたと感じる市民の割合」等を追加し、目標値を持って、その実現のための施策を具体化するべきと求めました。
市側からは、「子どもを生み育てやすい環境整備に向けては、将来に渡り経済的不安がない社会を形成することが重要。このため、本市では企業誘致や創業支援を始めとする産業の基盤づくりや働きやすい環境づくりにより経済的不安の緩和に努めている。
また、子どもの医療費助成や奨学金制度の拡充などを行い、子育て世帯の経済的負担の軽減につなげており、雇用創出と子育て環境の充実により好循環を生み出していきたい」との回答がありました。
市側の回答は、いずれも現在の施策から踏み出すものはなく、もっと積極的に経済負担を軽減する施策が求められます。
日本共産党市議団は11月16日、秋元市長に対し、2021年度の予算編成に向け121項目の要請を行いました。
新型コロナ関連では、
○医療、介護、福祉、保育、学校など集団感染のリスクの高い施設に勤務する職員、出入り業者への定期的なPCR検査等を発症者の有無にかかわらず行うこと。
○医療機関の経営状況は深刻さを増しており、地域医療を守る観点から本市独自の財政支援を行うこと。
○コロナ感染症の影響による介護事業所等の減収分に対して、必要な補填を行うこと。
○中小企業に対する感染防止対策に関わる費用の補助、給付金の支援策を拡充させること。
・・・等を求めています。
市議団は、新型コロナの急速な広がりに危機感をつのらせ、「市民のくらしや雇用維持、営業を支える施策を予算に盛り込んで欲しい」と訴えました。
秋元市長は、新型コロナに関し「検査体制を強化し、高齢者施設でクラスターを起こさせず、重症化させないよう力を入れる」と表明しました。
予算要望の詳細はこちらに。
第3回定例市議会(2020年)
第3回定例市議会(決算議会)は9月23日から11月2日までの日程で開催されました。
11月2日には日本共産党を代表して吉岡ひろこ市議(清田区選出)が代表討論に立ち、 2019年度一般会計等各会計決算及び病院、上水道、高速電車等の事業会計決算の認定について反対しました。
都心アクセス道路より、経済、貧困対策を
一般会計等各会計決算に反対する理由として吉岡市議は、都心アクセス道路及び北8西1再開発関連経費が含まれていることをあげました。
都心アクセス道路を必要とする根拠は乏しく、新型コロナで経済が低迷するもとで、本市が優先すべきことは経済の活性化、貧困対策であると主張しました。
また、北8西1再開発は、当初計画されていた医療施設が撤退し、超高層マンションとホテル、オフィスが中心で、市民の期待を裏切る公共性に乏しいものであることを指摘しました。
個人情報保護の点で問題が
ICT推進事業、キャッシュレス推進費
また、ICT(情報通信技術)活用戦略推進事業費、キャッシュレス推進費は、行政が持つ情報や、
市民の購買データをビッグデータに蓄積するもので、いずれも個人情報保護の点で問題があると指摘。
マイナンバー関連経費(約7千万円)についても、個人情報の流出、国家による国民監視の疑念がぬぐえないうえ、
マイナンバーの保守管理、セキュリティー対策に今後もばく大な経費をかけることになるとして反対しました。
市民負担増、行政サービス低下に
さらに、国民健康保険の平均保険料を引き上げたことは国保加入者に負担を強い、市職員定数を削減したことは 民間委託を増やし、行政サービスの低下、官製ワーキングプアを広げることになるとして反対しました。
消費税増税、事業会計決算
病院事業会計については、一般病床を31床削減したこと、診断書等についての消費税増税分の値上げが行われたことから、決算の認定に反対しました。
また上水道、下水道、高速電車事業会計等についても消費税増税に伴う値上げを含んでいることから、反対しました。
池田ゆみ市議は10月26日の決算特別委員会で水道料金の滞納を理由とした給水停止の問題を取り上げました。
池田市議は、「2015年には11471件、2019年には10920件と年間1万件を超える給水停止が行われている。
今年3月では給水停止世帯が2606世帯あり、昨年の同時期と比べて121世帯増えているのはコロナ禍の影響ではないか」と指摘。
「水道料金滞納のペナルティとして停水を行うことは一歩間違えば命に関わる。滞納している方は、水道だけでなく電気・ガスの支払いや税、国保などの滞納も重複していることが多い」として、
「水道局と福祉部局だけの連携ではなく、財政や国保など全庁的な連携体制をつくることが必要」と強調。滞納世帯に寄り添い、継続した支援を求めました。
9月30日には日本共産党を代表して田中啓介市議(西区選出)が代表質問に立ち、菅首相の政治姿勢や、 核のゴミ受け入れ問題などに対する市長の政治姿勢を問うとともに、コロナ禍のもとにおけるまちづくり、医療体制、雇用と暮らしを守る対策などについて質問しました。
市政に負担しいる 冬季五輪、新幹線延伸
田中市議は、コロナ禍のもとで本市においても税収減と財政出動の増大が予想されることから、まちづくりについて見直しを求めました。
まず、2030年冬季オリンピックの招致について、「過去の例からも費用は増大する可能性がある。招致についての世論調査では、賛否が拮抗しており、反対の理由としては財政負担があげられている」として、
この秋に予定していた招致についての賛否を問う調査を中止せず、早い段階で賛否を問うべきとしました。
秋元市長は、「札幌市としても、過大な開催経費や既存施設の活用などについて従来から検討を進めている。意向調査についても、こうした見直しを前提とした上で、開催計画などを市民に示し、丁寧に説明しながら進めていきたい」と答えました。
次に田中市議は、北海道新幹線の札幌延伸について質問。「北陸、九州新幹線の例では当初より2割前後建設費が増大し、自治体に追加負担が求められた。現在でも本市は350億円と重い負担を負い、さらに駅舎や周辺の開発費等の負担と経費がかかる」と指摘。
さらに「航空機との運賃や所用時間の比較でも、札幌延伸で利用客の大幅増は見込めず、新幹線の赤字がJRの経営をさらに悪化させ、在来線の切り捨てにつながる」と指摘。
加えて「重金属を含む有害残土問題があり、世論調査でも札幌延伸について否定的な意見が61%を占める」として、「工事については一時的に中断し、道民の議論と結果をその後の計画に反映させるものとし、中止・凍結も選択肢とするよう国に求めるべきだ」と要望しました。
秋元市長は、「北海道新幹線は札幌まで延伸されてこそ、その効果が最大限に発揮させるものと考えている」として、「着実に事業を進めていく」としました。
都心アクセス道路、市民の理解得られるか
田中市議は、都心アクセス道路について、「市長は第2回定例市議会で、コロナ禍のもとでもアクセ道路の必要性を強調した。しかし、経済が活性化する前に中小企業が倒産に追い込まれ、コロナウイルスと最前線でたたかっている医療機関や介護事業所なども経営危機にさらされている」と指摘。
「新型コロナは、いまなお収束せず、このような時期に、1000億円を超える道路建設に、市民の理解と納得を得られると思うのか」と市長の見解を問いました。
秋元市長は「国など関係機関と連携し、市民の理解を得ながら取り組んでいく」と、都心アクセス道に固執する姿勢を示しました。
新型コロナ検査1日3900件に
秋元市長は本会議において、新型コロナの感染拡大に備え、PCR検査と抗原検査を11月から1日当たり、現在の約7倍となる3900件とする補正予算案を提出し、7日の本会議で可決されました。
日本共産党市議団はこれまで5回に渡る市長への緊急要請で、PCR検査等の拡大を強く要請してきましたが、今回の補正予算はこれに応えるものとして、田中市議は評価。
「3900件の検査のためには、それにふさわしい要員の確保と、検査の受けやすい体制づくりが肝要となるが、どのように取り組む考えなのか」と問いました。
町田隆敏副市長は「発熱外来がある医療機関で直接、検体検査できるようにするなど、検査が必要な人がもれなく受けられる体制づくりをしていく」と答えました。
介護必要な高齢者等の病床確保を
田中市議は、介護老人保健施設茨戸アカシアハイツで集団感染が発生した際の市内の感染症病床(267床)はほぼ満床であったことを指摘。
「今後は、介護サービスの必要な高齢者、妊産婦など、患者の特性に応じた医療の提供を図ることが必要になる。また、病床を機能させるには、看護師の確保も不可欠となるが、どのような対策を講じているか」と問いました。
町田副市長は「様々な患者特性に応じた受入体制が重要であるとの認識のもと、関係医療機関との協議によって受入病床を確保してきた。看護師についても北海道と連携し確保に努めるとともに、離職中の看護師の復職支援などをおこなっている」と答えました。
ICU52床確保
田中市議は、「新型コロナによる致死率がドイツでは1.1%と低かったのはICU(集中治療室)のベッド数が人口10万人当たり29〜30と多かったからとされている」と指摘。
さらに、今年5月1日の市長記者会見で市長は「当市のICUベッド数が32床で新型コロナの重症患者が16名おり、この他の大きな病気や怪我でも使用されることから、32床は限界に近く、医療体制が逼迫している」という認識を示していたと指摘。
「当時の当市のICUベッド数は10万人当たり2床未満であったが、今後の新型コロナ感染の拡大を考慮した場合、ICUベッド数は極めて不十分ではないか」と問いました。
町田副市長は「ピーク時の重症者数を50名程度と想定し、新型コロナ重症患者は、治療機器や医療スタッフを整えた病床において対応することとして、最大でICUを含め52床を確保しており。不足は生じないものと認識している」と答えました。
新型コロナウイルス感染症の終息が見通せない中、介護事業所も利用ひかえや新型コロナの感染防止対策により、経営難に陥っています。
「介護される人もする人も、みんな笑顔に!北海道連絡会(以下介護連絡会)」から、市議会に、介護事業への支援を求める陳情が提出され、市議会「新型コロナウイルス感染症対策調査特別委員会」で審議され、池田市議が支援を訴えました。
介護連絡会が実施した緊急アンケート調査では、市内の介護事業所の減収率は57%と道内平均を上回り、通所介護では90%の施設が減収し、5月だけでも昨年同月比で、1億7千万円の減収になっています。
市議会に提出された陳情は、@介護事業所が倒産・廃業しないよう財政支援と減収分の補填を行うこと、A希望する介護従事者及び利用者とその家族がPCR検査を受けられる体制の整備、B通所系・短期入所系サービスにおいて、
新型コロナ感染防止への対応を適正に評価するため2段階上のサービス料を上乗せできるとする「臨時的取扱」について、相当する額の補助制度を設けること、を求めるものです。
10月7日に開催された特別委員会では、日本共産党から池田ゆみ市議が質問に立ち、介護事業への支援を求めました。
池田市議はBの「臨時的取扱」について、「通所5時間利用の場合7時間分の報酬を算定でき、利用者が利用していない分を負担することになる。年金が切り下げられている中、デイサービスを減らしている実態もあり、その大変さに追い打ちをかけるのが『臨時的取扱』である。
これが介護利用を抑制し、経営困難の要因にもなる」と指摘。
2段階上のサービス料上乗せによる利用者負担分と市の負担分を問うと、保健福祉部長は「利用者の負担は1ヶ月300円から1200円、市の負担は7月から3月までの9ヶ月間で15億円」と答えました。
池田市議は「利用者負担については、事前の聞き取りでは1億7千万円ということであった。支援できない額ではない」として「長野県上田市や飯田市、品川区のように、補助制度を設け支援を行うべき」と求めました。
札幌市議会では遅ればせながら9月4日に、新型コロナウイルス感染症対策調査特別委員会が設置され、日本共産党からは池田ゆみ、田中啓介、佐藤綾市議が委員となりました。
9月14日には特別委員会が開催され、池田市議は営業と雇用の維持、暮らしの支援について求めました。
池田市議は、「新型コロナによる社会福祉協議会の貸付は急増しており、貸付なしには暮らしと営業が成り立たない実態となっている。
貸し付け期間は3ヶ月となっているが、3ヶ月で立ち直れず、貸し付けの延長が相次いでいる」と指摘。
「貸付金はいずれ返済しなければならず、生活や営業の立ち直りに時間がかかればかかるほど負担となる」として、池田市議は「返済の必要のない給付型の支援を、国のコロナ対応支援金を財源として行うこと」を求めました。
理美容などの事業者は休業要請の対象に入らず、休業支援金の対象から外れています。持続化給付金の受給条件は、5割の減収となっているため、3割、4割減収していても持続化給付金は受けられません。
池田市議はこうした事業者が多くあり、「5割も減収したらもうやっていけない」と苦しい声が聞かれるとして、「3割、4割の減収であっても給付が受けられる本市独自の支援が必要」と求めました。
さらに池田市議は、事業者への支援制度を活用している割合は約2割に留まっていると指摘。「多くの事業者を制度利用につなげるとともに、倒産・廃業に追い込まないための十分な支援をするべき」と訴えました。
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐには陽性者を特定し、隔離・保護することが急がれます。
日本共産党市議団は、8月5日、秋元市長に対し、発症者や濃厚接触者に限定せず、幅広く公費によるPCR検査を行うよう要請しました。
現在、市のPCR検査数は1日当たりわずか580件。対応した町田副市長は「市の検査数は上がってきている。インフルエンザが流行する秋冬に備え、
体制を取っていきたい」と答えました。
緊急要望はこちらに。
日本共産党市議団は7月15日、秋元市長に対し、新型コロナ対策に関する20項目の緊急要請を行いました。2月、4月、5月に続いて4回目の要請となります。
要請では、希望者する学校や医療機関、介護施設の関係者にPCR検査を公費で行えるようにすること、医療機関、介護事業所の支援、各種支援制度の拡充などを求めました。
緊急要望はこちらに。
臨時市議会(2020年7月)
7月2,3日の日程で臨時市議会が開かれ、新型コロナ対策に関わる111億円余りの補正予算は全会一致で採択されました。 松浦前市議の除名処分取り消し判決に対する控訴については、日本共産党市議団は反対しました。
討論を行う太田市議
市議会と市長の控訴に反対
6月22日札幌地裁は「松浦氏の除名処分は議会の裁量権を超え、これを濫用したもの」として処分の取り消しとこの間の議員報酬、期末手当の支払いを命じました。
これに対し、市議会議長は各会派の意見を聴取。日本共産党は反対しましたが、議長は控訴するとしました。これを受け市長は議員報酬と期末手当の支払いについて控訴する議案を提出しました。
3日に開かれた本会議では、日本共産党から太田市議が討論に立ち、「日本共産党市議団は、除名処分には特別に慎重な対応が求められるとしてこれに反対したが、
札幌地裁の判決はこれをあらためて確認したものである」として、控訴に反対しました。
市民ネットの石川市議も討論に立ち同様に反対しました。しかし採決では他会派が賛成し控訴に関する議案は採択されました。
第2回定例市議会(2020年)
第2回定例市議会は5月28日から6月10日までの日程で開催され、新型コロナにかかわる問題を中心に、「市民のいのちと暮らし、営業を守れ」と迫りました。
最終日の本会議では、日本共産党から佐藤綾市議(白石区選出)が代表討論に立ち、今後の新型コロナ対策、支援金のありかた等について改善を求めるとともに、
議案については、一般会計補正予算の一部及び市税条例の改定に反対するとともに、残余の19件に賛成しました。
国の病床削減計画に反対を
佐藤市議は、「今回の新型コロナ危機では新自由主義の下で医療・福祉が縮小され続け、感染症の拡大に対し、病床すら確保できない事態が生じた」と指摘。 しかしながら、国の病床削減計画に沿った道の「地域医療構想」について、市はこれを容認する姿勢を取っていると批判。第3波、第4波が予想される中で、国が今後も病床削減計画を推進しようとしていることについて、 異を唱えるべきと主張しました。
感染拡大防止に 介護施設等のPCR検査を
また、感染防止対策について、「可能な限り早い段階で感染の有無を確認し対策をとることが不可欠」と指摘。 PCR検査について、「市は国の指針に基づいて『感染者を確認した場合』の検査とする」としているが、新型コロナウイルスが高齢者にリスクが高い、とされていることから、介護施設等へ直接出向いてPCR検査を行い、感染拡大を未然に防ぐよう求めました。
公共事業計画見直し 都心アクセス道路は中止に
佐藤市議は「コロナ危機は、市民の暮らしと市内経済に大きな影響を与えており、市財政も圧迫されることから、今後の公共事業計画の見直しが迫られている。計画を総点検し、老朽化したインフラ整備、福祉、子育て、防災などを優先して見直すべき」と主張しました。 都心アクセス道路について、「市長は、経済の活性化を図るものとして整備を進めることが重要としているが、今、求められていることは、コロナ禍で苦しむ市民の暮らしと中小・個人事業主等の経営を守り抜くことに最大限の力を注ぐこと。 渋滞していない道路に1000億円もの公費を投じる都心アクセス道路は止め、費用負担の少ない交差点改良にすることを、国に提言すべき」と求めました。
3密避けるため 小中学校の統廃合中止を
新型コロナ感染拡大では、大勢が一か所に集まることが問題とされ、今、市民に対し3密を避ける「新しい生活様式」が呼びかけられています。再開された学校についても、その規模や1学級を40人とする学級編成について、根底から考え直す必要があります。
しかしながら、札幌市は、「学校規模適正化計画」と称し、小学校で12学級未満、中学校で6学級未満となる学校の統廃合を進めています。
佐藤市議はこうした点を指摘し、小中学校の統廃合計画の中止を求めるとともに、「子どもたちの健康衛生を守る立場から、『新しい生活様式』に沿った学校規模・学級規模の検討を開始すべき」と求めました。
家賃など固定費に 市独自支援を
一般会計補正予算は、民間病院への協力金や、4月27日以降5月25日までに生まれた子どもまで特別定額給付金の対象とするなど、市独自の努力はあるものの、国の事業対象から外れる市民や中小事業者を支えるものになっていないとして、以下の3点を求めました。
@「持続化給付金」は、前年比で売り上げ減少が50%未満の事業者にも広げること。
A事業者に対する家賃などの固定費補助について、国の補正予算を待つことなく、市の自主財源を活用した支援策も含め、追加の補正予算を編成すること。
B放課後児童クラブを利用しなかった世帯へ返還するための経費として、国の単価に基づき、一人一日500円を補助するとしているが、民間学童保育所の利用料はまちまち。一日500円で不足が生ずる所もあるので、柔軟に対応し、きめ細かい支援を行うこと。
マイナンバーの戸籍、住民票紐付けに反対
補正予算には、社会保障・税制番号制度対応のためとして、マイナンバーに戸籍や住民票の情報を紐づける経費が含まれていました。この点については、個人情報の漏えい、国家による国民監視につながる危険性があるとして、反対しました。
また、本社機能を札幌に移転した企業に対する税制優遇措置の延長についても、大企業優遇措置であることから、反対しました。
6月4日には日本共産党を代表して佐々木明美市議(手稲区選出)が代表質問に立ち、新型コロナウイルス感染症について、市長の政治姿勢、中小企業の支援、教育支援、医療・介護への支援などについて質問しました。
新型コロナ 札幌でも医療逼迫
佐々木市議は、「1980年代から多くの先進国では、医療・福祉の民営化が進められ、『小さな政府』を目指してきた。イタリアでは人口千人当たりの病床数が半減して、新型コロナの拡大で医療崩壊を引き起こした」と指摘。
本市においても「感染が疑われてもPCR検査を受けられない、重篤患者が出ても病院のベッドがない、医療従事者は無防備で感染の危険にさらされながら患者を診なくてはならない」という事態が起きたと指摘。
「今、多くの識者からこうした社会のあり方を問い直す議論が広がっているが、なぜこの様な事態になっていると考えるか、どのような政治の対応が求められていると思うか」と市長の見解を問いました。
秋元市長は「有効な治療法やワクチンがない状況で感染が急激に拡大し、医療機関等に大きな負担が生じた」とするのみで、社会や政治のあり方については触れませんでした。
支援金の抜本的引き上げを
佐々木市議は、「今、多くの事業者が経営の危機に直面しているが、今回本市が提案している支援金は、休業要請に応じた事業者、またはそれ以外の事業者で持続化給付金の給付対象になった所に5万円、北海道と合せて10万円を支援するというものであるが、あまりにも金額が少ない」と指摘。
支援金の抜本的に引き上げを求めました。
また、政府の「持続化給付金」は、売り上げが50%減少など条件が厳しすぎるとして、「20%減少に緩和すること、また、書類の簡素化やネット申請だけでなく、郵送での申請も可能となるよう国に求めるべき」と求めました。
市長は「今回の支援金は企業の事業継続に係る支援を主旨としており、休業補償については国の責任のもと行うべきものと考える」として、支援金の引き上げには応じませんでした。
手続きの簡素化等については、指定都市市長会等を通じて国に要望してきたと答えました。
観光政策の見直しを
佐々木市議は、「我が国が訪日観光客を大幅に増やす政策を取ってきたことが、観光客の集中化、地域住民とのトラブルを生むとともに、新型コロナの感染拡大に拍車をかけた」と指摘。
「今後の観光振興においては地域住民が誇りと愛着を持てる持続可能な観光まちづくりが必要。新型コロナが終息しても、観光客はすぐには戻らないことから、足腰の強い観光のあり方を検討すべき。市が計画している富裕層向けのホテル誘致などは中止すべき」と求めました。
市長は「社会経済環境の変化の中にあっても、国内外の幅広いターゲットを対象とした観光客の誘致を図るととともに、多様なニーズに対応した受け入れ環境の充実に、引き続き取り組む必要がある」と、従来の考えを変えませんでした。
地元業者の経営、雇用を守れ
佐々木市議は、「観光産業は宿泊業や飲食業のみならず多種多様な地元の事業者とそこで働く人々によって支えられている。しかし多くの事業者は、『先行きが見通せない』と廃業の危機に立たされている」と指摘。
「地元関連業者の経営と雇用を徹底して守り抜くため、本市独自の支援策強化を」と求めました。
市長は、「新型コロナによる影響を受けている観光分野を含む市内事業者の緊急支援のため、融資制度の拡充やワンストップ相談窓口の開設に取り組んできた。こうした支援策に加え、今後の感染状況の変化に応じた支援策を講じていきたい」としました。
経済危機、アクセス道路は中止を
佐々木市議は、「新型コロナの影響で今後、@市民のくらしと中小業者の営業支援のための財源が必要、A台風や豪雨などの災害が多発する季節を迎え、感染防止対策を備えた避難所の整備も求められ、B日本経済も未曾有の危機を迎えると言われていることから、市の財政はますます圧迫されることになる」と指摘。
「本市は公共事業計画を総点検し、老朽化したインフラの整備、福祉、子育て、教育、防災など、市民のくらしを支える生活密着型の公共事業に急いで見直すべき。特に、1000億円もかかる都心アクセス道路の建設は中止し、経費負担の少ない交差点改良に変更するべき。国に対して変更を申し入れるべき」と求めました。
市長は「再開発を始めとする都心部のまちづくりや都心アクセス道路の整備は、都市の魅力と活力を高め、市内経済の活性化を図るものであり、今後、市内経済の回復を期していく上でも引き続き取り組んでいくことが重要である」と、従来の考えを変えませんでした。
住まいの支援と市営住宅について追及
佐々木市議は、新型コロナの影響で失職したり賃金の大幅低下により、低廉な家賃を必要とする市民が増えてくるとして、市営住宅と同様の家賃で民間住宅に入居できるよう、家賃補助制度を求めました。
吉岡副市長は、札幌市の民間賃貸住宅の家賃水準は補助制度を導入している他政令市と比べ低いとして、「慎重に検討していきたい」と答えるに留まりました。
国土交通省は、身寄りのない単身高齢者が増加し、保証人の確保が困難になることが懸念されるとして、公営住宅入居に際して、連帯保証人要件を前提とすることから転換するよう、地方自治体に配慮を求めています。
これを受け、UR住宅、13都道府県、12政令市がこの要件をなくしています。
佐々木市議は、本市でも連帯保証人の確保が困難な高齢者が、今後増加すると指摘。
連帯保証人について、条例で免除を認め、一定の配慮をしているが、連帯保証人を確保できないとして入居申し込みをあきらめることのないよう、「条例から連帯保証人の要件をなくすこと」を求めました。
吉岡副市長は、「これまでも、連帯保証人が確保できない場合でも、これを猶予し、入居を認めている。要件の廃止については、廃止した他都市の状況を参考に、検討していきたい」と答えました。
国土交通省は、2017年の民法改正に伴い賃貸住宅等の修繕と原状回復義務が改正されたことを踏まえ、修繕を適正に実施することを、各自治体に通知しました。
これを受け、UR住宅(UR都市機構)では入居者負担であった81項目の約8割を都市機構の負担とし、各自治体でも見直しが進んでいます。
佐々木市議はこうして点を指摘し、「本市では、畳やふすまの取り替えも、いまだ見直しされず、入居者負担のままとなっている。低所得者にとって大きな負担となる」として、国の通知に基づき、「市営住宅における自然劣化による修繕についての負担ルールを見直すこと」を求めました。
吉岡副市長は、「国土交通省の公営住宅管理標準条例に基づき、畳の表替えなど軽微な修繕については入居者の負担としている」として、問題ないとしました。
新型コロナの新たな感染者が続く札幌市。長引く自粛要請で、中小企業・業者の経営が危機的状態に陥っています。
日本共産党札幌市議団は、新型コロナから市民の命と暮らしを守るため、5月19日秋元市長に対し10項目に渡る、3回目の緊急要請を行いました。
要望書はこちら。
集団感染で15人が死亡した介護老人保健施設「茨戸アカシアハイツ」では、
介護を必要とする重症者の受け入れ先がなく、入院できないまま死亡するといういたましい事態が起きました。
村上仁議員団長は、「重症者は即刻病床を確保し入院させるべき、これ以上感染が広がらないよう医療、介護を分けての対応が必要でないか」と求めました。
佐藤綾市議は「シーツなども業者が扱ってくれず、職員が自分たちで洗っていると聞く。職員への対応をしっかりすべき」と求めました。
茨戸アカシアハイツでの集団感染は4月28日に公表されたにもかかわらず、札幌市は5月16日になってようやく現地対策本部を設置しました。町田副市長は「医療ケアが必要な人は他に搬送しているが、
病院では介護の対応ができないことがある。陰性の人を施設に移すにも空き施設が少なく難しい」と答えるだけでした。
市議団は、休業や時間短縮で売り上げが激減し、家賃や水光熱費の負担が重くのしかかっている飲食業者の実態について告発するとともに、
「市が大家となっている市営住宅のテナントに入居する店舗の家賃免除を早急に行うこと、中小業者の固定費補助、市税減免の支援をすべき」と求めました。
この他、「持続化給付金」の複数回申請、医療機関への医療物資の支援、子育て世帯、ひとり親家庭への
支援、仕事を休めない場合の子どもの預け先確保、アルバイト学生の支援などを求めました。
新型コロナによる外出自粛が強まり、中小企業・業者に深刻な影響が出ています。日本共産党札幌市議団は4月21日、
2月に続いて、2回目の緊急要請を秋元市長宛に行いました。
要望書は、○政府が創設する1兆円の臨時交付金は不十分。大幅に増やすよう国に求めること、
○事業者への家賃などの固定費補助や児童手当への上乗せなど、他市で行っている直接的経済的支援を本市でも行うこと。
○PCR検査は、医療機関が検査依頼した場合、全件検査できるようにすること、
─ など9項目に渡ります。
密集を避け、要請には村上仁市議団長、池田ゆみ市議他5名が参加、要望書を町田隆敏副市長に手渡しました。
村上団長は「休業や営業短縮をしないまでも、売り上げが大幅に減少している事業者が多く、さらに固定費ヘの支援を求めます。
営業とくらしを守って全力をあげたい」と語りました。
本要請直後、市長は休業要請に応じた事業者への支援金を創設し、道の支援金に上乗せし、一律30万円を支給すると発表しました。
子どもに差をつけてはいけない
4月2,3日と開催された臨時市議会では、新型コロナ対策として、学校や福祉施設にマスクや消毒液等を配布するための経費を含む補正予算が可決されました。
しかし、共産党の千葉なおこ市議の追及により、フリースクールは対象から外されることが明らかとなりました。市は「支援の対象となるのは教材や教具の整備、体験学習などの実施にかかる経費で、マスクなどの配布は当たらない」
としました。
現在札幌には13のフリースクールがあり、様々な理由で不登校となっている子どもたちが通うかけがえのない場所となっています。
補助基準にないからといって対象外にするのではなく、子どもたちの安全のために補助すべきです。
第1回定例市議会(2020年)
第1回定例市議会(予算議会)は2月18日から3月30日までの日程で開催されました。
新年度予算は第1部、第2部の二つの特別委員会で審議されましたが、池田ゆみ市議は、第1部予算特別委員会の委員長に選任され、
連日、委員会の運営に当たりました。
委員長のため、質問はできませんでしたが、皆さんの要望は他の9名の議員が分担して取りあげました。
第1回定例市議会最終日の3月30日、日本共産党からは田中啓介市議(西区選出)が代表討論に立ち、全29議案中14件の議案に反対し、残余の15件の議案に賛成しました。
新型コロナ対策
資格証やめ、短期証送付を
「保険料が払えない」などにより、国民健康保険の資格証が発行されている世帯は3月1日現在で4564世帯にのぼっています。
田中市議は「資格証では最初に受診する場合は10割負担となり、受診を我慢し感染の拡大を招くことになりかねない。新型コロナの緊急事態にふさわしく、本市は率先して短期証を郵送し、資格証の発行は止めるべき」と求めました。
支援金手続きの周知を
田中市議は市が創設した「新型コロナウイルス対応支援資金」の認定手続きについて、
「申請資料としては、月々の売り上げがわかる日報など、事業者が用意できる資料で可能とされている」ことを指摘し、
手続きが面倒と相談窓口に行く前にあきらめる事業者がいないよう、申請手続きについての周知を徹底するよう求めました。
また、「返済の必要のない助成金など、思い切った補正予算を組み、札幌市の中小、小規模事業所を守るべき」と求めました。
市民負担増に反対
国民健康保険予算については、高すぎて払えない保険料の改善がなされていないとして反対しました。
後期高齢者医療会計予算については、均等割りが50205円から52048円になるなど、保険料を引き上げるもので、反対しました。
また、介護保険会計予算についても、度重なる制度改悪により、保険料・利用料の負担増が高齢者の生活に重くのしかかっているとして、反対しました。
証明等手数料条例、老人休養ホーム条例、廃棄物の減量及び処理に関する条例、札幌コンベンションセンター条例、都市公園条例などの改定についても、
いずれも利用料、使用料を引き上げるものであり、市民負担増となるとして反対しました。
ワーキングプアを広げる民間委託の拡大
軌道整備事業(路面電車)会計予算についても、「路面電車の上下分離(運行を民間委託)を導入することは、公共交通事業を担う本市の責任を後退させるものであり、容認できない。
また、乗車料金の設定に市が積極的にかかわることができなくなること、民間委託は新たな"官製ワーキングプア"を生み出す」として反対しました。
札幌市職員定数条例の一部改正案は、職員定数を203人削減するもので、保護課のケースワーカー6名、学校用務員10名、学校給食調理業務の委託拡大で15名、路面電車事業における上下分離の導入で93名などが削減されます。
田中市議は「本来市の職員が担うべき業務を民間に委託して人員削減することは、行政サービスの低下を招き、技術の継承や、専門性の蓄積を困難にする。
同時に、非正規雇用の拡大など、市がワーキングプアを広げることとなる」として、職員定数条例の改定に反対しました。
意見書は5件が全会一致で採択されました。このうち、「教育職員の長時間労働の抜本的改善につながる取り組みを求める意見書」「種苗法の改正に関する意見書」は日本共産党市議団が提案し、他会派の意見も入れて全会一致での採択となりました。
新型コロナ
苦境にある中小・零細事業者の支援を
太田秀子市議(東区選出)は決算特別委員会で、中小・零細事業者の支援を求めました。
昨年からの日韓関係悪化、10月からの消費税増税で厳しさが増しているところにコロナウイルスの感染拡大で、中小・小規模事業所が急激な売り上げの減少に陥り「コロナ倒産が起きている」と強調。
その資金繰りを支援する「新型コロナウイルス対応支援資金」(予算690億円、売上高が前年同月比10%以上減少など)を創設したが、「これまで何件の相談があったのか、どのような相談体制か」と問いました。
市橋産業振興部長は、「昨日(23日)までに2426件で、相談体制は通常4名の相談員と1名の事務員で運営しているが、来所者が急増しており相談ブースを4カ所から10カ所に増設し、相談員も最大14名の体制としている」とのべました。
太田市議は、融資制度を利用するには必要書類を持参して審査を受ける必要があるが、お店の運営などすべてが自前の小規模事業者には大きな負担とのべ、「相談者に応じて柔軟に対応すべき」と求めました。
市橋部長は、「日報あるいはレシート、通帳などそれぞれの事業者が用意できる資料で申請を可能としている」「必要な書類についてもアドバイスなど、相談者に寄り添った対応に心がけている」と答えました。
太田市議は、今回の感染症対策として、国が「雇用調整助成金の特例措置」を講じたが、それは事業者が休業した際に、労働者の休業手当分1名1日当たり8330円を上限に補助(国の補助4/5)するもので、
賃金の10割を補償しようとすれば上限を超えた分は事業者の負担となり、それができなければ労働者は賃金の4/5以下で我慢することになると指摘しました。
さらに、「新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金がつくられた。
小学校などが臨時休業し、それによって保護者が休暇を取らざるを得ない場合に、事業者に1名1日当り8330円を上限に補助(国の補助4/5)するものだが、事業者が上限を上回る分を負担し、賃金を全額支払うことが申請の前提であり、補助の条件だ」と指摘。
太田市議は、いずれも国からの補助は後から事業者に支払われるものなので、それまでのつなぎには融資制度を利用することになり、利息も発生するとのべ、「国の基準を上回って負担する事業者に対し、市が独自の給付を上乗せすべき」と求めました。
小野塚雇用推進部長は、「北海道は特例措置が講じられており、一定程度の事業者負担の緩和で地域の実情が考慮された制度になっている」「助成制度の充実について必要に応じて要望していきたい」とのべました。
太田市議は、特例措置があっても、なお申請すらできない事業所があり、給与をもらえない労働者をつくることになるとのべ、「国には4/5ではなく、全額助成すべきだと求めるとともに、本市は思い切った補正予算を組んで、中小企業の雇用と経営を支えるべきだ」と求めました。
第1回定例市議会は3月3日本会議を開催し、令和元年度補正予算等の討論と採決を行いました。
日本共産党からは吉岡ひろ子市議が代表討論に立ち、補正予算等4件に反対、残余の19件に賛成しました。
(詳細はこちらに)
今年の9月以降、マイナンバーカードを取得し、マイキーIDを設定した者に対し、
キャッシュレスでチャージ・買い物をすると25%のマイナポイントプレミアム分が付与される事業が始まる予定です。
補正予算にはこれに対応し、マイキーID設定を支援する経費が含まれています。
マイナンバー制度は個人情報の流出や、国による個人監視につながる懸念があります。
このような懸念から、マイナンバーカードの取得は13%余りに留まっています。
マイナポイント付与はマイナンバーカードの普及を狙ったものですが、マイナンバー制度は中止すべきでものです。
吉岡市議は、補正予算に反対する理由として、第1に、マイナンバー制度の普及に関わる予算が含まれていることを挙げました。
また、札幌駅北口駅前広場の通路幅が8メートルから4メートルと狭くなる札幌駅改修関係費が含まれていること、
さらに、小学5、6年生および中学1年生全員に、計4万4065台の「タブレット端末」を配布し、校内LANを整備する経費が含まれていることを挙げました。
「タブレット端末」をもちいた教育については、「教員と専門家などによる検証は不十分で、
今後の維持管理費が本市の財政を圧迫することも明らか。何より、教員不足が叫ばれているときに、情報通信環境に莫大な費用をかけ続けるのは、
財政支出の優先順位としても納得できない。拙速な導入はやめるべき」と主張しました。
「無料低額宿泊所の設置及び運営の基準に関する条例案」については、実質的には、資格のない者が施設長に就任することを可能にしていること、
利用者の人権を保障しうる施設とならない懸念があること、貧困ビジネスとなりかねない要素を含んでいることから反対しました。
2月26日には日本共産党市議団を代表して、太田秀子市議(東区選出)が55分に渡って代表質問を行い、 、新年度予算案、子ども・子育て支援、教員の変形労働時間制の導入、性的マイノリティ当事者の支援などについてただしました。 (詳細はこちらに)
都心部の再開発目白押し
新年度予算案では、南2西3地区や北8西1地区の都心再開発などに38億2千万円余りの補助金や、
北5西1・2地区の札幌駅交流拠点づくり推進費3億3千万円余りが計上されている他、
大通東1街区やMICE(大規模会議・イベント)施設の建設など都心部の再開発が目白押しとなっています。
太田市議は北海道新聞で報じられた「都心開発ばかり進んで地域が取り残されている」という商店街振興組合理事長の声を紹介。「市長はこの声をどのように受け止めているか。
都心部の開発に偏重したまちづくりは、極めてバランスを欠いているのではないか」と市長の見解を問いました。
秋元市長は「再開発を始めとする都心部のまちづくりは、都市の魅力と活力を高め、国内外から人や民間投資を呼び込むことで、市内経済の活性化や税収増による財政基盤の強化を図るもの」と答え、再開発優先の姿勢を変えませんでした。
公共施設の更新、水道耐震化こそ
太田市議は「札幌市においては、築30年以上を経過した公共施設が6割を占め、これらの施設がいっせい更新の時期を迎えており、
市の試算ではこれらの施設の更新や改修にかかる費用は、ピークとなる2024年から2028年の5年間で1兆2千億円あまりとなる」と指摘。
「都心部の再開発に前のめりするのでなく、これら公共施設の更新、耐震化にこそ予算を優先すべきだ」と主張し、市長の見解を問いました。
さらに水道の問題について、「本市の強靭化計画では、配水幹線の耐震化率を現状の40・8%から、4年後に42・2%にする目標で、震災前と殆ど変わりない。一般家庭につながる枝線については、80年かけて耐震化する計画」
と、耐震化の遅れを指摘。「水道管の耐震化を急ぐべき」と、求めました。
秋元市長は、「今後公共施設の更新需要が本格化するが、計画的に更新や強靭化を進めるとともに、将来に向けたまちづくりに必要な取り組みにも予算を配分していく必要がある。
アクションプラン2019で示した15年間の長期財政収支見通しを踏まえ、中期財政フレームに沿った予算編成を行う中で、建設事業費を計上していく」と、あくまで都心部の再開発を優先する姿勢を示しました。
水道の耐震化については、「既設管の保全や長寿命化も図りながら、優占度を考慮し、更新事業を計画的に進めていきたい」との回答に留まりました。
性的マイノリティ当事者への支援を
札幌市は2017年6月より「性的マイノリティに係るパートナーシップの宣誓制度」を開始しました。
本制度の創設について、市は「性的マイノリティの方は、周囲の理解不足による誤解や偏見による生きづらさがあると認識しており、誰もが自分らしく生きるまちにしていくことが必要と考え創設した」としています。
太田市議は「本市は本年4月から、宣誓したカップルが家族として、市営住宅の入居申請をできるようにしたが、性的マイノリティの方に対する偏見や生きづらさは見えにくい形で今も存在している」と指摘。
「秋元市長も昨年の選挙で『多様性や共生社会の実現を具体化する』と述べているが、当事者の意見を良く聞きながら、戸籍上の夫婦と同じサービスを提供するなど、支援を拡充すべきではないか」と問いました。
秋元市長は、「札幌市では市民理解の促進に向けた様々な取り組みを進めてきている。今後は、企業においても性的マイノリティ当事者に配慮した取り組みがさらに広がるよう、セミナーや出前講座を通じて理解促進に努めるなど、多様性を認め合う社会の実現をめざしていきたい」と答えるに留まりました。
教員の変形労働時間制 導入の条件ない
昨年12月安倍政権は1年単位の変形労働時間制の導入を可能とする法案を強行可決しました。
これは、繁忙期には1日10時間まで労働可能とし、閑散期には所定労働時間を短くして、平均で8時間に収める制度です。
文科省は「集中して休日を確保することが可能になる」としていますが、現場の教師からは「閑散期とされている8月は、実際には閑散期と呼べるようなものではない」と切実な訴えがなされています。
さらに、2016年の札幌市の教員勤務実態調査では、月平均の時間外勤務は、小学校で66・9時間、中学校で66・8時間と報告されており、恒常的な残業があります。
太田市議は、「変形労働時間制の導入には『恒常的残業がないこと、残業時間が月45時間以下、年360時間以下』という指針を順守することが付帯決議で条件とされている。
本市の教員の残業時間は指針の上限を超えており、変形労働時間制の導入はできないと考えられるが」と教育委員会の見解を問いました。
教育長は、「長期休業期間中に振り替え休日を取得しやすい環境を整えることが重要と考えている。
引き続き、教員の負担軽減に努めるとともに、変形労働時間制の導入の可否について、今後、国から示される具体的な運用等を踏まえながら、慎重に検討を行っていく」と答え、変形労働時間制の導入を否定しませんでした。
少子化対策に現物給付(窓口負担ゼロ)を
札幌市においても人口の少子高齢化が進んでいます。札幌市の合計特殊出生率は2018年には1・14と低下しました。
市の調査では、子どもの数が少ない理由として、ほぼ70%の子育て世代が、「経済的な負担が増えるから」としています。
フランスでは、1994年に出生率が過去最低の1・66になりましたが、育児休業給付や出産時からの医療費無料化などの現物給付を行い、子育て支援を行ってきました。
その結果、2018年には1・88まで出生率が上がりました。
太田市議はこうした点を指摘し、少子高齢化対策として、子育て支援のための現物給付(窓口負担ゼロ)の拡大を求めました。
太田市議は、「子ども医療費の無料化は来年度小学6年生まで拡大されるが、政令市20市のうち14市はすでに中学3年生以上の助成をしており、本市も小学6年生までのシステム改修を機に、中学3年生まで拡大すべき」と求めました。
さらに、「初診料や入院費用の1割負担、所得制限の保護者負担をなくすべき」と求めました。
市側からは、「現物給付を始めとする経済的な支援の充実は、安心して子どもを産み育てられる環境の整備を図るうえできわめて重要と認識している」としながらも、
「全国的な課題でもあることから、国に対して財源措置も含めた制度の拡充について要望していきたい」と国任せの答弁に終わりました。
都心アクセス道路よりボールパークアクセスを
太田市議は、「都心アクセス道路より、北広島に建設予定のボールパークへのアクセスと負担軽減を考えてほしい」とする声が根強くあると指摘。
ボールパークへは創成川通より2倍も混雑している国道36号線や南郷通、12号線を経由すると考えられ、これらの道路の混雑緩和が必要となります。
太田市議は「混雑もしていない創成川通は1000億円もの巨費を投じるのではなく、右折レーンの整備を中心とした交差点改良とし、
その分軽減される経費は、今後混雑が予想されるボールパークアクセス改善に資する交差点改良等に使うべきだと思うが」と市長の見解を問いました。
秋元市長は「創成川通は都心部と高速道路間のアクセス強化に求められる機能を備えることが必要と認識。
ボールパークへのアクセスについては、国や道、札幌市を含む周辺市町村等による協議会が設置され、検討が進められているところであり、札幌市としても引き続き連携を図っていく考え」と都心アクセス道路に固執する姿勢を示しました。
新型コロナウイルス対策
太田市議は、不安解消と感染拡大防止のため、
正確な情報提供を求めるとともに、保育所、幼稚園、学校、福祉施設での感染予防対策が急がれるとして市の対応をただしました。
秋元市長は、市民への情報提供はホームページ、電話相談窓口、記者発表など様々なチャンネルを通じて行っている。今後とも適時適切に情報提供を行い、
よりわかりやすい情報提供に努めていきたいとしました。また、福祉施設等においては、「手洗いの徹底等の予防策や感染が疑われる場合の対応等について周知しており、
さらに、不特定多数の方が施設に出入りすることを極力抑える事など、配慮を求めた」と答えました。
太田市議は、避難所に配備されている「避難物資」にマスクや手指消毒薬が配備されていないことを指摘。
内閣府は「避難所の感染症予防のため、マスク、手指消毒薬を備蓄しておくことが望ましい」としているとして、
避難所の備蓄物資に、マスクと手指消毒薬を配備し、災害時だけでなく感染症拡大の場合にも提供することを求めました。
秋元市長は、「昨年9月に避難場所基本計画を改定し、マスクや消毒剤等を備蓄することとしており、次年度可能な限り早期の整備を進めたい」と答えました。
日本共産党札幌市議団は2月21日、秋元市長に以下の6項目の緊急申し入れを行いました。
@市民が適切な行動がとれるよう迅速で正確な情報提供。
A感染症に関する相談に十分対応できるよう相談体制の強化。
B民間医療機関に協力を要請し、感染者の受け入れ体制を整える。
C札幌市衛生研究所をはじめウイルス検査体制の強化、拡充。
D高齢者や子どもなど抵抗力が弱い人が利用する福祉施設などへの感染防止策を講ずる。
E感染者対応の職員や公共交通など、感染者との接触があり得る部署の職員の感染防止に万全の対策をとる。
対応した木下保険福祉局長は「収束が見えない状況ですが、適時適切に進めてまいりたい」と答えました。
第4回定例市議会(2019年)
第4回定例市議会は11月28日から12月11日までの日程で開催されました。
自・公、核兵器禁止条約に反対
第4回定例市議会では6件の意見書案が提案されました。
このうち、@あおり運転の撲滅に向けた対策を求める意見書、Aスマート農業の推進による農業の競争力強化を求める意見書、B介護保険制度の継続的改善を求める意見書の3件は全会派一致で採択されました。
しかし、C幌延深地層研究計画の見直しと幌延深地層研究センターの廃止を求める意見書、D日米共同訓練の規模縮小とオスプレイ参加の中止を求める意見書、E核兵器禁止条約の署名と批准を求める意見書は、共産党、民主市民連合、市民ネットが提出会派となって賛成しましたが、自民、公明の反対で不採択となりました。
自・公の核兵器禁止条約に反対する理由としては「核保有国と非核保有国の橋渡しができるように」と、安倍首相が言っているのと同じ理屈を述べ、市議会でもアメリカに追随する姿勢を示しました。
最終日の11日には、佐々木明美市議(手稲区選出)が日本共産党を代表して討論を行い、 国民健康保険へのマイナンバーカードの導入や、特別職の期末手当引き上げなど7件に反対、残余の23件に賛成しました。 (詳細はこちらに)
国民健康保険へのマイナンバーカードの導入
今年5月健康保険法等の一部が改正され、2021年3月からマイナンバーカードが保険証として使えるようにされます。これは一向に進まないマイナンバーカードを普及(札幌で11.4%)させようとする政府の意図によるものです。
国は来年7月から、各保険の情報が正しく取り込めるか事前のテストを実施するとしており、札幌市もそれにあわせてマイナンバーカードが使えるようシステム改修を行うとしました。
しかし、厚労省の資料では「医療・介護分野のビッグデータについて、自治体・研究者、民間事業者に提供できるようにする」としており、
佐々木市議は、「マイナンバーカードの導入は、個人情報を含む医療や介護の情報をビッグデータに連結し、民間企業に開放するためのものであることは明らか」と指摘し、
「さらなる情報を集約し、個人情報の漏えいや国民監視につながるものであり、とうてい容認できない」と反対しました。
新たに入所する子には補助なし
10月から消費税引き上げと引き換えに3歳から5歳児の保育料が無償になりましたが、
副食費は実費徴収となりました。これにより、年収360万円から369万円相当の世帯の第2子の副食費が支払っていた保育料より高くなります。
現在入所している子の世帯には、市が差額を補助するとしています。しかし新たに入所する子の世帯には補助はありません。
佐々木市議は「『子育て支援』という目的で保育の無償化が進められてきたことに照らし、当該年収世帯の第2子の副食費を、かつての保育料と同額となるよう本市独自の制度を設けるべき」と主張し、食費の取り扱いを変更する条例改定に反対しました。
特別職の給与改定に反対
札幌市人事委員会勧告による一般職の給与改定に伴い、市長や市議会議員などの特別職の期末手当も0.05カ月分引き上げることが提案されました。
佐々木市議は「特別職給与を一般職に準じさせる法的な根拠はなく、市民の理解が得られるものではない」として、引き上げに反対しました。
市立デイサービスセンター
市立のデイサービスセンターは唯一「屯田西老人デイサービスセンター」がありますが、市は老朽化と民間の通所介護施設が増加していることを理由に、来年3月で廃止するとしました。
佐々木市議は、「市は『必要性は低い』としているが、高齢者は今後増える見込みであり、『必要性は低い』との根拠は不明確と指摘。また、「公的施設を維持するため改修の計画を立て、その財源を確保することは当然のこと」と指摘し、「施設を維持すべき」と主張しました。
また、この施設は市営屯田西団地と隣接しており、集会所との合築であることから、福祉施設などと連携し、市営住宅をグループホームなどとして活用するモデルケースになりうるものです。
佐々木市議はこうした可能性を生かし、本センターを廃止するのでなく、公的施設として役割を発揮するよう求めました。
借上市営住宅廃止に反対
市が借上げ市営住宅としているシビックコート苗穂駅前及びMILD発寒の2団地について、賃貸借契約期間の満了に伴い、廃止するとされました。これにより、市営住宅は59戸減ることになります。
札幌市は「住宅マスタープラン2018」により、今後11年間で借上市営住宅1178戸をすべて廃止する計画です。借上市営住宅は、比較的新しく、交通の利便性が良く、全てにエレベーターが設置されていることから、応募倍率が高くなっています。
佐々木市議は、「札幌市の住宅総戸数のうち、市営住宅が占める割合は、政令市平均より低く、応募倍率は、依然高いまま」である事を示し、借上市営住宅の廃止に反対しました。
教職員部活手当減額に
国の義務教育費国庫負担金のうち部活動指導業務にかかる手当額が見直されました。これに伴って札幌市は、教職員の部活手当を、これまで4時間以上従事した場合3600円だったものを、3時間以上従事した場合2700円へと引き下げるとしました。
これにより部活動指導に当たるより多くの教員に支給される可能性がある一方で、練習試合や大会、合宿など、長時間に及ぶ指導にあたる教員にとっては、支給額が減らされることになります。
見直しにより、8900万円程度が削減される見込みです。手当額の引き下げとなることから、佐々木市議はこれに反対しました。
五輪マラソンコースの道路整備
東京オリンピックのマラソン及び競歩が札幌で開催されることになりましたが、このコースとなる道路の舗装等に係る工事(7億円)については、「市民負担を最小限にすること、沿道住民や一般道路利用者への影響を最小限にとどめること」を条件に、賛成しました。
12月5日には日本共産党市議団を代表して、千葉なおこ市議(南区選出)が55分に渡って代表質問を行い、 市長の政治姿勢、都心アクセス道路、待機児童問題などについてただしました。 (詳細はこちらに)
「桜を見る会」、十分な説明を
「桜を見る会」については、多くの国民が疑惑を抱いており、市長がどんな見解を持っているかは市民としても関心のある所です。
千葉市議は「公的行事の私物化であり、疑惑について予算委員会の開催にも応じないというのは、首相自らが政治を堕落させるものであり、恥ずべきことと考えるが」と指摘し、市長の見解をただしました。
秋元市長は「政府は、十分な説明を行うとともに、国民が疑念を抱くことのないよう対応して頂きたい」と答えました。
カジノ誘致について、課題があると認識
カジノ誘致について千葉市議は、「苫小牧市は誘致推進決議を10月に可決したが、苫小牧市の構想ではカジノの顧客の中心は札幌市民と見込んでいる。知事は誘致を見送るとしたが、誘致の可能性を残している。
ギャンブル依存症など札幌市民の健康と生活を破壊しかねないカジノ誘致には反対すべきではないか」と市長の考えを問いました。
秋元市長は「カジノ施設を含む統合型リゾートについては、ギャンブル依存症への対策などの課題があると認識。知事が2021年7月までの申請を見送ると表明したと承知しており、引き続き状況の把握に努めて参りたい」と答えました。
豊平川の洪水対策
近年豪雨災害が頻発しています。豊平川も危険性が指摘されています。千葉市議は「豊平川は日本でも急な河川に分類されており、流れが速く氾濫が起きやすい特徴がある。
今後、気候温暖化により北海道は雨量が増加すると見込まれている」と指摘し、気候変動を見据えた豊平川の流量予測やそれをふまえた、洪水対策について問いました。
市側からは「近年、全国的に計画規模を超える洪水が頻発していることから、国が管理する豊平川についても、整備計画の見直しに着手し、現在、有識者による計画流量等の論議が行われている所と承知している。
市としても国や道と連携し、治水安全度の向上に努めて行きたい」との回答がありました。
待機児童はゼロでなく、1947人
保育所の待機児童数について、千葉市議は「市の待機児童数は国定義(自宅や職場の近くなど特定の保育所を希望して入所できていない者等は含めない)の数に変更され、ゼロ(4月時点で)とされているが、
国定義からはずれた『隠れ』待機児童は1947人にもなっており、施設整備等による定員拡大があっても追いつかない」と指摘。
国定義の数値を用いている理由を問いました。
これに対し、秋元市長は「これまでと同様に国定義による目標値を設定した」と答えるだけでした。
千葉市議は、自身の子どもが保育所に入れず、やむをえず幼稚園を選択した経験を語り、「安心して預けられる認可保育所の充実が子育て世代の願い。認可保育所の充実を」と訴えました。
認可外保育施設、質の確保を
10月から認可外保育施設も『特定子ども・子育て支援施設』として、保育無償化の対象とされましたが、保育士の配置は認可基準の1/3以上とされるなど、保育の質は確保できるのかと心配の声が上がっています。
千葉市議は、「国は5年の経過措置で、認可施設に移行するための支援等を行うとしているが、市として保育の質をどのように確保していく考えか」と問いました。
市側からは、「認可外保育施設については、年1回の立ち入り調査を実施し、結果をホームページで公表するとともに、改善に向け指導を徹底することにより保育の質を確保していきたい」との回答がありました。
恣意的なアンケート
都心アクセス道路については市が2016年にパネル展アンケートを、2018年には開発局が創成川通りアンケートを行いました。丘珠空港についても市が2018年にアンケートを行いました。
しかし、いずれのアンケートとも、「期待する効果」や「現状の課題」について答えさせるもので、これに回答すれば「開発の必要性を感じている」とされるものでした。
千葉市議はこの点を指摘し、「これらのアンケートが公平・中立なものであったと考えるか」と問いました。
市側からは「必要性だけでなく、市民の考えを広く聞くことが重要との考えのもとに伺ったもの。様々な意見を伺うことができたと認識」との回答がありましたが、アンケートの中身は、賛否を含めて広く意見を聞く内容ではなく、市の対応には問題があります。
都心アクセス道路水没の危険
総事業費1000億円を超える都心アクセス道路の建設について、地下整備案が再浮上してきています。地下構造にすれば、集中豪雨が頻発する昨今、豊平川の氾濫で水没しかねません。
千葉市議は「全線地下構造のアクセス道路は、集中豪雨が頻発する時代に逆行した無謀な道路建設」と批判。「昨今の気候変動、集中豪雨についてどのように検討してきたのか」と問いました。
吉岡副市長は「今後、降雨に対する排水能力等の適切な設計が行われるものと認識しており、市としても必要な措置について国に求めていきたい」と国任せの対応に終始しました。
”市民の意見聞いた”と言えないパブコメの問題
札幌市は毎年20件ほどのパブリックコメント(パブコメ)を行っていますが、意識してホームページにアクセスしない限り、パブコメの実施を市民は知ることができない状態です。意見提出はほとんどが一桁と少ない状態です。
千葉市議は「これで市民の意見を聞いたといえない。このような周知方法や期間(30日間)では市民にほとんど利用されない」と指摘し、市の考えを問いました。
市側からは「パブコメは一定数の意見をいただいており、市民参加の一つの方法として機能しているものと考えている。募集期間の延長など、市民にとって意見を出しやすい運用に努めて行きたい」との回答がありました。
貧困化が進む中での市営住宅政策は
千葉市議は、札幌市の住宅総戸数に占める市営住宅の割合は2.7%で、政令市平均の3.3%より低く、総借家数に占める割合も6.7%で政令市平均の8.7%より低いことを指摘。
さらに、札幌市では年収122万円を下回る相対的貧困世帯層とその1.4倍未満の低所得世帯層が33.7%を占め、要保護および準保護児童生徒数は1995年の6.1%から2016年に15.2%へと増加し、貧困化が進んでいることを指摘。
しかし、「市営住宅の役割がますます重要になっているにもかかわらず、市は市営住宅を減らしていく方針であるが」と、市の住宅政策を問いました。
市側からは、「低所得者を含む住宅確保要配慮者は、今後も増加傾向が見込まれるので、これらの方々の住居の安定確保は、住宅マスタープラン2018にも位置づけている。市営住宅だけでなく、民間住宅への入居促進も図り、住宅市場全体でセーフネットを構築していく」との回答がなされ、市営住宅を増やす方向は示されませんでした。
市営住宅のグループホームなどへの活用
大阪府では1996年から、府営住宅等を高齢者・障がい者のグループホーム等として活用することを可能にし、2014年の調査では、障がい者グループホーのある共同住宅の64%を公営住宅が占めています。札幌市の市営住宅では、65歳以上の高齢者の入居割合が46%と高くなっていることから、
千葉市議はこうした大阪府の例を示し、「市営住宅を介護や医療・福祉分野で活用すること(目的外使用)をすすめるべきでは」と問いました。
市側からは、「市営住宅の活用は、的確にニーズを把握し、必要に応じて実施すべきものと認識しており、目的外使用については社会法人等の要請があれば、大阪府等の事例も参考に対応していきたい」と前向きな回答がなされました。
特別支援学級、経験者を正職員に
千葉市議は、教員の変形労働時間制の導入について反対するとともに、必要なのは教員の増員であると指摘。
特別支援学級の問題について、「現在、小中学校の特別支援学級には3000人を超える多くの子どもが在籍しているが、教員の5人に1人が期限付き」と指摘。
「特別支援学級では専門性が求められることから、教員定数を増やし、経験のある期限付き教員を積極的に正規職員にすべき」と求めました。
市側からは、「受験資格の年齢用件をこれまでの39歳から59歳に緩和したところであり、今後も引き続き、経験豊富な正規職員の採用に努めて行きたい」との回答がありました。
第3回定例市議会(2019年)
第3回定例市議会(決算議会)は9月17日から10月28日までの日程で開催されました。
2018年度の各会計歳入歳出決算に反対
2018年度の各会計歳入歳出決算の認定については、
@個人情報の流出を完全に防ぐ手だてのないマイナンバー関連経費、
A個人情報の流出の可能性が懸念されるICT(情報通信技術)関連事業費、
B都心アクセス道路関連経費
が含まれていること、
C教育、福祉現場での職員削減が行われたことなどから、
反対しました。 (詳細はこちらに)
幼保無償化−副食費の実費徴収による負担増なくせ
池田ゆみ市議は決算特別委員会で保育の無償化について質問。無償化と言いながら、給食副食費の実費徴収で負担が増える世帯があることを指摘。副食費の助成を求めました。
池田市議は、幼児教育保育の無償化により、10月から3歳から5歳児の保育料が無料になるが、その財源とされる消費税10%への増税は、「低所得の子育て世帯にとって重い負担となることは明らか」と強調。
同時に、保育料が無償化される一方、公定価格に含まれていた給食副食費4500円が実費徴収されることになるとして、「この費用が保育料を上回り、負担が増える階層があるのではないか、また、その対応はどうするのか」と問いました。
押見支援制度担当部長は、「保育料よりも副食費が高くなる逆転現象がおきる世帯については、その差額分を補助し保護者の負担が増えないよう対応する。逆転現象となるのは26世帯」と答えました。
池田市議は、また、世帯収入369万9千円で4人家族の場合、就学援助が受けられ、小学生の上の子はこれによって給食費はかからないが、保育園に通う下の子は給食費がかかるとのべ、「こうした矛盾をどう考えるのか、対策が必要ではないか」、また、副食費が実費徴収となれば「多忙化が社会問題となる保育士の事務負担がさらに増えるのではないか」と問いました。
押見部長は、「学校教育と保育については費用負担のあり方が違う」と制度の違いを強調。また、「一定の事務負担が伴うことは認識している」「今後、事務の負担については注視していきたい」と答えました。
池田市議は、「世帯収入が360万円をぎりぎり上回る世帯にとって、4500円の副食費は決して低い負担ではない」とのべ、「経済状況による副食費の滞納で保育が中断されることはあってはならない」と指摘。さらに、明石市などのように「本市も副食食材費への助成を行うべき」と主張し、「認可保育園で副食費の全額公費負担するといくらになるのか」とただしました。
押見部長は、「副食費の滞納を理由に児童を強制的に退所させることは児童福祉法の解釈上できない」、助成については「今後、他都市における副食費の取り扱いを注視していきたい」、費用について「年間6億程度の財源が必要」とのべました。
子どもの就学援助、拡充を
池田ゆみ市議は決算特別委員会で、就学困難な子どもたちを支援する就学援助の拡充を求めました。
池田市議は、「学校教育法で、就学困難と認められる児童生徒に対して、市町村は必要な援助を与えなければならないとされており、子どもの貧困対策にとって就学援助は極めて重要」と強調。党市議団がくり返し取り上げ、「今年から小学生の入学準備金の支給が2月になったが、就学援助の取り組み状況はどうか」と問いました。
早川教育推進・労務担当部長は、「今年度、準備金を受けた方のおよそ4分の3にあたる1310世帯に入学前の支給ができた」「一部に制度を知らなかった方もおり、就学児健康診断の案内で保護者に通知するなど周知に努めたい」とのべました。
池田市議は、「あわせて支給費目の拡充が必要」とのべ、今年3月、国が卒業アルバムと卒業記念写真の購入費を「補助対象費目」に追加する通知を各自治体に出しているとして、「本市も支給費目に加えるべき」と求めました。
早川部長は、「平成30年度に中学校の生徒会費を新たに追加し、拡充を図ってきた」とし、「さらなる費目の追加については社会状況や財政状況を踏まえ検討したい」と答えました。
池田市議は、「卒業時には出費も非常に多く、家庭には大きな負担」「本市の試算で小学6年生と中学3年生の卒業アルバムと卒業写真にかかる費用は4000万円程度」だとして実施を求めました。
また、「クラブ活動費とPTA会費について、2017年の就学援助審議会の答申で、追加に努めるべきとの考えが示されている。加えるべきではないか」とただすと、早川部長は、「財政状況を勘案しながら…」とくり返しました。
池田市議は、「本市の試算ではクラブ活動費は約2300万円、PTA会費は約4500万円であり、子どもたちにかかる予算こそ最優先すべき」と実施を求めました。
加齢による難聴、補聴器助成を
池田ゆみ市議は決算特別委員会で、加齢性難聴の補聴器助成について質問しました。
池田市議は、本市が掲げる「生涯現役社会の実現につながる社会参加の拡大」にとって環境整備がなにより重要とのべ、特に「加齢による難聴は家庭でも社会的にも孤立しやすく、高齢者の社会参加のバリアーとなっている」と指摘。
「難聴になっても社会参加できる支援が必要と考えるが、本市の補聴器の助成制度はどのようなものか、高齢者が支援を受けられているのか」とただしました。
佐々木高齢保健福祉部長は、「身体障害者手帳をもつ聴覚障害者に補聴器を交付しており、手帳のない軽度・中等度の難聴がある子どもの保護者に購入費助成などを実施している」と答えました。
結局、対象となるのは18歳以下の子どもたちと聴覚障害6級の認定を受けた方で、加齢による難聴への補聴器の補助はないということです。聴覚障害6級とは聴力レベルが70デシベル以上で、40p以上離れると会話の内容がわからない重度の状態です。
また、補聴器は片耳分だけで10〜20万円と高額です。
池田市議は「助成など支援が必要と考えないのか」とただすと、佐々木部長は「加齢に伴う身体機能の低下は多くの方に生じ、多額の費用が見込まれるため慎重な検討が必要」と答えました。
池田市議は、国の「認知症施策推進総合戦略」には難聴が認知症の危険因子と明記され、WHO(世界保健機関)も中等度といわれる41デシベル以上で補聴器の使用を推奨しているとのべ、「補聴器の使用が重症化を防ぎ、高齢者が主体的に社会参加していくことにもなる。
東京7区をはじめ千葉県浦安市、岩手県大船渡市などでも実施しており、本市も検討を開始すべき」と求めました。
佐々木部長は、その必要性を「認識はしている」が、現在の助成制度は国の補助制度により実施されているもので、「高齢者への支援については国が検討すべき」と述べ、市独自の対応には応じませんでした。
第3回定例市議会(決算議会)は10月2日本会議を開き、補正予算等の採決を行いました。
日本共産党からは田中啓介市議(西区選出)が代表討論に立ち、7件の案件に反対し、残余の12件に賛成しました。
(詳細はこちらに)
2018年度の一般会計決算剰余金は44億7千万円余りとなりました。このうち、23億円を財政調整基金に積み立て、残りの繰越金のうち10億円を冬季オリンピック基金に積み立てるとする案が示されました。
田中市議は、今回の積み立てで、基金は50億円余りになるが、冬季オリンピック招致については、市民の意見は賛否が拮抗していることを指摘。
一方、胆振東部地震の被災者はいまだに暮らしの見通しを持てずに不安な気持ちで暮らしており、「繰越金はこうした被災者や、経済的理由によって修学が困難な学生・生徒の支援など、市民から要望が強い施策に使うべき」と主張し
、冬季オリンピックのための積み立てに反対しました。
幼児教育・保育無償化により施設等の利用費支給事務など新たに発生する業務を、札幌市子ども・子育て支援事務センターへ外部委託することが提案され、そのために市はシステム改修を行い、市職員以外でも個人情報を扱うことを可能にするとしました。
田中市議は、「札幌市イントラネット利用要領で『市職員以外は、システム操作等が不可』と定められているように、この業務は本来、市職員が行うべきもの。個人情報の漏洩リスクが高まることは明らか」と指摘。
これらの案件を含む補正予算に反対しました。
地方公務員法及び地方自治法の一部改正に伴い、来年4月から、一般職非常勤職員、臨時職員のほとんどが会計年度任用職員とされます。これに伴い、「札幌市会計年度任用職員の給与等に関する条例案」が提案されました。
この間、市は正規職員の定数削減をすすめる一方で、臨時・非常勤職員を増やしてきました。その上、会計年度任用職員制度によって任用期間を会計年度範囲内に限定し、最長1年という有期雇用を制度化することは極めて問題です。
しかも、現在、フルタイムで働いている臨時的任用職員1000人のうち930人を週30時間のパートタイムにして、報酬面でも退職手当の対象から外すことにしています。
田中市議はこれらの問題点を指摘し、「会計年度任用職員制度は市職員のなかに不安定・低賃金の非正規雇用を固定化、拡大するもの」として、本条例及び関連する条例について反対しました。
9月25日には日本共産党を代表して、佐藤綾市議(白石区選出)が代表質問に立ち、市長の政治姿勢や新幹線札幌延伸に伴う、残土処理の問題などをただしました。
(詳細はこちらに)
佐藤市議は「消費税が10%に引き上げられれば、軽減税率やポイント還元を講じたとしても、消費は大きく落ち込み、本市経済に重大な影響を与えると考える」として、市長の認識を問いました。
また、「消費税10%に伴いインボイス制度が導入されることにより、倒産や廃業に追い込まれる中小零細業者が増大する」として、市の対応をただしました。
秋元市長は「消費税率の引き上げは、国政の場において決定されたもの。経済への影響は、国がプレミアム付き商品券など対策を講じているところであり、今後の経済の動向を注視していく。
インボイス制度については、円滑な導入に向け、経過措置や特例措置が設けられていると承知している。国において様々な措置が講じられるよう働きかけていく」と国言いなり、国任せの答弁に終わりました。
佐藤市議は、「市内のカニ料理店で、この秋に1500席を超えるキャンセルが出たり、定山渓温泉で予約が半減した宿泊施設もある」と指摘。
韓国人観光客の減少をどの程度と見込んでいるか、市の経済に与える影響についてどのように試算しているかを問いました。
秋元市長は「観光庁の集計では、本年8月の訪日韓国人旅行者数は前年同月比で48%の減少となっており、札幌市においても同程度落ち込んでいる可能性がある。
観光庁によれば訪日韓国人旅行者の1泊当たりの消費単価は約1万9千円とされており、札幌市経済にも一定の影響があると推測している」と、観光庁頼みの答弁に終わりました。
参院選で札幌駅前での安倍首相の演説に対し、「増税反対」の声をあげたり、プラカードを掲げようとした市民が警察に排除されたました。
これに対し抗議と批判が起こっています。
佐藤市議は「今回の警察の対応は有無を言わせず強制排除するもので組織的に行われたものとしか考えられない。時の権力の意に沿わない者は排除するというもので、『不偏不党かつ公正中立』で『個人の権利や自由の干渉に渡る等』権力の濫用があってはならないとする警察法を逸脱するもの」と指摘、市長の見解を求めました。
秋元市長は「警察の活動は法律に基づき不偏不党かつ公正中立に行われることが重要であると認識」と、通り一遍の答弁に終わりました。
北海道新幹線は年100億円の赤字続きにもかかわらず、2030年完成をめざし札幌までの延伸工事が進められています。札幌周辺のトンネル工事ではヒ素などの有害物質を含む「要対策土」が大量に発生すると見込まれています。
市は「要対策土」受入地の公募を行い、厚別区山本、手稲区金山が候補地となりましたが、住民説明会で住民から猛反発を受け、事前調査を保留せざるを得なくなっています。
佐藤市議は、秋元市長が8月23日の記者会見で、手稲には浄水場の水源地があり土砂災害警戒区域に指定されているにもかかわらず、「鉄道・運輸機構から、それに十分対応できるということで、候補地にした」
と答えたことを批判。市長は住民の立場に立っておらず、住民の不満や不安を増大させ信頼をなくしているのでは」と迫りました。
市側は、「住民の理解なしに進めることはできない」としつつも、「あくまでも事業を進めたい」としました。
佐藤市議は「住民の納得がないまま工事を進めることのないよう、国に申し入れるべき」と強く求めました。
第2回定例市議会報告(2019年)
第2回定例市議会は6月13日から7月5日の日程で開催されました。
池田ゆみ市議は、6月13日大都市税財政制度・災害対策調査特別委員会の副委員長に選出されました。
(写真は就任あいさつをし(右)副委員長を務める池田市議)
6月20日には吉岡市議が代表質問に立ち、胆振東部地震による宅地復旧支援補助の拡充、子ども医療費無償化の拡充などを求めました。
(詳細はこちらに)
吉岡市議は、胆振東部地震では全壊105、半壊774、一部損壊5765件の家屋被害が出ており、5月末で127世帯が市営住宅などに仮住まいをしていることを指摘。
被災された多くの皆さんは、今後の見通しも持てず不安な気持ちで日々を暮らしているが、今後市長はどのように被災者の声を聞いていくつもりかと問いました。
吉岡副市長は「被害の大きかった里塚地区の他、美しが丘等の地域でも町内会を通した説明会で情報の共有を図るとともに、ご意見をうかがってきた。今後も被災者の声に耳を傾けながらしっかりと支援を行っていく」と答えました。
さらに吉岡市議は、市の宅地復旧事業について「この事業は対象工事に対し、最高200万円まで補助するものであるが、地盤改良に1000万円かかると言われた方もいる。
熊本地震では最高限度額が633万円となっており、補助の底上げが必要と考える」とし、「国に対しどのように要請してきたか」と問いました。
吉岡副市長は「宅地復旧支援事業については、市長や副市長が国交大臣をはじめ関係省庁に支援を要請してきた」と答えました。
一部損壊への支援については、「家屋被害の86%が一部損壊であるが、支援は義援金による最高額が30万円まで。しかし一部損壊の補修には数百万かかっている例もあり、国のメニューなどを使ったさらなる支援が必要」と指摘。
昨年11月の参院農林水産委員会で、共産党議員の質問に、国交省は「従来からの国の事業である『住宅・建築物安全ストック形成事業』の『効果促進事業』を胆振東部地震の一部損壊にも適用できる」と答えており、
6月には共産党の要請に対し、国交省は「北海道と市町村がやりとりして、支援策の具体化について深めている」としているが、「道とどのようなやりとりをしているか」と問いました。
吉岡副市長は「安全ストック形成事業は耐震化等を促進するための事業で、道からは『地震被害の復旧のみを目的とせず、耐震性を向上させる工事費用は対象となる』との通知を受けており、住宅の耐震改修工事に対する補助制度においてはこの通知に基づいた運用をしている」と答えました。
子どもの医療費無償化については、今回の補正予算で、来年4月から小学3年生まで、2021年度から小学6年生まで無償化されることとなりました。
これについて、吉岡市議は「小学6年生まで拡大するということで喜ばれているが、全国では中学卒業まで拡大している自治体は86%、道内でも7割で実施されている。札幌市が遅れていることについて市長はどう考えているか」と問いました。
また、「補正予算では1年かけてシステム改修をして、小6まで拡充するとしているが、改修経費節減の面からも、中学3年までを対象としたシステム改修を決断すべき」と求めました。
秋元市長は、「住む地域で格差があることは好ましくないと認識している。引き続き国による新たな助成制度を強く求めていきたい。さらなる年齢拡大については市民要望も多く、重要課題と認識しているが、まずは公約に掲げた小6までしっかり取り組んでいきたい」と答えました。
第2回定例市議会は最終日の7月5日、本会議が開催され、議案の討論と採決が行われました。
日本共産党の代表討論には、北区から選出された長屋市議が立ち、一般会計補正予算他5件の案件に反対し、残余の12件に賛成しました。
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札幌市政について、長屋市議は「市長は、新幹線の札幌延伸に向けた都心部の再開発を推進する一方で、 @虐待による女児衰弱死で開設が急がれる第2児童相談所について、『検討を加速する』という程度で、深刻な課題という認識が薄い、A公約で、女性の活躍や、子どもが健やかに育つ街を掲げながら、保育人材の確保や子育て世帯の負担軽減は極めて不十分」と指摘。 さらに、「労働法制の規制緩和で、非正規雇用が増大し、医療・介護の保険負担が暮らしを圧迫している」として、市民生活を応援する施策の思い切った拡充こそ求められるとしました。
一般会計補正予算については、@個人情報の漏洩やプライバシー侵害のおそれがあるICT(情報通信技術)活用戦略推進費が盛り込まれていること、
A10月から予定されている消費税増税に対応した飲食店等への決済端末導入補助が含まれていること、B富裕層向けホテル誘致推進費が含まれていること、C各種業務の委託化が想定されていること、から反対しました。
決済端末の導入は決済業者に支払う手数料負担により店の経営が困難になることが予想されるとともに、購買データをICT活用に無償提供することが補助の条件となっており、個人情報の漏洩にもつながるものです。
富裕層向けホテル誘致はすでに京都、奈良で行われていますが、誘致のために様々な税の軽減や土地利用規制の緩和が行われています。札幌はこれらの都市と競争することとなり、規制緩和競争の渦中に巻き込まれることになりかねません。
札幌には豊かな自然と食、冷涼な気候という有利な条件があります。こうした条件を生かし、富裕層を含めた外国人観光客に札幌を十分に楽しんでもらうことは可能で、誘致のための施策は不要です。
厚別区のもみじ台団地の地区整備計画に関わる「札幌市地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の一部を改正する条例案」については、「閑静な住宅街を損ないたくない」、「路上駐車や騒音が増加する」との意見があり、地域住民との十分な合意ができていないことから反対しました。
その他、10月からの消費税増税に対応した案件、市電の上下分離に関わる案件については、消費税増税反対、市の事業の民営化反対の立場から、反対しました。
公約実現に全力つくす
躍進した共産党市議団、街頭から決意表明
4月の市議会議員選挙で10名に躍進した日本共産党市議団は、議員がそろって全区をまわり、札幌市政に臨む決意を述べるキャラバンを行ってきました。
豊平区には5月26日午後入り、豊平東光ストア前で訴えました。
池田ゆみ市議は、「市民要求の実現に頑張りたい。とりわけ子どもの貧困対策として、クラブ活動なども支援できるよう就学援助の拡充を図りたい」と決意を述べました。
清田区から当選し、市議会の建設委員となった吉岡市議は「月寒の地震被害も、市として道路と宅地を一体的に復旧して欲しいというのが市民の願い。願い実現に頑張りたい」と決意を述べました。
決意を述べる池田市議
臨時市議会報告(2019年)
市議選後初の臨時市議会は5月13日に開会、14日には補正予算の審議と採決が行われ、日本共産党を代表して、池田ゆみ市議が討論に立ちました。
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国民健康保険料の賦課限度額の引き上げ(93万から96万円へ)について、池田市議は、賦課限度額はほぼ毎年引き上げられていること、今回の引き上げは中間層の保険料軽減のためと言うが、中間層の軽減は年間700円程度と少ないことを指摘。
全国市長会、全国知事会が国に要望している公費の投入を強く求めると共に、市としても独自に一般財源からの繰り入れを増やし、「どの世帯も払える国保料にすべき」と強く求め、限度額の引き上げに反対しました。
介護保険条例の改定については、「消費税率の引き上げ分を原資に、介護保険料の軽減を行うものであるが、軽減といえども負担は依然として重く、さらに消費税増税による負担が重くなる」として反対し、
消費税によらない税金の投入を国に求めるとともに、市としても所得に見合った介護保険料に引き下げるよう求めました。
13校の学校の校舎や体育館が国の耐震基準を満たしていないことが判明した問題で、池田市議は「建築基準法改正時に正規の診断を行っていれば防ぐことができた」と指摘。子どもの安全安心を第一に考えるべき教育委員会として、二度と同様の事を起こさないよう充分に検証し、今後の対応に活かすことを求めました。
さらに、災害時に避難所となる学校の耐震化は地域住民にも関わる重要な課題であるとして、地域住民への情報提供など丁寧な対応を求めました。
地方自治法に基づき、札幌市には4人の監査委員が置かれています。このうち議会から2人の監査委員が選出されます。
札幌市は議会選出の監査委員については、1993年以降ずっと、第1会派、第3会派所属議員を選任し続けてきました。
今回公明党と並んで共産党が第3会派となりましたが、選挙前勢力で共産党を上回る公明党を第3会派と位置づけ、監査委員には自民党と公明党の議員が市長から提案されました。
これについて日本共産党から小形市議が質問と討論に立ち、かっては第3会派と第4会派から監査委員を選出していた時のあったことも指摘。
第4会派の時も、第3会派になっても、共産党を監査委員の選出対象から排除するという不正常な事態はすみやかに解決すべきだ」と求めました。
提案された人事案については、「人物に問題があるということではなく、人選の仕方に問題がある」として反対しました。
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全区で議席、10名の市議団に躍進
4月7日投開票された札幌市議会議員選挙で、池田ゆみ市議は前回から2000票余り得票を伸ばし
12,090票、第3位で二期目の当選を果たしました。
隣の南区、清田区でも接戦を勝ち抜いて議席獲得。20年ぶりにすべての区で議席を獲得し10名の市議団に躍進しました。
写真:当選を喜ぶ、左から池田ゆみ(豊平区)、千葉なおこ(南区)、吉岡ひろこ(清田区)
第1回定例市議会報告(2019年)
新年度予算を審議する第1回定例市議会は2月8日から3月6日の日程で開催されました。
2月19日には日本共産党を代表して村上市議が代表質問を行いました。
最終日には日本共産党を代表して小形市議が代表討論を行いました。
開発優先の予算に反対
小形市議は、新年度の一般会計予算案他34件の案件について反対、残余の10件について賛成の討論を行いました。
小形市議は、「新年度予算は市長、市議の改選前の予算で骨格予算とすべきもの」と指摘。市長は提案説明で、「間断なく進める必要がある事業についても盛り込んだ」と述べたが、連携中枢都市圏にかかわる40億7千万円や、「AIを活用した研究事業費」3500万円などは、「間断なく進める必要」はなく、時間をかけて議論をすべきもの」と指摘。
「改選後の新しい市長と新しい議会のもとで審議すべきものであり、骨格予算案に盛り込むことは容認できない」としました。
また、「創成川通機能強化に関する検討調査費500万円が計上されているが、今まで市がおこなってきたアンケートは市民の意思を市の思惑に誘導する内容のもので、問題がある。本予算は不要な都心アクセス道路建設に道を開くもの」として反対しました。
さらに「公共性に乏しい北8西1の再開発事業に対する民間再開発促進費6億8千万円、国民監視と個人情報の漏えいの危険が伴うマイナンバー関連費6億円余りが含まれている」として、一般会計予算に反対しました。
「幼児教育・保育の無償化」 8000人対象外
無条件で第2子の保育料無料化を
池田ゆみ市議は、予算特別委員会で今年の10月から実施が予定されている幼児教育・保育の無償化について質問しました。
無償化の財源を消費税としていることは問題ですが、幼児教育・保育の無償化は、子育て世帯にとって嬉しいことです。しかし、今回の無償化は、3歳から5歳の子どもと、住民税非課税世帯の0歳から2歳の子どもが対象です。
そのため札幌市では、0歳から2歳の子ども8000人が無償化となりません。
また、今回は無償化と言いながら、給食の食材費は実費徴収が導入されます。市民税非課税世帯の保育料3300円は無料になりますが、給食の食材費は副食材料費だけでも4500円が徴収される予定です。
無償化といいながら、給食食材費の実費徴収で負担が増える世帯が生ずる事がない様、早急に対策を講ずることを求めました。
さらに、札幌市の第2子無償化制度では、上の子を保育園に在園している子どもとしているので、上の子が小学生になれば第2子とみなされず、保育料が無料となりません。全ての第2子が対象になれば、無償化から外れる8000人のうち相当数の子どもの保育料が無料になるはずです。
上の子の「在園条件」を無くし、無条件で第2子すべてを無料にすべきと求めました。
秋元市政は市民の声聞く姿勢あるか
村上市議は、都心アクセス道路のアンケートでも、日ハム球場を真駒内に誘致するアンケートでも、建設や誘致を前提とし、市の思惑に誘導する中身で、反対する人にとっては意見を表明できにくいものであったと指摘。
また、厚別区の上野幌小学校と青葉小学校の統廃合についての説明会も、「統廃合ありき」の説明会で、「統廃合に反対だ、今からでも話し合いを要望したい」との声が多数出され、丘珠空港拡張についても拡張の必要性を強調する誘導的対応がなされたと指摘しました。
その一方で、胆振東部地震では、被害の大きかった清田区の第1回説明会には市長は出席せず、住民から強い不満が出されたことを指摘しました。
村上市議が「市民との双方向の対話の重要性について、どのように認識しているのか」と市長に問いただしたのに対し、秋元市長は、「可能な限り、市民との対話の機会創出に努める」との言い訳に留まりました。
消費税増税受け入れ、軍拡予算国任せ
村上市議は勤労統計不正によって賃金水準が「かさ上げ」されていたことが明らかとなり、消費税増税の前提が崩れたと指摘。「10月からの消費税率の引き上げは中止すべきだと考えるが」と市長の見解を問いました。
秋元市長は、「消費税増税は国政の場で決定されたもの。札幌市においても、増収分を幼児教育・保育の無償化や、介護保険料の軽減拡大といった施策に活用することとし、新年度予算に反映している」と答え、
増税が市民のくらしに与える影響や、消費の落ち込みが札幌経済に与える影響には言及せず、国で決めたものとして無批判に受け入れる姿勢を示しました。
村上市議が、1機116億円もするステルス戦闘機F35を105機も購入する武器の爆買いなど、政府の軍拡予算について市長の考えを聞いたのに対しても、秋元市長は「国会において審議を尽くして頂きたいと考えている」と国任せの答弁に終始しました。
子どもの多い世帯に重い国保料
村上市議は、「国保には協会けんぽなどにはない『平等割、均等割』があり、世帯員、特に子どもの数が多い世帯ほど保険料が高くなる逆進性を有している。
札幌市の場合、年収400万円4人家族で国保料は41万円なのに対し、協会けんぽでは約20万円と倍以上の負担となる」と指摘。
「全国知事会も1兆円の公費負担で『協会けんぽ並』に引き下げることを求めている」と語り、仙台市では、所得制限なしで国保に加入するすべての子どもの「均等割」を一律「3割減額」したことを紹介。
札幌市の出生率は20政令市中最下位。あらゆる手立てを尽くした子育て支援が求められており、「子育て世帯に対して国保料軽減策を検討すべき」と求めました。
これに対し、岸光右副市長は「加入者の負担感は強いと認識しているが、同様の措置を取ることは難しい」と拒否しました。
第4回定例市議会報告(2018年)
特別職の期末手当引き上げ、
指定管理者への移管、新さっぽろの市有地売却に反対
第4回定例市議会は11月29日に開会、12月13日に閉会しました。最終日の本会議では、日本共産党市議団を代表して池田ゆみ市議が代表討論を行いました。
池田市議は、一般職員の給与引き上げには賛成しましたが、市長や市議会議員などの特別職給与を一般職に準じさせる法的な根拠はないとして、特別職の期末手当引き上げには反対しました。
「みかほ整肢園」を市営から指定管理者による管理運営に移管する案件についても反対しました。指定管理者に移管すると、職員数が20人から26人と6人増えるにもかかわらず、人件費は現行の1億2千9百万円余りから1億6百万円余りに減ります。
単純に計算すれば、一人当たりの職員給与が237万円余り減額されることになります。ワーキングプアを生み出す指定管理者への移管に反対するとともに、移管する施設を今後増やすことにも反対しました。
市営住宅の建て替えにより生じた新さっぽろ駅周辺の市有地の売却(4.93ha、44.3億円)についても、市有地は市民の財産であり、まちづくりのために市が政策的に開発すべきとものして、反対しました。
なお、残余の18件については賛成しました。
代表討論の全文はこちらに
代表質問は12月6日に行われ、平岡大介市議が、質問に立ちました。
共産党提案意見書3件採択
共産党市議団が提案した意見書では、胆振東部地震からの復旧・復興に係る新たな支援制度を求める意見書、アイヌ政策推進の根拠となる法律の制定を求める意見書、難病に係る医療費助成制度の改善を求める意見書の3件が採択されました。
これらの意見書は他会派とも合意できる点をさぐり、全会一致で採択に漕ぎつけました。
一方消費税増税の中止を求める意見書、後期高齢者医療保険の窓口負担の2割への引き上げを行わないことを求める意見書は自民、公明の反対で否決されました。
第3回定例市議会報告(2018年)
第3回定例市議会(決算議会)は9月25日に開会、10月2日には日本共産党を代表して小形市議(中央区選出)が 代表質問を行いました。
ブラックアウトについて
小形市議は始めに、大規模停電(ブレックアウト)の問題を取りあげ、「経産省の会合でも、多重的な電力供給体制の必要性が指摘されながら対策を後回しにしてきた北電の責任は重い。市長としてどのような感想を持ち、こうした事態を起こさないためにどのような手だてが必要と考えるか」と問いました。
また、「苫東厚真発電所の耐震想定震度が5程度であったことを市長は認識していたか」と問いました。
秋元市長は、「国の第三者委員会による検証が始まっており、その中で原因が明らかにされ、再発防止策も示されるものと考える。北電に対しては、二度とこの様な事態を招かぬよう万全な対策を講ずるとともに、適切かつ十分な情報提供を求めていきたい」と答え、国任せの姿勢を示しました。
「耐震想定震度が5程度であったことを認識していたかどうか」については、秋元市長は答えませんでした。
被災者の支援策を検討していく
続いて小形市議は清田区の被害について、全壊48棟、大規模半壊4棟、半壊53棟、一部損壊1160棟で、国の支援制度が適用されるのは全壊と大規模半壊のみで、全体の4・3%に過ぎないと指摘。市としても支援一時金を支給するとしているが最高額20万円で余りにも少ないとして、市独自の支援策を設けることを求めました。
秋元市長は「一部損壊の被災者への対応も含め、支援策を検討していく」と答えました。
公立保育所廃止するな
小形市議は、厚別区に「ちあふる」(保育・子育て支援センター)を設置することにより、豊平区の豊園乳児保育園他3園を廃止する 条例案が提出されていることを問題としました。
廃止が予定されている豊園乳児保育園
小形市議は、「ちあふる」の整備を始めた2005年の待機児童数は307人だったが、今年4月では1900人を超えている。
これほど待機児童問題が深刻になっているにもかかわらず「ちあふる」の整備で公立保育所を廃止するというのは、あまりにも現実を見ないやり方と批判。
市は民間の力を借りて保育所整備を進めるとしてきたが、今や民間でも土地の確保が難しく、園庭のないビルの中に保育所を作らざるをえない実態と指摘。「公立保育所の廃止をやめ、建て替えを行って子育て世帯の保育ニーズに応えるべき」と求めました。
長谷川教育長は「新・さっぽろ子ども未来プラン に定める需給計画に基づき、保育ニーズを、満たす需給量を確保するよう取り組んでいるところ」と答えました。
小形市議は、「子ども未来プランで待機児童が解消されていない。公立保育所も廃止しないで待機児童を受け入れたら、待機児童の解消になり、より子育てしやすい街になる。市の決断で公立保育所の廃止を見直せ」と迫りました。
アクセス道路より老朽化対策、耐震化を
小形市議は、1960〜70年に集中的に建設された道路、橋梁、水道管などのインフラが寿命を迎えており、こうしたインフラの老朽化対策、耐震化が必要。総事業費1000億円を超えるとされる都心アクセス道路など新たな大型開発は抑制すべきと主張。
秋元市長は「都心アクセス道路は国の基本方針に沿った重要な取り組み。都市の魅力を一層向上させるためにも必要なもの」と答え、推進する姿勢を示しました。
災害時にアクセス道機能するか?
さらに小形市議は強い台風や地震が多発する時代となり、災害に強いまちづくりをすすめることが大切と指摘。
「都心アクセス道路は『札幌市強靭化計画』で、交通ネットワークの整備において重点施策の一つに位置づけているが、胆振東部地震では創成川通りのアンダーパスとエルムトンネルが通行止めになったように、想定される地下トンネル方式のアクセス道路計画では、防災の役割をはたせないと指摘。
地下トンネルや、高架橋による高規格道路の整備を進めるより、避難所へアクセスする一般道路の補強と沿道建物の耐震強化・不燃化対策を優先させるべきと主張しました。
秋元市長は「都心アクセス道路は災害時の輸送路としての役割を果たすなど、安全安心なまちづくりに資するよう検討を進めるべきと認識。
水害や豪雪等の様々な災害を考慮した幅広い検討を行ったうえで、計画や設計に反映させていくことが重要と考えている」と答え、
あくまでも都心アクセス道を造るという前提のもとで検討をすすめる姿勢を示しました。
環境にやさしいまちづくりに共同配送の仕組みを
第3回定例市議会決算特別委員会で、池田ゆみ市議は環境にやさしいまちづくりとして、二酸化炭素(CO2)削減のための物流、交通問題を取り上げました。
池田市議は都市部に多くの車が乗り入れ、長時間路上で荷さばきをおこなうことがCO2の排出増加につながるとともに、交通渋滞につながっていると指摘。
荷さばき問題を解決するため2016年に行われた、郊外の集積所に荷物を集積し、そこから都市部に共同配送するという「荷さばきマネージメント実証実験」の結果を問いました。
市側からは、「商店街やトラック協会、市などが研究会を作って行ったものであるが、配送時間や路上さばきの時間が短縮できたという成果があった。荷物を集積する十分なポイントを確保すること、配送の単価を下げることが課題とされた」と回答がありました。
池田市議は「集積ポイントを設けることで、都市部に入ってくる車を制限することができ路上駐車も減る。CO2排出量は、自動車は鉄道の10倍以上にもなり、車を制限することはCO2排出量の抑制にもつながる」として、共同配送の仕組みを作るよう、市として積極的な役割を果たすことを求めました。
さらに、東京では地下鉄を使った荷物の配送試験も行われたとし、札幌でも同様の検討を行うよう求めました。
パーク&ライドの利用促進を
池田市議は、自家用車優先の社会が交通事故や道路公害、環境汚染をもたらしているとして、人と環境にやさしいまちづくりの必要性を強調。
「地下鉄駅で車から地下鉄に乗り換える『パークアンドライド』の取り組みはCO2削減につながると考えるか」と問いました。
公共交通担当部長は「都心への車の流入抑制、CO2抑制につながる」と答えました。池田市議は「地下鉄の駅によって契約数に差がある。駐車場から駅まで遠いと言う声もある。課題を明確にして、駐車場を時間貸しすることも考えに入れ、利用の促進を」と求めました。
さらに池田市議は、レンタサイクルも増え利用する観光客も多いとして、「自転車や歩行者が安心して通行できるまちづくりにも取り組む」ことを求めました。
市民の意見を十分聞くべき 町内会条例素案
来年4月の施行をめざし、「町内会に関する条例(仮称)」の検討が進められています。8月2日には市議会財政市民委員会にその素案が示され、8月13日から9月12日まで、市民からの意見募集(パブリックコメント)を行うこととなりました。
しかし、本条例については、本来市がやるべきことの肩代わりを町内会がさせられることにならないか、条例を盾に加入を強制することにならないかなどの懸念も出されています。
池田ゆみ市議は、「街灯の市への移管問題やパートナーシップ除雪の経費問題など、町内会としても関心が高い。連合町内会に出かけて説明するとか、9月6日に予定しているシンポジウムを各区で開くとか、もっと多くの意見を聞くべき」と主張しました。
これに対し市側(市民自治推進課)は、「町内会までの説明はできない。各区でシンポジウムを開催することも難しい。パブリックコメントで意見をあげて欲しい」としました。
池田市議は、「ゴミ有料化の時は市の担当者が各区に入って説明した。今回も同じように重要な問題なので、そうすべき。説明することで町内会の大切さを理解してもらうことにもつながる」と、各区での説明を求めました。
またパブリックコメントの期間が一ヶ月では短いと指摘し、4月1日施行にこだわらず、意見聴取に十分時間をかけるよう求めました。
新幹線延伸、汚染残土処理でも問題が
札幌市の周辺にはヒ素を含む土壌が広く分布し、南区の小林峠のトンネル工事では対策が講じられました。北海道新幹線はその8割がトンネルで、札幌延伸に伴ってこれらのヒ素に汚染された残土が多量に出てくる恐れがあります。
池田ゆみ市議は6月28日、市議会の総合交通調査特別委員会で、この問題を取りあげました。
参考人として北海道大学工学研究院の五十嵐副研究院長が、土壌汚染対策法に基づく汚染土処理について説明するとともに、札幌周辺にヒ素を含む土壌が広範に存在することを明らかにしました。
池田市議は「発生した残土に基準値を超えるヒ素などの有害物質が含まれているかどうかを判定するのに何日くらいかかるのか」「残土の仮置き場に大量の残土が長期間置かれることになるが。集中豪雨の時の対策はどのようになされるのか」と質問。
五十嵐参考人は、「有害物質を含む対策が必要な土壌かどうかの判定には数日かかる」「発生土の表面は水を通さないよう遮水処理をするが、雨に対応するために、調整池を設けることや、有害物質を吸着処理することも考えられる」と述べました。
池田市議は、対策が必要とされる汚染土を積んだダンプが市街地を走ることになるとして、「対策を取っても100%飛散を防ぐことは難しいと思われるが、どのような対策を講ずるのか、また運搬路に溜まった土壌の調査を行った事例はあるか」と問いました。
五十嵐参考人は「汚染土壌の運搬についてはかなり気をつかうと聞くが、ルートが決まった段階で、詳細が検討されていくのではないか」と答えました。
第2回定例市議会報告(2018年)
第2回定例市議会は5月17日から6月4日までの日程で開催されました。5月24日には日本共産党を代表して田中啓介市議(西区選出)が代表質問に立ち、新幹線の札幌延伸にともなう経済効果、小中学校の統廃合などについてただしました。
代表質問はこちら
新幹線延伸、再検討を
田中市議は、新幹線の札幌延伸で、東京などからの航空機利用者332万人のうち25%に当たる84万人が新幹線に転換するという見通しについて、「あまりにも過大な見通しになっている」と指摘。
「北海道新幹線の赤字が103億円にもなるなど、JR北海道の経済状況が悪化しているもとで、道の試算した経済波及効果がそのまま見込めるのか、札幌延伸は、全道民的な議論と計画の再検討が必要ではないか」と追及しました。
吉岡副市長は、道試算の経済効果が「既存新幹線の調査結果も用い、一般的な推計手法で予測したものであり、妥当なもの」「札幌延伸で初めてその効果が最大限発揮される」と答えました。
結論ありきの学校統廃合
「学校規模の適正化に関する基本方針」にもとづく小中学校の統廃合問題について、田中市議は「学校がはたす地域コミュニティの役割は人口減少下でますます重要になっている」と強調。統廃合への「議論の迅速化」は「市民の議論を置き去りにし、結論ありきで統廃合を進める極めて乱暴な方針」と指摘、「民主的な議論こそ必要」と求めました。
長岡教育長は「今後もこれまでと同様に新たな基本方針に基づき丁寧に取り組んでいく」と答弁。「乱暴な方針」との指摘には答えず、推進する姿勢を取りました。
札幌市は「学校規模の適正化に関する基本方針」のもとに小規模小中学校の統廃合を進め、今までに11校の統廃合を行いました。
市は学校の適正規模を小学校12学級、中学校6学級以上としています。理由は「クラス替えができないと人間関係が固定し集団活動が限定される。中学校では9教科すべてで専門性を有する教員を配置することができない」とするものですが、一クラスでも人間関係が損なわれることはないし、専門性のある教員の配置は教員を増やせばできること。本当の目的は教育経費の節減にあると見られます。
現在この基準に満たない統廃合対象校として、小学校16校、中学校2校があげられています。南区が多いですが、豊平区ではあやめ野小、平岸高台小があがっています。
しかし近年、統廃合に当たって、プランの策定から統廃合の実施までの期間が長期化している(当初3年程度であったものが現在は6年から8年)ことから、市はその迅速化を図るためにこの4月に基本方針の見直しを行いました。
その結果、従来統合に当たって校区が隣接する場合を条件としてきましたが、今回それをはずし、検討体制も「教育委員会が示す案を基に、学校・地域・行政が連携しながら具体的方策を検討する」と、教育委員会主導で議論の迅速化を図るとしています。また通学が困難な地域であっても、スクールバス等を導入して進めるとしています。
学校がない地域には若い世代は住めません。学校がなくなることは地域の過疎化に拍車をかけます。学校の存続は地域社会の大問題です。統廃合ありきでなく、地域住民の声を反映させることこそ行政に求められます。
池田ゆみ市議代表討論
第2回定例市議会最終日の6月4日、池田ゆみ市議は日本共産党を代表して討論に立ち、市の事業の民間委託、 後期高齢者医療制度の特例軽減措置の廃止に関連する補正予算等7件について反対、残余の9件については賛成の討論を行いました。
代表討論はこちら
池田市議は、伏古川水再生プラザの運転管理業務を民間委託する下水道事業会計補正予算に反対しました。
池田市議は「これまで合流式の水再生プラザを本市直営にしていたのは、同一の管路に雨水と汚水が混ざるための処理を行う機械の操作等に、業務員の技術と経験が必要、と判断してきたからです。
50年経つ古い機器もあり、操作には熟練した技術と経験を要するなど、長年にわたって積み上げられてきた経験や技術をもつ職員によって担われている業務です。民間委託化は、これを捨て去ることとなり、技術力の継承を危うくする」と指摘。
さらに「民間委託は、果たすべき行政の仕事を営利企業の経済活動に変え、市民サービスよりも利益が優先され、非正規雇用の拡大など低賃金・不安定雇用など官製ワーキングプアを生み出し、公的役割と責任を大きく後退させる」として、補正予算に反対しました。
また、2020年度から「札幌市みかほ整肢園」に指定管理者制度を導入するとする児童福祉施設条例の「改正」についても、「医療型児童発達支援センターは、一人ひとりの状況に応じた療育プログラムを基(もと)に、様々な活動体験や遊びを通して、子どもの成長をはぐくむ療育を提供する施設です。
制度導入により職員が入れかわることで、『サービスの維持』や『安全面』に関する不安の声が、施設を利用する保護者からも出されています。福祉サービスと医療の機能をあわせ持つ施設として、高い専門性と継続性が求められる」と指摘。
「本市直営で運営すべき」として反対しました。
池田市議は、「後期高齢者医療制度は、75歳になった途端、それまでの公的医療保険から強制的に切り離し、別だての医療制度に囲い込むもの」と指摘。 「『姥捨て山』との批判が強い中で、制度開始時に、保険料の急激な上昇を抑えるため、本制度加入の前日において被用者保険(社会保険や共済組合など)の被扶養者だった方の均等割りを5割軽減とする特例軽減措置が取られた。 このたびの『制度改正』により、この特例軽減措置が2年で打ち切り、廃止されることとなり、このような制度改悪には反対」と表明。これにともなうシステム改修予算に反対しました。
市税条例等の一部を改正する条例案については、本社機能の移転に係る不均一課税の延長・拡充が含まれていることからこれに反対しました。
この改正は、2016年から行われていた東京23区から札幌市内に本社機能を移転する企業への固定資産税の減免措置の適用期限を2年延長し、適用対象を東京23区以外の企業にも広げるものです。
本社機能の移転としていますが、内容は調査・企画部門、情報処理部門、研究開発部門、管理事業部門などの本社機能の一部を移転する場合でも固定資産税を減免するものです。池田市議は「大手企業への優遇策は不要である」として、反対しました。
第1回定例市議会報告(2018年)
全議員による「公文書書き換え真相究明」決議可決
3月29日の議会最終日には、全議員による「財務省公文書書き換え問題について真相究明を求める決議」が提出され、可決されました。「改ざん」の言葉が「書き換え」になりましたが、全ての議員による提出は大きな力となっています。さらに、「高齢者や生活困窮者の安全な居住環境へ向けた改善を求める意見書」も全会派の賛成で採択されました。
400億円を超す再開発補助額、
今後も莫大な費用を要する事業が
2018年度予算は、一般会計で初めて1兆円を突破しました。
市長は、予算規模が拡大した主な要因として、「アクションプラン」に掲げた施策の実現と、「子どもの育成支援」「女性活躍推進」「経済雇用の推進」をあげ、とりわけ待機児童解消に向けた保育所等の整備によるものと述べました。しかし、待機児童は、昨年10月時点での2,748人を解消できていません。
一方で、民間再開発事業への最終的な補助総額は、約257億円となり、完成目前の北1西1地区再開発事業への補助金156億円と合わせると、約413億円にのぼります。今後、都心アクセス道路、MICE施設の建設、新幹線の札幌延伸と札幌駅周辺の大規模再開発、冬季五輪招致など、莫大な費用を要する事業が計画されています。
札幌市議団は、都心アクセス道路建設を前提とした調査費、マイナンバー関連費用、ICT活用推進費用、学校規模適正化費用に反対する立場から、一般会計予算に反対しました。
年収300万円以下が4割、重い税負担
札幌市の納税義務者数の推移では、年間収入300万円以下の人数が全体の39.3%と約4割を占め、夫婦と子供1人の世帯で、収入300万円の場合、可処分所得は243万3500円、月額20万3千円であり、医療費や子どもの教育費の支出を考えると、非常に厳しく、低所得者ほど社会保障や税が重たくなっています。
市政事務所では、収納率の目標を持ち競わせ、成績優秀の係や班を表彰する取り組みが行われており、差押えの増加につながっています。この10年間で税の差押えが6,340件から12,713件へと倍増している実態がそれを物語っています。納付相談は、払う意志を尊重し、払い続けられることを前提としていくことが大切。子どものいる世帯の差押えはやめるべきと求めました。
増える保育のニーズ、保育の質・安全性も
待機児童対策が大きな問題となっています。保育所待機児童対策について札幌市は、今年度予算を43億7800万円とし、保育定員を約2000人増やすとしています。保育所整備計画については、2016年の保育ニーズ調査で2014年のニーズ調査よりも5519人も増える事がわかり、2020年までの事業計画の見直しを行っています。
しかし、ニーズ調査の集計が0歳、1・2歳、3〜5歳と細切れに集計され、3歳未満児を対象とした小規模保育所は増え、幼稚園から認定こども園への移行など既存の施設を利用する計画が強められているものの、「0歳〜就学前まで継続して子どもをあずけたい」との保護者の願いに応えたものになっていません。さらに、企業主導型保育園など園庭のない保育施設、ビル中の保育施設も増え、保育の質の低下と保育の安全性が問われています。
市独自で保育士の処遇改善を
命を預かる専門職であるのに賃金が安く、退職する保育士が増え、さらに過重労働となっているなど、保育士不足も深刻です。市は保育士の処遇改善について、国のキャリアアップ制度は進めるものの、独自施策を取ろうとしません。待機児童対策は保育士の処遇改善を合わせて取り組むことが必要です。千葉県松戸市では、施設からの給与とは別に松戸手当として毎月45,000円〜72,000円勤続年数に応じて支給されています。
市民や保育連の運動と力合わせて、無駄な再開発より福祉・くらし優先で命を守る市政へと引き続き札幌市議団全員力を尽くす決意です。
子どものいる世帯への差し押さえは止めよ
池田ゆみ市議は3月7日の予算特別委員会(1部)で市税の差し押さえについて質問しました。
池田市議は、「納税義務者のなかで収入300万円以下が39.3%を占め、夫婦と子ども1人世帯だと可処分所得は月額20万3千円で、同世帯の生活保護費よりも低い」と指摘。一方、「差し押さえは2007年6,340件が2016年では12,713件と倍増し、給与の差し押さえは155件から1,550件と10倍にもなっている」とのべ、
「差し押さえが急増しているのはなぜか」「“最初からいくら払えるのかといわれる”などの声を聞くが、納付相談にどう応対しているのか」とただしました。
毛利財政部長は、「職員の滞納整理のスキルが格段に向上している」「納税者の世帯状況や収入状況などを把握していくことが大切、そういう姿勢であたっている」とのべました。
池田市議は、「収納率の目標を持って成績が優秀な係や班を表彰しているが、成績を競わせるやり方が差し押さえを増やすことにつながっており、倍増している実態がそれを物語っている」「家計の支払いで子どもの医療費を優先せざるを得ないことは起こる。子どものいる世帯への給与の差し押さえは見直すべき」と求めました。
第1回定例市議会では2月27日、日本共産党を代表して、村上市議が代表質問に立ち、市長の政治姿勢、都心アクセス道路、子どもの貧困対策などについてただしました。
第4回定例市議会報告(2017年)
第4回定例市議会で代表質問
第4回定例市議会において、池田ゆみ市議は12月6日、日本共産党を代表して代表質問に立ち、1)市長の政治姿勢、 2)「女性が輝く」ための施策推進、3)雇用の安定、4)温暖化対策、5)訪問介護と利用者の負担軽減、6)高齢者の生活支援、についてただしました。
安倍改憲 高架橋からの落下事案、職員不祥事について追及
池田市議は、安倍首相が進める改憲について、「改憲に反対が多数を占めている世論を無視して、来年の通常国会に改憲案を出そうとしていること、さらに憲法尊重擁護義務がある行政のトップでありながら、改憲を先導するなど独裁政治ではないか」と問いました。
また、相次ぐJR北海道の高架橋からの落下事案に対する対応、職員の不祥事について問いました。
職員の不祥事は、交通局職員が本来職務に使用すべき職務乗車証を通勤や私用に使っていたもの。使用履歴が今年1月以降しか残っていないため、もっと長期に渡って不正使用されていたのではと追及しました。
市長は、安倍首相による改憲については、自らの見解を示すことなく、「慎重かつ十分な国民的論議がなされるものと考えている」との答弁に留まりました。高架橋からの落下事案についてはJR北海道に要請をしていきたいとしました。
職務乗車証の不正使用については、職務乗車証の管理がずさんであったことを認め、大変重く受け止めているとしましたが、記録が残っていない期間の不正使用については、確認することは困難と答えました。
非正規シングル女性の支援急ぐべき
池田市議は札幌市における女性の正規職員割合は21大都市中18番目と低く、加えて結婚、出産、育児などで仕事を辞めざるをえない女性が全国と比べ多いと指摘。また市内の企業では女性が働き続けるための取り組みが遅れていると指摘し、企業への働きかけを求めました。
さらに非正規で働くシングル女性の問題を取り上げ、東京・大阪などの調査では、非正規で働いている理由として「正規で働ける会社がなかった」との回答が6割を占めていたとの結果を示し、「望んで非正規職についているわけでない。がんばっても低賃金から脱却できない実態にある。親の介護や、自身が病気にでもなれば途端に生活が破壊する」と指摘し、市として実態を把握するとともに、具体的な支援策を急ぐべきとしました。
市長は企業への調査では、「必要な取り組みがわからない」「勤務させた事例がない」といった声が多く、女性が働きやすい環境づくりに向けてのノウハウが不足していると考えるとし、企業の取り組みを後押しできるよう働きかけていきたいと答えました。非正規シングル女性の支援策については、「国や他都市の動向も見ながら逐次検討していく」との回答に留まりました。
池田市議は再質問で、「ずっと非正規では年金にも響いて貧困から抜け出せない。弱い立場の女性に視点を置くべきで、どのようなことをいつまでに検討するか」と問いました。
市長は、「非正規でシングルの女性がどれくらいいるか実態把握が困難、調査手法の検討が必要。対応については国や他都市の調査も踏まえ考える」と答えました。
池田市議は非正規シングル女性の方々の声をしっかり聞く市独自の調査に踏み出すよう求めました。
指定管理者に無期雇用、正社員化求めるべき
地域経済の活性化には個人消費を増やすことが必要です。そのためには雇用の安定が求められます。池田市議は指定管理者に対し、雇用される者の無期雇用化もしくは正社員化をはかるよう求めるべきとしました。
札幌市では423の施設が指定管理者によって管理されています。ここで働く3682人のうち66・6%が非正規職員で、池田市議は「市みずからがワーキングプアを生み出しているのではないか」と指摘。
来年4月から改正労働契約法がスタートし、5年を超えて有期労働契約が反復更新された場合は本人の申し込みにより、無期労働契約に転換することとなることから、指定管理者に無期雇用化を求めるべきであり、市としてどのように対処するのかを問いました。
また、介護士、保育士の人材不足について、いずれも給与月額が22万程度で、一般職種の33万程度と大きな格差があることが問題と指摘。処遇改善が国の施策で行われているものの、支給は一時的で安定的所得にならないとし、他都市で行っている「家賃補助制度」など、市独自で介護士、保育士が働き続けられるための支援策を求めました。
町田副市長は、指定管理者を選定する場合、非正規から正規への転換に向けた提案がある場合は、それを高く評価することで安定的な雇用をうながしていると回答。改正労働契約法については必要に応じ適切に指導していくとしました。
介護士等の処遇改善については、国の責任で行うべきものと考えるとし、働き続けられる環境整備のため今後とも(国に)要望していきたいとの回答に留まりました。
中小のコジェネプランも、温暖化対策
池田市議は総発電量のうちデンマークでは56.2%、ドイツでは26.2%が再生可能エネルギーであるのに、日本は14.3%に過ぎないことを示し、
札幌市としても再生可能エネルギーを飛躍的に普及させるべきとして、市の対応を問いました。
札幌市は「都心エネルギーマスタープラン」において、都心部においてコジェネを導入することで、温暖化の原因となるCO2の排出を押さえる計画を持っています。
池田市議は、コジェネを都心部の大規模なものだけでなく、中小規模のプランも考えていくべきとし、すすきのエリアにも導入することを求めました。
吉岡副市長は、札幌市は2030年に市内の電力消費に占める再生可能エネルギーの比率を30%にする目標を掲げており、今後も一層温暖化対策の取り組みを進めていくとしました。
コジェネの導入については、高い取り組み効果が期待できる範囲に限定するとし、すすきの等のエリアについては今後のビルの建て替動向やまちづくりの進展状況を注視していくとの答弁に留まりました。
コジェネ:コジェネレーションの略、電気だけでなく発電する際に出る排熱を利用し暖房用の熱も取り出すことで、暖房用のボイラーが減らせCO2の排出が減る。
在宅医療、訪問看護と利用者の負担軽減
池田市議は、医療技術の進歩により自宅で高度な医療機器が使えるようになってきていることや、ガン患者についても3割が自宅療養を希望しているなど、今後在宅での医療が増えると考えられるが、
一方では家族に迷惑をかけるのではとか、何かあった時にすぐ診てもらえるかなどの心配があり、患者と家族が安心して在宅医療が続けられるように援助する「訪問介護」の役割が高まっているとして、必要とされる人材の育成等、市の対応を問いました。
また、「ガン治療は『自分の命をとるか家族の生活を取るかの選択』といわれるほど経済負担が大きい。高額療養費制度があるものの、毎月の支払いはきびしいし、これに訪問介護や訪問看護が加わるとさらに重くなる」として、実態を十分に把握し、費用負担軽減にどのような手だてが取れるか検討すべきと求めました。
岸副市長は、「訪問看護」の役割は重要であると認識しているとし、今後の在宅医療の需要を踏まえながら、必要となる人材の育成に取り組んで行きたいと答えました。ガン治療に関して保険制度以外で経費負担の軽減を行うことは、ガン以外にも脳血管疾患など費用負担が高額となる病気もある中、難しいとしました。
池田市議は再質問で、「在宅ガン治療は高額療養費制度を使ってもなお重い負担となる。今後、どんな手だてで軽減できるか提案すべき」と求めました。
高齢者の生活支援
池田市議は、今後高齢者の免許証返納が増えると考えられるが、免許証を返納した高齢者の移動手段をどう確保するか。
国からは「高齢者の移動手段を確保する公共交通網の形成促進」が通知されているが、市としてどのように対処していくかと問いました。
岸副市長は、今後、関係施策を検討するに当たっては、免許証返納の実態を踏まえる必要があると認識しているとの答弁に留まりました。
札幌市は「まちづくり戦略ビジョン」で、「自家用車を利用しない市民も安心して暮らせるよう生活利便機能の維持・向上を推進する」としています。
池田市議は、免許証を返納してしまえば通院や買い物ができなくなると言う不安を解消するため、敬老パスにタクシー利用も含めることを検討するよう求めました。
岸副市長は、敬老優待乗車証(敬老パス)という制度の維持可能性という観点からタクシーへの拡大や新たな移動手段の確保は困難と答えました。池田市議は再質問で、雪が降ると高齢者から「タクシーが使えたら」の切実な声が聞かれるとして、タクシー会社も含め検討すべきと求めました。
池田市議は、エレベーターの設置されていない市営住宅で、高齢者が4階5階まで、ポリタンクに入った灯油を持ち上げるのは大変な困難、火災の危険性もあるとして、外付けのタンクから各戸に灯油を供給するオイルサーバーを設置するよう求めました。
岸副市長は、オイルサーバーの設置は多額の費用を要することから、どのようなことが可能か今後検討してまいりたいとの答弁に留まりました。池田市議は再質問で、「新たに生じた問題ではない。前からあった問題であり早急に対策を取るべき」と設置を求めました。
第3回定例市議会報告(2017年)
市民負担増、マイナンバー、
ICT活用事業などを含んだ決算に反対
第3回定例市議会(決算議会)は10月31日、本会議を開催し、代表討論と各議案の採決を行いました。
日本共産党を代表して池田ゆみ市議が代表討論を行い、2016年度の決算認定に反対するとともに、市民が必要としているのは都心の大型開発ではなく、公共施設や福祉施設の拡充、耐震化などであり、このような視点で来年度予算の編成に取り組むことを求めました。
医療費無償化どこまで進めるか
子どもの貧困対策計画に示すべき
池田ゆみ市議は、決算特別委員会で、子どもの貧困対策について取りあげました。
札幌市は、2016年度に子どもの貧困調査を行いました。この結果をもとに今年度、子どもの貧困対策計画(期間:平成30年度〜34年度)を作成します。現在その素案概要が示されている段階です。
池田市議は子どもの貧困対策について、「貧困をなくすための具体的数値と改善目標を持ち、毎年、計画の進捗状況を把握するべき」と主張。
あわせて「子どもの貧困対策計画を推進する予算と権限を持った担当部署の設置について検討する」よう求めました。
また「経済的な理由で受診抑制が起きないよう、市長公約でもある子どもの医療費無償化の拡充をどこまで進めるか、計画に示すこと。学校給食費の無償化や就学援助の拡充など、急がれる課題は計画の中で明確に位置づけること」を求めました。
子どもの貧困対策計画は、来年の第1回定例市議会での論議になります。第1回定例市議会では実効性のある計画となるよう論陣を張っていきたいと思います。
本計画についてはパブリックコメントを求めることともなりますので、皆さんも意見を出してください。
北朝鮮問題、子どもの医療費などただす
第3回定例市議会は9月27日、日本共産党を代表して伊藤理智子市議が代表質問に立ち、北朝鮮問題、核兵器禁止条約、子どもの医療費、都心アクセス道路、環境とまちづくり、マイナンバー制度などについて市の姿勢をただしました。
北朝鮮問題について伊藤市議は「軍事衝突は絶対に避けなければならない」と訴え、「米朝両国が直接対話に踏み出すよう市長として政府に働きかけるべき」と求めました。 秋元市長は、国が「国際社会と連携を図り、しっかりと対応してもらいたい」と述べるに留まりました。
子どもの医療費無料化の小学1年生への拡充に関して「市長公約であり、任期中にせめて小学6年生まで実施すべき」と迫りました。市長は「まずは1年生までの拡大を着実に実施したい。拡充については財源も勘案しながら判断したい」と述べました。
地下構造が有力視されている都心アクセス道路について、伊藤市議は気候変動に伴う大雨が多発していると指摘。道開発局が作成したシュミレーションで、310ミリの雨が降った場合、豊平川の水位がピークとなり堤防が決壊、30分後には創成川通のアンダーパスが水没すると強調。
「そこに1000億円もの道路を整備しようというのは大雨が頻発する時代に逆行している」と警鐘を鳴らしました。
詳細は 第3回定例市議会(2017年)代表質問(伊藤理智子)
第2回定例市議会報告(2017年)
ICT活用戦略事業含む補正予算に反対
第2回定例市議会は6月13日閉会しましたが、日本共産党市議団はICT(情報通信技術)活用戦略推進事業費6千万円を含む一般会計補正予算および、介護報酬単価の切り下げ、要支援1,2の介護保険はずしなど改悪が進む介護保険会計補正予算に反対するとともに、市職員、市立学校教育職員退職手当条例の改正等の案件に賛成しました。
国や市が持っている情報を民間企業が活用できるようにする「官民データ活用推進法」が昨年12月成立しました。この推進のため、予算の半分を国が出すという公募事業が打ち出されました。札幌市はこれに選ばれることを見込んで総額1億2千万円の事業のうち6千万円を市の補正予算として提出しました。
市はスマホのアプリを使って外国人観光客から情報を得たり、チカホでの個人の行動情報を収集するなどするとしています。
国は個人情報は匿名化するから個人情報漏洩の心配はないとしていますが、現在の情報技術では個人情報を匿名化しても、様々な情報を合わせることで個人を特定できます。
「共謀罪」法案が強行可決され、国民の監視が強められようとしている中、国の政策を先取りし市民の情報を積極的に提供しようとする方向には市民の理解は得られません。マイナンバーの漏洩も相次いでいます。個人情報の保護こそ市政の果たすべき役割です。
学校給食無償化意見書、安心・安全の医療・介護意見書採択
日本共産党が提案し民進党などとともに提出した学校給食の無償化を求める意見書、安全・安心の医療・介護の実現と夜勤交代制労働の改善を求める意見書は、自民党は反対したものの公明党が賛成し採択されました。
二つの意見書は市民の立場に立てば道理あるものです。二つの意見書に対し、自民党は珍しく反対討論に立ち反対する理由を述べました。
採択された意見書は関係する省庁に送付されます。こうした意見書が多くの市町村から上がってくれば、政府としても無視できなくなり、市町村に対する助成措置などの対策を取らざるを得なくなります。
共謀罪、核兵器禁止条約、オスプレイは自・公の反対で不採択
「共謀罪」法案の撤回を求める意見書、核兵器禁止条約の交渉会議に政府が参加することを求める意見書、オスプレ飛行訓練中止等を求める意見書の3件はいずれも、日本共産党、民進党、市民ネット等が共同して提出しましたが、 自民、公明の反対で不採択となりました。
第1回定例市議会報告(2017年)
都心部の大型開発より 個人消費底上げが必要
第1回定例市議会(予算議会)は2月21日から3月30日の日程で開催されました。
新年度予算では、冬季オリンピック、新幹線延伸、駅前開発、都心アクセス道、MICEと、都心部の大型開発に一気に進んでいく方向が明らかになりました。
一方で、年収300万円未満の世帯が41・8%を占め、市民1人あたりの雇用者報酬もここ12年間で43万円も減っています。消費税の増税に加え、介護保険料や年金の度重なる負担増が家計を圧迫しています。
日本共産党市議団は、「都心部の大型開発は大手建設会社の支援にはなっても、市民の懐は潤わない。市民の消費を促し、域内経済を活性化させることが大切。そのための直接的支援が必要」と主張。
給食費無償化 国保料引き下げを
新年度の一般会計予算の1%、99億円を使って、いま全国で取り組みが始まっている小中学校の給食費無償化に68億円、高すぎる国保料の1世帯あたり1万円の引き下げに30億円をあてるなど、市民の願いに応える福祉施策をすすめることは、可処分所得を引き上げ、個人消費を底上げすることにつながるとし、その実現を求めました。
希望者全員が入所できる 認可保育所を
池田ゆみ市議は3月24日予算特別委員会で、待機児童対策について質問しました。
池田市議は、保育の充実を願う9万人余りの署名が市に提出され、保育連絡会の“保活”実態アンケートに「何園も見学したが空きがなく、むなしかった」「無認可でお金がかかり送り迎えも大変、2人目も欲しいが考えてしまう」などの声が寄せられていることを紹介。
「これをどう受け止めているのか」「待機児童は1599人(昨年10月)と、保育所の整備数を上回るが、減らない状況をどう分析しているのか」「待機児童のうち、848人が『特定の保育所のみを希望し、入所していない児童数』だが、その理由は何か」とただしました。
中出支援制度担当部長は、「女性の社会進出が進むなかで保育を望む保護者が増えている」、保育所の整備で「潜在的な保育ニーズが喚起されている」とし、「特定保育所のみ希望」については「圧倒的には自宅に近い保育所で、次いで上の子が入っている保育所に預けたいというもの」とのべました。
池田市議は、「特定保育所のみ希望」について、「当然の願いではないか、相談にはどう対応しているのか」とただしました。
中出部長は「全く同じ気持ちであり非常に理解できる」としつつ、「可能な限り希望に沿えるよう入所調整の基準表(点数)を改定した。保育コーディネーターや職員が利用可能なサービスを紹介する」などと答えました。
池田市議は、「保育所が足りないことが問題。ゼロ歳から就学前まで入所し続けられる認可保育所を増やし、希望するすべての人が入所できるようにすべき」と求めました。
中出部長は「小学校就学前までの一貫した保育サービスを保障することは非常に重要」「適切に供給の確保に努めたい」とのべました。
都心アクセス道アンケート、否定的意見も多く
昨年(2016年)秋、札幌市は「都心アクセス強化(創成川通の機能強化)に関するアンケート」を行いました。
中身は都心アクセス道に何を期待するかを答えさせるもので、「アクセス道は不要」など、これに否定的な選択項目はありませんでした。
しかしアンケートの最後には、意見の自由記入欄があり、ここには「都心アクセス道より他にやるべき事がある」「いまでも苦しい市の財政の中で経費はどうする」など、アクセス道に否定的な意見が多く書かれていました。
アンケートは全部で1004通寄せられ、このうち自由記入欄に記載があったのは474件で、その中身はアクセス道に賛成、反対、その他(賛否不明)がほぼ1/3ずつでした。
市の「アンケート調査結果の概要」では、アクセス道に期待する声が多かったことを強調し、市民の疑問や反対の意見には全く触れられていませんが、これだけの反対意見があったことは、市も重く受け止めるべきです。
都心アクセス道は、全て地下構造で整備した場合には1,000億円規模の事業費がかかると言われています。市民にとって不要不急の無駄な大型公共工事となることは問題です。
創成川通の機能強化は、右折ラインなど交差点改良を中心とした道路整備と冬の除排雪強化策で進めるべきです。
都心アクセス強化(創成川通の機能強化)に関するアンケート結果
都心アクセス道とは
支払いが困難な市民の声を受けとめよ 市税滞納対応に
3月8日予算特別委員会で、市税の滞納世帯が増えている中、市税事務所と各部局との連携強化について質問しました。
市税事務所での相談件数は来庁と電話を含め、2016年で189,362件にも上ります。税金が払えない方々は国保料や公共料金など複数の滞納を抱えています。「こうした相談者への対応はどう進めているのか、関係する部局につなげているのか、職員の研修は行っているのか」とただしました。
遠藤税制部長は、「滞納されている方の状況に応じて福祉や生活を所管する部署に案内している」「生活支援の研修として、ゲートキーパー(悩んでいる人に気づき支援につなげる「命の門番」)研修を約30名の新入職員に実施した」と答えました。
私は、「差し押さえ件数は2010年の6,858件から昨年は10,156件へと増加している」ことを示し、滋賀県野洲(やす)市では「市民の生活を壊してまで滞納整理をするのは本末転倒。生活を壊さず納付してもらうのが原理原則」と市長がのべていることを紹介し、「他の部局との連携を強め、支払いが困難な市民の声をしっかり受け止めること」を求めました。
国保料引き下げ陳情(3万6571人の署名) 継続審議に
趣旨説明(右)と傍聴するみなさん。
札幌市議会厚生委員会で3月3日、「札幌市の高い国保料の引き下げを求める会」(山本完自代表)が提出していた、国保料の引き下げを求める陳情の審査がありました。日本共産党は採択を求めましたが、自民、民進、公明の多数によって継続審議となりました。
市の国民健康保険は29万6000世帯が加入していますが、多くの加入者が高くて払えないと納付困難に陥っています。「求める会」は、市議会に3万6571人の署名を提出してきました。
東区の久慈春美さん(佐藤優子さん代読)と清田区の草野祐二さんが、陳情の趣旨を説明。「そもそも保険料が高すぎる。払える保険料にしてほしい」と市に訴えました。
日本共産党の太田秀子市議は質疑で、「署名には高すぎる保険料を引き下げてほしいという市民の切実な思いが込められている」と指摘。「引き下げには、一般会計からのさらなる繰り入れが必要であり、政治決断しかない。市民は苦労して保険料を払っているのに、市ができないというのはおかしい。払える国保料にして市民とともに制度を支えるべきだ」と迫りました。
板垣昭彦副市長は「負担感が強いというのは認識している」と言いつつも、「市の財政状況は潤沢でなく、現時点では保険料のすえ置きが最大限のとりくみだ」と開き直りの姿勢でした。
アスベスト問題 責任の所在不明確
小中学校で煙突の断熱材が剥落し、アスベスト(石綿)が飛散していた問題で、市教育委員会は2014年と16年の2度に渡って文科省から煙突の点検を指示されていながら、点検をせず、06年に行った別の調査を流用して「問題なし」と報告していました。
ところが、昨年10月、13の小中学校でアスベストが飛散していたことが発覚し、第三者による検証委員会が調査を進めてきました。この報告書が二月に公表されたのをを受け、池田市議は2日、 文教委員会で市の対応をただしました。
池田市議は、流用した06年調査の際、「断熱材が経年劣化で剥落する恐れがあることは認識していたが、飛散する可能性は低いと考えていた」と報告したことについて、「飛散する危険を全く認識していなかったのか」と迫りました。
本居学校施設担当部長は「ふさがれた煙道確保のための修繕を優先していた」と述べ、飛散する可能性は考えていなかったと繰り返しました。
池田市議は「子どもの安心・安全、地域住民の健康に関わる事態であり、あってはならないことだ」と批判、「虚偽報告の責任の所在を明確にすべきで、報告は不十分。引き続き部局内で調査すべき」と求めました。
国保料引き下げに頑張ります
「札幌市の高すぎる国保料を引き下げる会」(会長:山本完自弁護士)は2月3日、札幌市議会へ「国民健康保険料の引き下げを求める陳情」を提出するとともに、各会派への要請を行いました。
さらに2月21日第二次の陳情署名の提出と会派要請を行いました。この日までに提出された署名の累計数は35,824筆となりました。
「引き下げる会」のメンバーは日本共産党市議団にも要請に訪れました。市議団全員で対応、代表して伊藤団長が陳情書を受け取り、「陳情採択に向けて共にがんばりましょう」と激励しました。
議会に提出された陳情は、厚生委員会に付託され、3月3日(金)午後1時から審査が行われることとなりました。
マイナンバー記入するな 市議団、市長に申し入れ
日本共産党札幌市議団は1月24日秋元市長に対し、「特別徴収税額の決定通知書」へのマイナンバー記載中止を要請しました。
総務省は個人住民税の「特別徴収」(給料天引きのこと)を新年度から徹底すると同時にマイナンバーを普及させるため、市町村住民税などの特別徴収税額の決定通知書に従業員のマイナンバーを記入するよう各自治体に指示しています。
党市議団は、「通知書にマイナンバーを一方的に記入することは個人の意思を無視するもので、ナンバー漏えいの危険性とともに、事業者への新たな負担をもたらすもの」と指摘し、中止を強く求めました。
対応した遠藤税政部長は「地方税法の様式にマイナンバーが義務づけられている。札幌市としては、簡易書留で送ることを考えている。事務の効率化を図るためにも必要」と答えました。
市議団は「マイナンバー法では個人番号の提出を求めることができるとされているが、義務づけられているわけではない。東京中野区では記載しないと決めた。札幌市も再考すべき」と迫りました。
第4回定例市議会報告(2016年)
日本共産党はアスベスト問題、就学援助金の早期支給、都心アクセス道などについて追及しました。
アスベスト問題
アスベスト問題について代表質問で田中市議が追及、「市が2006年に実施した調査で、53の小中学校で煙突断熱材の劣化が疑われる異常を認めながら、ボイラーを運転しており、この10年間、アスベストが飛散し続けていた可能性は否定できない」と指摘。「どれだけ飛散し続けていた可能性があるか明らかにすることは、市民の健康を守る本市の責任ではないか。改めて専門家の意見も聞きながら実証実験をすべき」と迫りました。
吉岡副市長は、実証試験について「断熱材が剥離した施設の状況を実験において厳密に再現することは困難」と述べ、「今後、アスベスト飛散の可能性などについて専門家の意見も聞いて検証していく」と答えました。
生保世帯、就学援助世帯にも給食費返還を
市は、アスベスト問題で給食が停止されていた間の給食費を返還することとしましたが、文教委員会で池田市議は、「給食費が免除されている生活保護世帯や、就学援助世帯に対しても、その間弁当を持たせるなどして経費がかかっている」として、同様に返還を行うことを求めました。
就学援助金、中学で3月支給に。継続して改善訴え実現
就学援助金が中学校で、入学前の3月に支給されることになりました。共産党市議団は昨年10月以来、毎回の市議会で入学前の支給を求めてきました。今回は今までこの問題を取り上げてこなかった民進党が代表質問で取り上げ、これに市が答える形となりました。
代表質問は、議員数の多い順に回ってくるので、すっきりしない感じもしますが、今まで粘り強く訴えて来たことが、他会派の賛同も得て実現したことは喜ぶべき事です。
民進党の質問に対し、小学校については言及がありませんでした。田中市議は、「小学校への入学準備金の支給総額は昨年で4100万円であり、中学生と併せ小学生への入学準備金も入学式に間に合うよう支給する決断を」と求めました。
長岡教育長は、「時期的な課題があることから、今後その可能性について検討していく」と答えました。
アクセス道ありき
都心アクセス道については、市はなんとしても作りたいと、理由にもならない理由を並べています。これに賛成する自民、民進、公明は、どんな効果があるかを、市側に答弁させる質問を行っています。
これからは人口減少、低賃金による若者の車離れ、高齢者の免許返上など、車の数が減ってきます。しかし、市はこうした面には一切ふれません。
マイナンバー含む補正予算に反対
市は来年7月から開始される「他団体情報連携」に向け、税のほか、高齢・障がい、母子保健情報など福祉分野のシステム改修を業者に委託し、データ移行などの作業を進めるとして、今年度中に契約を行うこととしました。このために補正予算には、マイナンバーに関連し、合計1億8900万円の債務負担行為が含まれていました。
平岡市議は、「マイナンバーは、個人情報の流出が避けられず、多くのトラブルが発生している。これを他の自治体などとつなげれば、トラブルの際の被害はいっそう広がることになる。どのような対策をとっても、情報を盗み取ろうとするものとのいたちごっこが繰り返されるだけ」と指摘。
「このようなマイナンバー制度はやめるべき」として、関連する補正予算に反対しました。
特別職期末手当引き上げに反対
職員給与条例等の一部を改正する条例案について、平岡市議は、「人事委員会勧告に基づき、職員給与を0・15%引き上げ、期末・勤勉手当を0・1か月分引き上げることには賛成」としました。しかし、「市長、副市長、市議会議員など特別職の期末手当まで0・1か月分引き上げることは問題」と指摘。
また、一般職の扶養手当について、「子にかかる手当額の引き上げ等の見直しをする一方で、配偶者にかかる手当額を、引き下げることは、子どものいない世帯にとっては年間9万円もの引き下げとなる」と指摘。「特別職への手当て引き上げをやめ、それを配偶者にかかる手当額の維持に使うべき」としました。
さらに、平岡市議は、「職員の給与条例も、特別職の給与条例も一括して一つの条例案として提案されたことから、賛成できる部分が多くても、反対すべき部分があれば、すべてのものに反対する形をとらざるをない」と指摘。「今後、条例の改定案はできるだけ個々に提出されること」を求めました。
チカホでカメラ撮影?
第4回定例市議会では、国からの地方創成交付金(2900万円)を使って地下歩行空間におけるICT(情報通信技術)活用実証実験事業を行うことが報告されました。
地下歩にカメラを設置し、どんな人が何時頃、何人くらい通るかなどを無差別に収集するものです。当然、どんな服装をしているかなどの情報も収集されます。
その大量の画像情報を解析し、新製品の開発や販路拡大など、企業に活用させようとするものです。
カメラの画像解析技術は格段に進歩しており、現在では個人の特定もできるとされています。プライバシーの侵害につながりかねない問題をはらむものです。
13校でのアスベスト剥離
虚為の報告を批判 市議会文教委員会で
池田ゆみ市議は11月15日、市議会文教委員会で、13の小中学校でアスベストを含む煙突用断熱材が剥落していた問題をただしました。
市教委は、文科省から煙突用断熱材の点検を指示されながら、2014年と16年の二度に渡って点検せずに「問題なし」と報告していました。
池田市議は「2014年に石綿障害予防規則が改正され、アスベストの除去や飛散防止措置が義務化されたが、その際の文科省の指示を『重要と認識していた』というが、それならなぜ今年度予算で調査費を要求しなかったのか」と迫りました。
本居学校施設担当部長は「重要性の認識は個々にはあったが組織内で共有されていなかった」と答えました。
池田市議は「必要な調査という認識はあったといいながら虚為の報告をし、何もなければ今回も『問題なし』と虚為の報告をしようとしていた。あってはならないことだ」と厳しく批判しました。
用務員などがアスベストの危険性を知らずに「良かれと思って点検口にたまっていた灰を取り除いていた可能性がある」と、ばく露の危険を指摘し、従事者の把握や正確な情報提供を行うよう求めました。
アスベスト問題で申し入れ
小中学校など市の施設でアスベスト(石綿・発ガン物質)を含む煙突用断熱材が劣化し、剥がれ落ちていたことが発覚しました。この影響で給食の提供が一部止まっている学校もあります。
党市議団は11月7日、この問題で市に対し、緊急の申し入れを行いました。
「問題意識がなかった」ではすまされない
市の調査(11日現在)では、対象とされる312施設中42施設で断熱材の剥離が確認され、小中学校13校を含む30施設(まだ検査中の施設もあり)でアスベストが含まれていることが明らかになりました。
市教育委員会は国からの点検の指示を受けていたにもかかわらず点検を怠り「問題なし」と報告していました。
伊藤りち子市議団長、池田ゆみ市議らは、問題の早期解決を進めるため「万全な安全対策を行い、アスベスト除去工事を行うこと」、「給食の再開に全力をつくすこと」など6項目を要請しました。
対応した町田副市長は「緊急かつ抜本的な対応が必要。災害対応という形で対応していく」と話し、給食の問題については「どう対応できるか教育委員会に研究させている」と応えました。
村上市議が「国から2回に渡り調査要請があったにもかかわらず、なぜ調査しなかったのか」と問うと、町田副市長は「アスベストに対するきちんとした問題意識がなかった」と述べました。
太田市議らは「給食の代わりにお弁当をつくるのも大変な家庭もある。一日も早く温かい給食を子どもたちに出して欲しい」と求めました。
区民センターも暖房ストップ
アスベストの健康被害はすぐには現れず、長い年月を経て現れます。
2005年には大手機械メーカークボタが石綿セメント管を製造していた尼崎の工場(1975年停止)から飛散したアスベストによる住民被害が明らかになり、補償にまで発展しました。こうした事態を受け国からの点検指示がなされていたにもかかわらず、点検を怠った市の責任は重大です。
11日現在、月寒中、西岡中で給食が一部中止となっています。煙突改修には少なくとも1月半かかると見込まれています。豊平区民センターも暖房が止まり、各部屋に石油ストーブが配置され、ロビーはバーナーで暖房(写真)しています。
アスベストが検出された施設周辺での大気中のアスベスト濃度の測定も行われています。現在の所「未検出」又は1本/L以下となっていますが、改修時の飛散防止対策も課題となります。
第3回定例市議会報告(2016年)
学童保育 パソコン導入補助、速やかに実施を
池田ゆみ市議は10月26日、決算特別委員会で民間学童保育所の支援について質問しました。
池田市議は、「民間学童保育所は施設の老朽化対策や減免制度への補助の拡充など、指導員や保護者から切実な要望が出されている」とのべ、「たまった会計の仕事を勤務先で休憩時間に行っていて休みもとれない」という保護者の声を紹介、「国が事務負担の軽減策としてパソコン購入の補助メニューを用意していると聞くが、すみやかに実施すべきではないか」とただしました。
岡部子ども育成部長は、「国から正式な交付要綱が示されていないが、今年度限りの措置であり、お示しできる段階になれば速やかに対応したい」と答えました。
池田市議が「今年度限りであれば来年2月の最後の運営費交付に合せて支給すべきではないか、上限50万円と聞くが、どういうものに使えるのか父母の会や指導員の要望を聞くべき」と求めると、岡部部長は、「時間との兼ね合いもあるが、聞くように対応したい」と答えました。
池田市議は、「昨年4月から指導員に専門資格が必要となり2名以上の配置が義務づけられている。5年間の経過措置がとられているが資格取得は進んでいるのか」とただしました。
岡部部長は、「必要と見込まれる対象者は870名で、今年度中に130名が受講完了予定」と答弁。池田市議が「740名が残るが、あと3年で完了の見込みはあるのか、札幌市独自の研修を考えていないのか」とただすと、岡部部長は、「実施主体の北海道と受講期間の拡充について協議し、希望者が受講できるよう詰めていきたい」、札幌独自の研修は「状況によって検討することが必要」とのべました。
学校の定期検診
精密検査未受診 背景に貧困も
日本共産党の池田ゆみ市議は、決算特別委員会で小中学校の定期検診について質問しました。
池田市議は「昨年の定期検診で、尿検査では精密検査が必要と判定された小中学校の児童・生徒580人のうち61人が検査を受けず、心臓検査では同じく406人のうち107人が検査を受けていない」とし、「必要な検査を受けていない児童・生徒がいることをどう受け止めているのか、どのように受診を進めているのか」とただしました。
本居学校施設担当部長は、「好ましい状況ではなく文書で通知しており、特に精密検査が必要な心臓検診や血管検診については改めて通知し、受診を促している」と答えました。
池田市議は、「歯科検診では、本市の虫歯の未処置の割合が幼稚園で34・17%と政令市中ワースト1位、小中学校で26・75%で同じくワースト3,高校でも26・28%でワースト3」と指摘。
貧困化の中で子どもの歯がぼろぼろになっているという歯科医の実態報告を紹介し、「必要な治療を受けられない背景に、貧困化の問題があるのではないか」「無料低額診療制度の周知をどのようにすすめているのか」とただしました。
本居部長は、無料低額診制度について「全市の養護教諭を対象とした研修会で周知しており、本市の学校病治療(就学援助の医療費補助)の助成などとも合わせて保護者に知らせていきたい」と答えました。
市民に寄り添って 市税の納付相談を
池田ゆみ市議は7日、決算特別委員会で市税の納付相談について質問しました。
池田市議は、「2015年度の市税の滞納者は60、157人、差し押さえは10、156件に達している。市民の暮らしの厳しさが推察される。それだけに納付相談は重要な役割を持っている」と指摘。「この4月から納税者による申請が認められた『換価の猶予』(※)などの周知はどのようしているのか。生活に困窮する世帯が増えており、市民に寄り添った納付相談をすべき」とただしました。
遠藤税制部長は、「『広報さっぽろ』などで周知している」「納付困難な事情を十分聞き取り、相談に応じるようにしている」とのべました。これに対し、池田市議は、威圧的な対応で相談に行くことに躊躇する事例もあるとのべ、「無理な納付計画の押し付けにならない対応が必要」と求めました。
また、来年度からはじまる市税のクレジット納付について、池田市議は「相談者はそもそも生活が大変で支払いが困難になっている。こうした方にクレジット払いはすすめるべきでない」とただしました。遠藤部長は「納付期限を経過したものはクレジット払いができず、市税の納付相談でクレジットカードをすすめることはしない」と答えました。
※「換価の猶予」とは:
「換価」は差し押さえた財産を現金(公売)にすることで、一定の要件により猶予されます。これまで市長の職権によるとされていましたが、地方税法の改正で納税者による申請が認められました。
日本共産党札幌市議会議員 池田ゆみ ホームページ